宮澤やすみの仏像ブツブツ



出雲仏像の旅4 -都会派?地方派?美保関の仏像-

2017年 7月 15日

出雲大社から東へ、松江の先の岬へきました。
ここが美保関。

立派な社殿の美保神社は、大国主命の御后・美穂津姫命(ミホツヒメ)が祀られていて、縁結びのご利益を求めて出雲大社と合わせてお参りする人が多いです。

また、ミホツヒメ様は、歌舞音曲の神様でもありまして、私もしっかりお参りしてきました。

神話の舞台として有名な美保関ですが、ここにもいます!仏像が!


存在感たっぷりの仏像群
 

訪れたのは仏谷寺(ぶっこくじ)。

収蔵庫を開けてもらうと、5体の仏像が並んでいます。

薬師如来、日光月光菩薩の三尊に加え、聖観音菩薩と虚空蔵菩薩。

ほとんど、前記事の大寺薬師と同じラインナップです(虚空蔵は仏谷寺のみ)。

今回は、短い動画をいくつか撮ってきましたので、ご覧いただきながらどうぞ。

どの像も、大寺薬師と近い平安前期のものだそうですが、
日光月光菩薩については細身で頭が小さく、地方風のスタイルです。
薬師如来もあわせて、「出雲様式」と呼ばれる独特の造形が見られます。具体的なポイントは動画をどうぞ。約50秒。



いっぽう、観音と虚空蔵の衣文のウネウネ感はまさに貞観様式。当時の都での流行りです。まさに平安トレンド。こちらも50秒動画にて。




都の最先端様式と、地域特有の出雲様式の両方が見られる。おもしろいですね。

きっと、都から派遣された仏師と、現地の仏師(日ごろ僧侶として働くのがたまに仏像造る)とが協力して造ったのではないでしょうか。
例によってこちらも記録が残っていないので、確証はないのですが、想像がふくらみます。


漁村だからでしょうか? 日光菩薩さん、なんだかお魚っぽいシルエット(失礼しました)
 


虚空蔵菩薩の濃厚な衣文線。平安前期ファンにはたまらない
 

さて、美保関は、今訪れるとのどかで小さな漁村に見えます。

そこに、なぜ都から最先端トレンドがもたらされたのか。

その昔、この地は国にとって大変重要な拠点だったらしいです。

ちょっとブラタモリ的な視点になってきますが、次回、そのへんご紹介しようと思います。


出雲仏像の旅3 -大寺薬師から見えるヤマト朝廷の”出雲包囲網”-

2017年 7月 8日

出雲大社から近い、大寺薬師は仏像の宝庫。

前記事の四天王のほか、薬師如来、日光&月光菩薩、2体の観音菩薩がいます。


薬師如来と菩薩たちがずらり


本尊の薬師如来はキリリとした表情が若々しいです。

膝あたりの衣文線にも特徴が

シャープで深い彫りの衣文線がくっきりみられることから、これも平安時代前期と目されます。
室生寺・弥勒堂の釈迦如来坐像にも通じる、エッジのたった衣文線です。

日光、月光菩薩は、すっきりした衣文のデザインですが、眼の感じがだいふ古風なんです。
平安期と奈良期のスタイルがまざっているようです。


日光菩薩。まぶたの膨らみだけみると天平風


さて、この仏像ができた時代はどんな時代だったのでしょうか。

まず、この大寺薬師の立派な薬師如来。
基本は病平癒の仏ではありますが、奈良の平城京や京都の平安京(前期)の朝廷にとっては「国家鎮護」のモニュメントでもあったのです。

