その均整のとれた体躯、胸部や大腿部の豊かさ、心持ち腰を捻りつつ片脚を遊ばせた優美な姿勢を持ち、文学作品や映画などにも取り上げられたことで著名な『国宝 十一面観音』は日本における観音像の代表作と称される名品中の名品です。本作品はその『国宝 十一面観音』をモチーフに模刻された木彫り像に仏像彩色師篁千礼(たかむら ちひろ)が彩色を施した限定制作品となります。

美術工芸品の技術とノウハウを結集して制作された自信の逸品

十一面観音像は菩薩面×3、瞋怒面(しんぬめん)×3、狗牙上出面(くげじょうしゅつめん)×3、大笑面(だいしょうめん)×1、頂上仏面×1 の計11 面を頭上に表すのが一般的ですが、本作品のモデルとなった『国宝 十一面観音』は、本面の左右に瞋怒面と狗牙上出面を大きく表し、天冠台上には菩薩面、瞋怒面、狗牙上出面を各2 面、背面に大笑面を表すという他に無い特徴を持っています。特に本像の大笑面は「暴悪大笑面」と称され、その笑っているのか怒っているのかも分からず、見ようによって不気味にも見える独特な表情で有名です。悪や煩悩への怒りが極まり、大口を開けて愚かな者を笑い滅する顔だとされています。また、頂上面は他の十一面観音像では螺髪をもつ如来形が一般的ですが、本像の頂上面は髻を結い、五智宝冠(五智如来を表した冠)を戴く菩薩形となっているのも他の十一面観音とは異なる特徴となります。本作品はこうした独特の個性と優美な姿から「東洋のヴィーナス」と賞賛される『国宝 十一面観音』を、仏像ワールドが45 年に渡り蓄積した美術工芸品の技術とノウハウを結集して制作された自信の逸品です。

色と色との響き合いと、その調和の中から仏像の美と畏怖を引き出す仏像彩色師

江戸時代までは仏像に彩色を施すのは当たり前のことでしたが、明治の時代になり西洋彫刻のフォルム至上主義の考え方が浸透する中で、いつしか仏像への彩色は邪魔なものとされるようになります。そのような風潮に反し、日本古来の彩色木彫を大きく復活させたのが日本彫刻界の巨星で文化勲章受章者の平櫛田中(ひらぐし でんちゅう)でした。その作品の彩色の殆どを任されていたのが彩色師 平野富山(ひらの ふざん)で、仏像彩色師 篁 千礼は富山の正当後継者の一人となります。師は彩色に際し、まず仏像それぞれの性格や特性を表す紋様、バランスのとれた配色を構想します。本作品の場合は木目を活かした静かな落ち着きと金による荘厳さの表現にこだわって制作されました。この彩色により深みと上品な華やぎが加わり、優美な像の魅力が一段と際立ちました。顔料(岩絵の具、水干)、膠、胡粉、墨、金箔、金泥等といった日本画用の絵の具を用い、仏像と精神的な対話をしながら丁寧に時間を掛けて彩色を行うため限られた数の制作しか叶いません。

国宝 十一面観音伝説

国宝 十一面観音は奈良時代の僧 泰澄(たいちょう)の作とされます。天平8年(736年) に都に疱瘡(天然痘)が流行したので、聖武天皇は泰澄に除災祈祷を命じました。その際、泰澄は十一面観音を彫り、息災延命(そくさいえんめい、災いを避け長生きすること)、万民豊楽(ばんみんぶらく、国の安泰は私たち一人一人の生活の幸せにある)の祈祷を行い、それにより憂いは絶たれたという言い伝えがあります。その後、十一面観音は病除けの霊験あらたかな観音像として、信仰されるようになりました。

作家コメント

【 篁千礼 たかむらちひろ 】 何処までも柔らかで流麗なお姿に本当に心惹かれました。内から滲み出る様な柔ら かな色調と、光の反射に重なる金彩とでその流麗さをより印象深くしたいと思いま した。極薄く溶いた顔料を深く浸透するように何度も木肌に刷り込みやすりと布に より磨き上げを繰り返します。お肌と衣には金泥を蒔き宝冠、胸飾り、水瓶等は金 箔張りと致しました。柔らかな光に包まれ実在感のある正に現身を感じられる様な 高貴なお姿を表現できたと思います。

商品紹介

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