宮澤やすみの仏像ブツブツ

酉の市の謎を握るカミとホトケ 後編

ここまで、酉の市と鷲神社、そして江戸の風水守護の話と進みました。

江戸の街は、方位の吉凶を綿密に考慮して、江戸の守護として有力な寺社を配した、という話があります。

有名な話は、鬼門(東北)の方角に、上野の寛永寺が建てられたこと(現在の上野公園)。

ところが、私は前から不思議に思ってたんですけど、上野は江戸城からみて、だいぶ北寄りなんですよね。

いやたしかに、鬼門の方角といっても幅がありますから(十二支の丑と寅の方角を合わせた範囲)、これはこれでいいっちゃいいんですけど、なんかもどかしい。

そこで、ドンピシャで東北の方角ってどこかな? と探してみますと、これが長国寺(鷲神社)なんですね。

鷲神社(長国寺)は吉原の裏手に位置し、ここは江戸城の中心からちょうど鬼門の方角(東北)に位置します。

創建時は別の土地(鳥越)にあったのに、幕府の命で今の位置ににわざわざ移転しました。

そして、前記事で紹介した目黒不動尊と目黒大鳥神社は、江戸城の裏鬼門(南西)に位置します(やや南寄りですが範囲に入ります)。
この両寺、風水的にもよくできているんですね・・・。


地図の右上が長国寺と鷲神社、左下が目黒不動尊

ちなみに、この2つの寺を直線で結ぶと、あの平将門の首塚をかすめていきます。
江戸最大の怨霊・平将門をこの2寺が封じているのでしょうか……? いや~歴史ミステリーですね~。
こんなふうに重要ポイントを線で結んで考察するのは「レイライン」というんですけど、そのへんの話はまた今度ということで、話を戻しましょう。


この連載で、目黒不動尊の秘仏・不動明王の本当の姿は? という話をしました。 
扉が開いても、お姿がはっきりと見られない。
もちろん、神秘性を保つためであるのでしょう。しかし、そのほかに、見せることが憚られるような特別な理由があるとしたら……?

ここで、ひとつのイメージの遊びをしてみましょう。
ポイントは、神仏の持ち物です。

ヤマトタケルは、古事記によると草なぎの剣という剣が必須アイテムです。
妙見菩薩も剣をもちます(前記事参照)。
そして、不動明王も剣が必須アイテム。


一般的な不動明王のイメージ イスム仏像より

じつは、地元のおじいさんの思い出話では「目黒のご本尊はやさしい顔だった」という話があるそうです。
そこから、ご本尊はヤマトタケルの姿なのではという憶測もありますが、顔や服装がちがいすぎる。
でも、ひょっとして妙見菩薩の姿なのだとしたら……?
このほうが、顔は優しいし服装は仏像的で、可能性はありそうです。

いや~、ナゾが謎を呼ぶ話になってきましたね。
秘仏・目黒不動尊。姿が見えないからこそ想像が広がっちゃいます。


ここまで、酉の市から鷲神社、長国寺をめぐったおかげで、目黒不動尊の謎に迫ることができました(こんがらがっちゃった人は、2017年10月28日付の記事から読み返してみてください)

なにしろ、歴史仏像ミステリーという範囲の話ですから、明確な答えは無いのですが、謎って楽しいですよね。


いずれにしても確かなことは、江戸の鬼門と裏鬼門には剣を持つ仏像がいて、それらが江戸の守護を担ってきたということ。

実際どんな姿をしていようが、それぞれ妙見菩薩として、不動明王として信仰されてきた像ですから、まずは両仏像へこれからも守護をお願いするといたしましょう。




(お知らせ)

1.
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19時開場、19時30分開演
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2.
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2018年1月20日(土)15時から毎週土曜全4回
早稲田大学エクステンションセンター中野校
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3.
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2018年2月7日(水)
19時開場、20時開演
神楽坂・キイトス茶房
詳細:http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/

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