たとえば、朝廷が東北で蝦夷征伐したときも、薬師如来を現地に祀りました。現在も福島や岩手に立派な薬師如来が残っています。

また、前記事で紹介した四天王。これも朝廷にとっての大事な国家鎮護の主役です。

たとえば、奈良の東大寺は正式名称を「金光明四天王護国之寺」といって、四天王の加護で国を護る寺といった意味合いです。

要するに、薬師如来も四天王も、都の朝廷の政治的影響力を示すものなんですね。

それをふまえてこの地を歩くと、当時の朝廷にとってここがどれだけ大事な場所だったのかと想像がふくらみます。

今は田んぼにサギが集まって、のどかな里の風景が続くだけなんですけどね。


さらに、この地には古くからいろいろあったようで……。

大寺の近くに古代からの遺跡が残っていて、復元公開されています。
弥生時代の四隅突出型墳墓もあって、なかなか見ごたえありました。動画でご覧ください。


青木遺跡。弥生から平安前期までの遺跡が復元されていました

この青木遺跡には、奈良~平安期とされる神社跡もありました。社殿は出雲というより伊勢系で、東を向いていたそう。
つまり、大寺の仏像と同じ時代の神社ですね。


神社建築と思われる掘立柱跡


この地の中心は、なんといっても出雲大社。大国主命が祀られています。
大国主命は、国土を創られたあと、天照大神に「国譲り」をして出雲に鎮まります。

その出雲大社から、さらに西北の岬まで行くと、有名な日御碕神社があり、ここに天照大神(伊勢神宮の祭神)が祀られた。それも平安前期(948年)のこと。

位置関係を整理すると、出雲大社から見て、西北には日御碕神社、東には、大寺薬師と青木遺跡の伊勢系の社殿があった。
時代はいずれも奈良~平安前期の頃。

この時期、出雲の大国主命を挟むようにして、天照系の神社と朝廷の息がかかった仏像が置かれたのです。
それはまるで、大国主命の魂を封じるかのよう……
その真の意味とは……?

というのが、実際に歩いて感じた印象なんですけど、文献などの実証はないので、あとは歴史学者の先生にまかせましょうね。
歴史ミステリーのひとつとして、こういう想像が楽しいのです。


きっと歴史の中で、良いことも悪いことも、祝い事も呪い事も、この地でいろいろあったのは確かでしょう。


さて、ここから山を越えれば日本海。昔はここが日本の玄関口みたいなもの。
その要となるのが美保関なのですが、それは次回記事でご紹介します。



大寺収蔵庫には、名前不明の神像もたくさん。興味が尽きません


出雲仏像の旅2 -大寺の四天王-

2017年 7月 1日

出雲まで旅してきました。

出雲大社とその周辺をめぐった翌日は、大寺薬師へ。

ここがなかなかすごかった。


こんなふうに睨まれたら身動きできません

薬師如来と日光、月光菩薩の三尊に、観音菩薩が2体。
そして、2mを超す四天王の存在感!

一木造で、ボリューム感たっぷりの彫刻は、平安時代前期、貞観様式とも言われるスタイルです。
重装備の甲冑を力強く彫刻しています。


多聞天・量感あふれる表現はこの時代特有

ところどころに見られる渦文もこの時代の特徴。


広目天・クールな顔にベルトの獣面がおしゃれ


持国天と増長天は、短い動画でどうぞ。より臨場感が感じられると思います。


持国天・高橋英樹みたいな?芝居がかった顔


増長天・憤怒の威嚇。そしてボロボロに傷ついた身体に感涙!


大寺の正式名は万福寺といい、現在地より300mほど山奥に立地していたそうです。
しかし江戸時代の土砂崩れで崩壊、仏像だけが助け出され現在地へ。

そんなわけで、お寺の記録が残っていないので詳細はわかりません。行基創建の伝承もあって古いお寺ではありそう(伝承は鵜呑みにはできないけど時代背景の目安にはなるのです)。

しかし、これだけ立派な仏像があったということは、かなりの大伽藍だったのでは。
なお、この地域の北西には有名な古刹・鰐淵寺もあり、古くからヤマト王権と結びついていた地域ではあります(次回もそのへん触れます)。

なにしろ、詳しくわからないところが、かえって想像を掻き立てて、歴史ロマンの世界へ誘われるのですね。

そんな大寺ですが、写真のとおり、最寄り駅はこんな感じ。


これが駅前!ひなびた風景の中に大寺があります

ここを通る一畑電車の路線は、全区間乗りました(ワタクシ鉄道好きでもあるもので…)。
その中でも、もっともローカルな風景が見られるのが、ここ大寺を含む鳶巣(とびす)地区でした。

歴史を感じる旧道も残っていて、鉄道+徒歩でないと見落としてしまうような風景も堪能してきました。


祠のむこうに、何かありそう…


1000年以上前には、どんな様子だったんだろうと想像がふくらみます。


次回は、大寺の薬師如来と菩薩、その他をご紹介します!


出雲仏像の旅1

2017年 6月 24日

ただいま、出雲、松江の旅をしています。

出雲の電車には「しまねっこ」が乗ってます

もちろん、出雲大社もお参りしましたが、じつは出雲はブツもよし。
神社も古墳も、そして鉄道もいい味出してる、旅人にはうれしい地域なのです。


この仏像の正体は?次回乞うご期待!

次回から少しずつご紹介しますので、今回はプロローグにて!


