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歌舞伎座と薬師如来の関係?

写真は今朝(10月27日現在)の歌舞伎座。わたくし今日ここに出演するのです。


観に行くんじゃなくて、舞台に上がらせてもらいますですよ。

なんででしょう? その話はのちほど・・・

さて、歌舞伎の伴奏音楽で、三味線に載せて語るのを「浄瑠璃」といいます(語るといっても実際は歌うのですが)。

いっぽう、私たち仏像ファンにとって「浄瑠璃」と言えば、薬師如来のキーワード!

歌舞伎の浄瑠璃と、薬師如来と、なにか関係があるのでしょうか?

まず、左手に薬壺をもつ姿で知られる薬師如来さんは、東の彼方に浄土を経営していて、その名こそまさしく「浄瑠璃浄土」。「薬師瑠璃光浄土」とも言います。
「瑠璃」というのはラピスラズリ(和名で群青)のことで、群青色に輝く世界に、薬師さんがいる、というのが薬師如来の信仰です。

というわけで、「浄瑠璃」とは薬師如来に基づく言葉なんですが、なぜ歌舞伎の曲を浄瑠璃と呼ぶのか?

じつは、室町時代に流行った物語で、「浄瑠璃姫物語」というものがあったそう。
牛若丸と浄瑠璃姫との悲恋ストーリーだそうですが、その姫は、じつは薬師如来の申し子(神仏祈願の結果生まれた子)だったという設定。だから浄瑠璃姫と名付けられたのでした。
きっとラピスラズリが似合う、キラキラ女子だったんでしょう。
牛若丸といえば、源義経ですからね。彼も悲しいヒーローですから、こりゃもう悲しい結末が想像できますね。

この演目のヒットで、楽器の伴奏で物語を語ること全般を「浄瑠璃」と呼ぶようになり、江戸時代には、三味線の伴奏と人形芝居で「人形浄瑠璃=文楽」が成立。さらに歌舞伎となりました。

そんなわけで、歌舞伎の浄瑠璃は、やっぱり薬師さんと関係がありました。

わたくし、三味線奏者としても仕事しているので、本日は演者として歌舞伎座の舞台に上がります。
私のようなフリーランスの三味線弾きが、こういう舞台にあがるのは、かなりレアなケース。有難いことでございます。

ただし、演目は歌舞伎ではなく、大正期のサイレント映画(活動写真)。活動弁士の語りに合わせて伴奏をいたします。
「語り物=浄瑠璃」と解釈すれば、弁士の語りも浄瑠璃の範疇に入るかな?

薬師如来に、舞台の成功を祈るとしましょうか。