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逗子の古刹「神武寺」と鎌倉の深い関係

前回記事につづき、神奈川・三浦半島ご開帳めぐりです(今年の5月28日まで)。

逗子の山にある神武寺。ここは行基創建伝承のある、地域でも大変古い天台宗の名刹。山岳信仰の聖地でもあり鬱蒼とした山の中にあります。


薬師堂は慶長3年の再建。市指定重要文化財

じつはわたくし、実家がこの神武寺の裏でして、子供のころは神武寺の山を登って遊んだのでした。
しかし、仏像を見るのは初めて。今年が33年に一度のご開帳なのです。

薬師堂には、本尊・薬師如来坐像と日光、月光菩薩、内陣両脇には十二神将が並ぶ、「薬師オールスター勢ぞろい」。内陣の朱もよく残っていて、なかなか派手な眺めになっています。

仏像ファン目線ですと、「この仏像、いつごろの時代の作かな」と考えてしまうんですが、薬師さんのやわらかな衣文線と厚手の衣からして、鎌倉後期くらいの印象があります(明確なデータはありません)。

さらに、この薬師さんは、髪型が螺髪ではなく、縄を巻いたようなスタイル。これも時代性を感じるポイントです。
鎌倉時代に、京都・清凉寺の釈迦如来像が大変流行し、”清凉寺式”の像がよく作られたのですが、この像は巻き髪スタイル。奈良の西大寺を拠点とする真言律宗の勢力が鎌倉に入ると、さらに流行。極楽寺や金沢文庫に清凉寺式釈迦如来が作られます。

この像は、釈迦ではなく薬師ですし、立像と坐像のちがいもあるので、直接的な関係は指摘されませんが、デザインの流行として、何かしら影響があったんじゃないかな、と想像しています(まだ確証はないですけどね)。

写真撮影はNGなのですが、京急のポスターなどで姿が見られますから、検索でもしてください。


山中にひっそり立つ門も良い風情です

また、源頼朝の信仰も厚かったことが知られていますが、位置関係を調べると、初期鎌倉幕府から東に位置し(八幡宮の参道を南北軸に見たてた場合、真東)、鎌倉との地理的関係も興味深いです。

古都の寺社配置が風水に基づいているという話、よくありますが、鎌倉にもけっこう当てはまるんですよね。

自分の故郷が歴史的に重要な地であったこと、あらためて知りました。

(お知らせ)
「宮澤やすみの小唄かふぇVol.20」
東京・神楽坂の人気カフェで三味線ライブ。江戸の粋・小唄を気軽に。
ゲストに活動写真弁士・片岡一郎さんをお呼びし、貴重な無声映画を語りと生演奏で上演も。
●5月24日(水)19時開場、20時開演
●神楽坂・キイトス茶房にて
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/index.html