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あんどぅ☆の奇妙な冒険 第5部 アダム・クーパーを作りたい! 第6回 直彫り力を鍛える!(最終回)

こんにちは!一笑仏工房の中の人、あんどぅ☆ななせです( ^ω^ )
前回は平櫛田中彫刻美術館を訪れ、私が今やっている方法は木彫刻を廃れさせた「星取り法」と同じなのでは…?と、自分がやってきたことに疑問を感じたところでした。
もちろん、粘土原型を作って木彫りに写していくという方法は私が考え出したわけではなく、私の師匠のやり方を真似しただけですし、師匠がやっているということは伝統的な方法のはずで、オリジナルの造形を木彫りで表現するには有効な方法のはずなんです。
でも…そのやり方では木彫刻は塑像以上のものになれない…?
木彫刻が塑像以上の表現になるには、粘土原型を捨てて直彫りで行くべきなんじゃないか!?

実は、そう思ったのは平櫛田中だけが理由じゃないんです。
わたくし、昨年の夏に東京都品川区に拠点を移して以来、地道に「一笑仏で木彫りを楽しむ会」という彫刻教室のようなものをやって来ました。
「ようなもの」というのは、私ごときが先生と言うのも烏滸がましいので「みんなで木彫りを楽しもうぜ!」というスタンスでやっているからなんです。
とは言え来てくれる方のほとんどが彫刻刀を持つのは小学校以来という方達なので、お恥ずかしながら小さな仏頭やお地蔵さんなどの作り方を教えているのですが…。
あるとき、「獅子頭を作りたい」という方がいらっしゃいまして。
ま~~、私も獅子狛犬を作ったことがありますし、どんな造形だって図面をちゃんと引いて粘土原型作れば出来ると思ってますから、「いいですよー」と引き受けたんですよ。
ところがね~~、まあ上手く行かない。
その方は木彫の小物作りなどの経験があり私のやり方が受け入れにくかったようで、自分なりにやろうとするものの、あるときは材料が硬すぎたり、あるときはノコギリで落としすぎてしまったり…。
なかなか上手く行かず「やっぱり粘土原型を作ってみます」と言うので粘土をやってみてもらうと、これも上手く行かない。
形がまとまらないんですね…。
おかしいなあ、何がいけないんだろう…と私も色々と考えたわけなんですよ。

こんなときの一笑仏工房スーパーアドバイザー、モデラーhanio氏に相談してみると…
「いや粘土って普通難しいよ。ななせみたいにいきなり粘土出来る人珍しいと思うよ」
ですって(°Д°)
どひぇ~~!!私どちらかと言うと不器用な方ですし自慢する気はサラサラ無いですけどいつの間にかデキる子の思考になっちゃってましたかねー!?!?

そんなこともあって、何でも粘土原型を作ればいいと思っている自分のやり方に疑問を感じたんです。
木彫りをやってみたいという方たちが望んでいるのは、粘土原型を正確に木彫りに写していくことではなく、もっとダイナミックで偶然的な造形との出会いなんじゃないですかね!?

うーん、では獅子頭を直彫りで作る作り方を教えるにはどうしたらいいのか。
伝統的な獅子頭職人だったら目をつぶっていても直彫りしながらああしろこうしろと教えて行けるんでしょうが、私にはまだその技術が無い…。
な~ら~ば~!!まずはきっちり図面を引き、段階原型を作ってその通りやってみてもらうしか無いか!!

こうしてこうしてこうしてこう!


まずは段階原型通りに作って構造を理解してもらい、自分の求める造形にたどりつくまで何度も挑戦してもらいます。
一発ではたどりつけないかもしれませんが、粘土原型通りに作るよりも、瞬間のひらめきを造形に反映出来るので、より木彫りを楽しめる方法ではないでしょうか!

それとね、木彫りの会に来てくれる方で多いのが、「動物を作ってみたい」という方なんです。
ペットの犬や猫を作りたい!と。
それも私はデッサン→図面→粘土原型→木彫り、という流れでやろうと思っていたのですが、どうも粘土と聞くと気が進まないのか足が遠のく方が多いんですね。
な~ら~ば~!!これも直彫りで攻めるべきではないのか!?

私も今まで直彫りを全くやらなかったわけではなく、簡単なお地蔵さんや円空仏は粘土無しで落書き程度のデッサンで作っています。
でも動物はなかなか複雑な造形に思えるので粘土原型を作りたくなってしまうんですよね…。
そこで、はしもとみおさんのこちらの本を読んでみました。


Amazonのランキングで彫刻部門上位に入っている本なのでご存知の方も多いのではないでしょうか!

伝統的な仏師のやり方とは違うな…美大の人の木彫はこうなるのか…と、ほんと勉強になります…
と言うか、いや~~~、もう!素敵な本です!!
この方、本当に素敵な方なんだろうな…としみじみ自分のダークサイドが恥ずかしくなる本ですね…。
もう本当に、生まれ変わったらはしもとみおさんになりたいです、私。
動物が好きで、素敵なアトリエで好きな彫刻の仕事をして、頭の中は素敵なことで一杯で。最高じゃないですか。

はしもとみおさんのデッサン5ヶ条の1。
「自然は、びっくりするほど美しいです。きっとみなさんのかっている犬や猫たち、小鳥、小さな生き物、ともだち、おじいさんおばあさん、風景、空、木、すべてがびっくりするほどすばらしい絵になります。デッサンは、びっくりしたことを、だれかに伝える手紙のようなものです。」

…素敵すぎる!!(悶絶)

私みたいに誰かのことをクソ野郎とか罵ったりしないんだろーなー。
いや…私みたいにそういう部分を野放しにしていないだけか…。

はしもとみおさんの真似をしてペンギンの子供を作ってみました。


直彫り&彩色!!これじゃないっすか、木彫りをやりたい方の心をとらえるのは!?

と言うわけで、最近の私の直彫り力を鍛える過程をご紹介させて頂きました!(・∀・)
遠い道のりかもしれませんが、少しずつアダム・クーパーの木彫像を完成させるために!!
精進あるのみです!!!

そして突然ですが、長らく連載させて頂きましたコラム「あんどぅ☆の奇妙な冒険」は今回で最終回となります。
アダム・クーパーを完成させるまでは続けたかったのですが、注文製作やら彫刻教室やら通販対応やらで一杯一杯の生活で心身が限界に来ておりまして、でもコラム仕事は手放したくないと頑張ってはいたのですが…力不足にて…突然の最終回、尻切れとんぼになってしまい、本当に申し訳ありません。
これからも一笑仏工房で一笑仏を追求して参ります!
またどこかでお会いしましょう~!