秘仏ご開帳はこの歌で

2017年 6月 17日

先日の浄瑠璃寺・吉祥天さんは、お寺ではいわゆる「秘仏」とされ、いつでも拝観できるわけではありません。

仏像ファンにとって秘仏ご開帳は重要なイベント。
さまざまな開帳日情報を整理するのがなかなか大変です。

そんな中、こんな動画が公開されました!

私の仏像バンド“The Buttz”(ザ・ブッツ)の代表曲・「ご開帳ブルース」です!

何年も歌ってきましたが、本日ついにオフィシャル動画が完成しました。


歌い出しから”浄瑠璃寺、吉祥天~”と始まり、
ご開帳の日取りを羅列するという、いたってシンプルかつお役立ち情報満載の歌詞。
サビの「オープン・ザ・ドアー!」というのは、もちろん「特別開扉」の喜びを表現したものでございます。

NHKをはじめテレビでも何度か流れたり歌わせてもらったりしてきましたが、キャッチーなメロディで、出演者のみなさんすぐ口ずさんでしまうほど。

思い出すのは、ルー大柴さん。ロケ収録が終わり帰り際にも、「♪ブツブツ言わずにオレ~とぉ~」と口ずさみながら帰って行ったのでした(笑)

ずん飯尾和樹さんも「いいね、おもしろいよ」とおっしゃってくださったり。
マツコ・デラックスさんも怪訝そうな顔で聞いてくれたり、
安住紳一郎さんも苦笑いしながらラジオでかけてくれたり、
いろんな人が楽しんでくれました。
相武紗季さん、ピーターバラカンさんもCDもってます。
浄瑠璃寺の副住職さまもCDお持ちです。

まったくミーハーな話で恐縮ですが、この歌のおかげでいろんな人と会えたのでした。

まさしく「仏縁」。人生わかんないもんですね。


そんな「ご開帳ブルース」のMV(ミュージック・ビデオ)、CD収録版と同じ音ですので、ぜひチェックお願いします。

で、もしよかったら、CDのほうもよろしくお願いいたします♪

『Ash-La La La』:宮澤やすみ and The Buttz


●宮澤やすみ and The Buttz 公式サイト
http://www.yasumimiyazawa.com/buttz/


吉祥天姐さん、東京へ「奈良 西大寺展」

2017年 6月 10日

先日もお伝えした「奈良 西大寺展」。

東京の三井記念美術館に、いよいよあの”姐さん”がやってきました。
この記事が出た翌日までの公開ですが、時間あればどうぞ。

息をのむ美しさと官能美。あでやかな赤い衣と白い柔肌。
しかも日頃は秘仏という神秘性(春秋正月に公開)。
まさに美ブツ中の美仏として仏像ファンにはあまりにも有名です。

首を横に向けて、身体をひねるポーズが悩ましい。
特別取材会では、ちょうど記者会見に応じている風に見えて面白かったです。


取材時のもようです

筆者も、浄瑠璃寺の厨子にいるところへ何度も会いに行きましたが、こうして全身丸見えの状態は初めてで、鼻血が出そうなほどの興奮状態なのでした。

ここでは特別に、本当に特別に、動画でお見せします。
すぐ削除するかもしれないので、あしからずご了承ください。


ガラス越しとはいえ、さまざまな角度から拝観できるチャンスはなかなかありません。
ほんわかと柔らかい表情に、こちらの心もほぐれます。ひさしぶりに感動する仏像体験でした。

そのいっぽうで、取材時のメディア陣の反応を見ていると、女性陣は「わ~美しい!」とウットリしてましたが、男性陣の中には「なんか、怖いなこの顔」という人もいて、人によってこれだけ印象のちがいがあるのも面白いなと思いました。

仏像の印象は、見る人自身の心が反映されるとよく言います。
男性記者の方は、だいぶストレスが溜まっていたのかもしれませんね(笑)


創建1250年記念「奈良 西大寺展」東京展は6月11日まで。
その後、7月29日から大阪展、10月20日から山口展と巡回します。
公式サイト:
http://saidaiji.exhn.jp

(お知らせ)
【カツベン映画ナイト!in カルカル】
筆者・宮澤やすみのもう一つの仕事・活動写真上演。
宮澤も一員の「映楽四重奏 -The FilmQuartet-」による活動写真の世界を体験。
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アニメにSF、活劇、恋愛、今見ると新鮮であり、感動する名作、珍作も各種取り揃え、
トークを交えながら気軽にお届けします。前売チケットがお得です。

●6月16日(水)18:30開場、19:30開演
●渋谷・東京カルチャーカルチャーにて
●詳細:
 http://tcc.nifty.com/event/general/20853
 (チケット購入可能です)


