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材質の見方

仏像の種類や仕上げによって木材を使い分ける

仏像の造形によって木材を変える

現在、日本の仏師が仏像彫刻で多く使用するのは木曽桧(きそひのき)と樟(くすのき)です。木地が見える仕上げでは木肌の綺麗な木曽桧が多く使用され、金箔仕上げや極彩色仕上げで木肌が見えない場合は樟が使用されることが多いようです。動きの激しい明王や天部の制作には、荒々しさを表現するためにあえて力強さのある樟を使用することがあり、逆に菩薩像など女性的な造形の場合は桧材の柔らかな木肌が好まれたりもします。

目的に応じて使い分ける

中国製の仏壇用の仏像で圧倒的に多く使用されるのはカナダ桧です。日本では香りが似ていることから米ヒバ(べいひば)と呼ばれますが、桧科の植物です。寺院用の仏像で木肌が見える仕上げの場合も、木曽桧の代用品として重宝されます。大型の仏像になると樟が使用されますが、現在の中国で良質の材を入手することは年々厳しくなっています。その他の材では、仏壇用の高さ30㎝以内の小さな仏像用に柘植(つげ)が使われます。柘植は櫛や印鑑などにも使用され日本では高級なイメージがありますが、それは日本の柘植が50年で直径10㎝前後しか成長しないという希少価値があるからです。中国の柘植は南方の暖かい地域で育ち、成長のスピードや硬度が日本の柘植とは違います。だからといって中国の柘植が良くないわけではありません。硬くて彫刻に苦労を要する日本の柘植に比べると、中国の柘植は木地が緻密で細かな彫刻を施しやすいという利点があります。判断が難しいですが、価格が適正であれば仏像の素材は目的に応じて使い分ければ良いと考えます。

白檀は産地にご注意を

次に白檀(びゃくだん)について。香水やお香でお馴染みの香木で、最上の品質を持つのはインド老山地方で産出された老山白檀といわれます。マイソール(老山)地方のサンダルウッド(白檀材)というと耳にしたことがあるかもしれません。この白檀は現在、インドから材料としての輸出が制限され簡単に手に入りません。輸出制限されたことで「上質な材は希少価値がある と投機の対象とされ、一部の富裕層が買い占め異常な価格高騰が起こっているのです。一方で、品質の劣るインドネシアやアフリカ産の白檀も高値で取り引きされていますが、老山白檀とは香りも色も違います。白檀材の仏像をお買い求めの場合は、きちんと産地を確かめることのできる信用ある店でのご購入をおすすめします。 ご参考までに、木彫の国宝仏像の材料は樟・桧・榧(かや)のほぼ3種類です。はっきりとした理由はわかっていませんが、仏像は香木でつくるべきとの習わしにのっとり、手に入りにくい白檀の代用品として香りの強い材が選ばれたのではないかといわれています。