逗子のお不動さんと哀しい墓碑

2017年 6月 3日

先日は逗子市・神武寺ご開帳に行きましたが、その日にこちらも開いていました。六代御前(ろくだいごぜん)不動院。

京急新逗子駅から逗子海岸に向かう、田越川沿いの道にあって、地元民でもだいたいスルーしてしまう(笑)ところにあります。
逗子出身の私も子供の頃に存在は知っていて、社会科見学でも行った記憶がありますが、その歴史的意味は知りませんでした。ましてここにお不動さんがいるなんてまったくでした。


剣を斜めに構えるところがカッコいいですね

不動明王は12年一度の開帳。管理のおじさん達も気さくでした。像は古くはないけど写真のとおりなかなかカッコよかったです。

じつはここ、不動堂の隣にある丘が主役。そこが「六代御前」の霊が眠るとされる伝承地です。
六代御前は、平氏の直系に生まれ、平清盛の曾孫。順調にいけば平氏の栄華を引き継ぐはずだったのが、源平の合戦で捉えられます。


右が不動堂、左が六代御前の墓

ところが文覚上人(この人が、まークセのある坊さんなのです。検索してみて)の目に留まり助命され出家。頼朝にも才覚を認められ、禅僧として平穏に過ごしました。

しかし、世の中世知辛いもので、頼朝が亡くなって幕府が混乱すると、あっという間に捕えられ即日処刑されてしまいました。

それが、現在のこの地だとされます(諸説あり)。

丘の上には、小さな墓碑と巨大なケヤキが六代御前の霊を鎮めているようです。


覆いかぶさってくるようなケヤキの存在感

逗子を流れる田越川沿いは処刑場だったのでしょうか。
地名の由来とされる「厨子弁才天」がいる延命寺をはじめ、お寺もたくさんあります。
(逗子の由来は仏像の厨子からだったんです!諸説あり)

花火大会や海水浴でにぎわう地で、ここだけちょっと涼しい空気が流れていますよ。

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川口のカッコいいお不動さん

2017年 5月 27日

埼玉・川口にちょっと変わった仏像がいます。

地蔵院というお寺の不動明王なんですが、そのポーズに注目。

片足を前に出し、剣を振り上げているポーズ。

さらに、髪型。風になびいたように斜めに流れているんです。


取材時に許可を得て撮影

不動明王は、もともと「不動」というくらいですから、どっかりと座って不動のポーズをとるのが基本だったんですが(京都・東寺の像が古い例)、山岳信仰の山伏たちに信仰されると、立った姿で表現されるようになりました(滋賀・三井寺の黄不動など)。

ところが、さらにこんな躍動感あふれるポーズに表現されるとは。全国的にも非常にめずらしいです。
調査によると、平安末期に慶派の流れをくむ仏師によって造られたというから、さらにすごい。

私は、取材のときに間近で拝ませてもらいましたが、怒りの表情が真に迫り、筋肉表現も見事です。それでいて細い鉈彫り仕上げがあり古風さも残る。
平安期の仏像様式から脱却し、鎌倉期の新表現と移り変わるころの、かなりピンポイントな時代性をもっているんです!

個人的にも大好きな仏像のひとつで、私が出ているNHK「ひるまえほっと」でも紹介しました。

この度、いよいよ不動堂が完成し、一般の人にも公開されることになりました。
毎月28日を「お不動様ご縁日」として、扉が開けられます。

【地蔵院お不動様ご縁日】
地蔵院境内・不動堂にて
(埼玉高速鉄道「新井宿」駅から徒歩8分)
毎月28日 午後1時~3時の間のみ
※午後2時~2時30分まで護摩祈願が入ります
詳細:http://fukuya-net.com/jizouin/


先日の落慶式にて。右が不動堂


拝観料や志納金はとくに設定されていませんが、護摩祈願に護摩札を奉納するといいかもしれません。
風なびく髪型から、「追い風の機運に乗るお不動様」として親しまれています。

私は”仏像バンド”として活動しているので、一度「追風不動のロックンロール」という歌を作って奉納演奏させていただきました。
カッコいいお不動様のイメージは、やっぱりロックが似合いますよね(個人の見解です 笑)。
お不動さんとともに流行らせたいなあ。

(お知らせ)
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逗子の古刹「神武寺」と鎌倉の深い関係

2017年 5月 20日

前回記事につづき、神奈川・三浦半島ご開帳めぐりです(今年の5月28日まで)。

逗子の山にある神武寺。ここは行基創建伝承のある、地域でも大変古い天台宗の名刹。山岳信仰の聖地でもあり鬱蒼とした山の中にあります。


薬師堂は慶長3年の再建。市指定重要文化財

じつはわたくし、実家がこの神武寺の裏でして、子供のころは神武寺の山を登って遊んだのでした。
しかし、仏像を見るのは初めて。今年が33年に一度のご開帳なのです。

薬師堂には、本尊・薬師如来坐像と日光、月光菩薩、内陣両脇には十二神将が並ぶ、「薬師オールスター勢ぞろい」。内陣の朱もよく残っていて、なかなか派手な眺めになっています。

仏像ファン目線ですと、「この仏像、いつごろの時代の作かな」と考えてしまうんですが、薬師さんのやわらかな衣文線と厚手の衣からして、鎌倉後期くらいの印象があります(明確なデータはありません)。

さらに、この薬師さんは、髪型が螺髪ではなく、縄を巻いたようなスタイル。これも時代性を感じるポイントです。
鎌倉時代に、京都・清凉寺の釈迦如来像が大変流行し、”清凉寺式”の像がよく作られたのですが、この像は巻き髪スタイル。奈良の西大寺を拠点とする真言律宗の勢力が鎌倉に入ると、さらに流行。極楽寺や金沢文庫に清凉寺式釈迦如来が作られます。

この像は、釈迦ではなく薬師ですし、立像と坐像のちがいもあるので、直接的な関係は指摘されませんが、デザインの流行として、何かしら影響があったんじゃないかな、と想像しています(まだ確証はないですけどね)。

写真撮影はNGなのですが、京急のポスターなどで姿が見られますから、検索でもしてください。


山中にひっそり立つ門も良い風情です

また、源頼朝の信仰も厚かったことが知られていますが、位置関係を調べると、初期鎌倉幕府から東に位置し(八幡宮の参道を南北軸に見たてた場合、真東)、鎌倉との地理的関係も興味深いです。

古都の寺社配置が風水に基づいているという話、よくありますが、鎌倉にもけっこう当てはまるんですよね。

自分の故郷が歴史的に重要な地であったこと、あらためて知りました。

(お知らせ)
「宮澤やすみの小唄かふぇVol.20」
東京・神楽坂の人気カフェで三味線ライブ。江戸の粋・小唄を気軽に。
ゲストに活動写真弁士・片岡一郎さんをお呼びし、貴重な無声映画を語りと生演奏で上演も。
●5月24日(水)19時開場、20時開演
●神楽坂・キイトス茶房にて
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/index.html


三浦半島の傑作仏

2017年 5月 13日

神奈川県、横須賀市の浄楽寺といえば、運慶の真作とされる仏像群で有名。
いま特別に公開しているので行ってきました。


実ブツは撮影禁止なので、イメージをどうぞ

収蔵庫は、学生さんの団体、仏像ファンでぎゅうぎゅう。どこのコンサート会場化と思いました(笑)。

ほとぼりが冷めてからじっくり鑑賞。
本尊、阿弥陀如来と脇侍の観音、勢至菩薩は、いつみても衰えのない若々しさ(彫像だからあたりまえだけど)。精気みなぎる姿はこっちも元気がもらえます。

今回は「三浦不動尊ご開帳」が名目だから、主役は不動明王。手に五色の紐が結ばれて、その先を持ちながらお参りすることで「結縁(けちえん)」となるわけです。

ここは私も仕事で何度も訪れています。今回は家族を連れてのプライベートでしたが、ご住職にもお会いできてご挨拶できました。


境内は南国の雰囲気。前方はすぐ海

いま、神奈川県の三浦半島地域は132年のタイミングでご開帳イヤーを迎えています(今年の5月28日まで)。

この地域の薬師霊場が33年に一度のご開帳、不動尊霊場が12年に一度。奇しくもこれが重なったのが2017年。
京急さんも一緒になって「大開町奉修」キャンペーンをやっています。

じつはわたくし、小1から大卒までこの地域に住んでいまして、三浦半島は完全に地元。

浄楽寺のすぐ近くに友達が住んでいて、遊びにも行きましたが、当時はバンド活動に没頭していたのでスルーしていたんですよね。

高校の隣のお寺は曹源寺といって、ここの十二神将は今、東京国立博物館で人気を博しています。


曹源寺の十二神将。地元の仏像がいまや主役級の出世


こんなにすごいブツがいっぱいいたなんて、子供のころに知っていれば会いにいったのにねえ(笑)。

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