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たのしい地獄へ!「地獄絵ワンダーランド」展

暑い夏にスパイシーなカレーが食べたくなるように、夏は熱い地獄の絵を楽しむのがいいですね。
東京日本橋・三井記念美術館の「地獄絵ワンダーランド」展を取材してきました。


地獄あれこれ、各種取り揃えてます!

やっぱりイチ押しは、後期展示のヘタウマ地獄絵ですね。

大きな掛け軸に地獄の王と獄卒、亡者、そのどれもがイイ感じに力が抜けて、マンガのような顔。
とくに亡者はヘナっとした顔が良い(笑)
なんだか、さくらももこのマンガエッセイに出てきそうな、ちびまる子ちゃんと一緒に夢の中で遊んでいそうな感じの、のほほんとしたお顔です。

その画像は、美術展サイトの「展示室7」をご覧ください。
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html



閻魔王と随神の像。このほか閻魔大王の前身である、密教の閻魔天の図像が興味深かったです。

江戸時代は、神仏が庶民に浸透し、その結果かなり身近なものになり、だから冗談まじりの作品も登場します。

筆者は三味線を弾いて歌う「小唄」の師範ですが、小唄にも「お釈迦さん」という釈迦降誕会(灌仏会、花祭り)を歌った作品があります。
その歌詞は、
”賽銭箱にけっつまづいて甘茶の中へと落っこったぁ~”
と、赤ん坊姿のお釈迦さんを(良い意味で)小バカにした歌です。

ほかにも、風神雷神が吉原へ繰り出して大騒ぎという唄もあったり。
神仏を歌う小唄はだいたいナンセンスなものばかり。

つまり、江戸時代には神仏はそれだけ身近で、信心深さを建前にしながら、実際は友達扱いしてしまうような付き合いだったようです。

だから、地獄絵の方向性も、怖がらせるよりも楽しんじゃう感じがウケたんじゃないでしょうか。

仏像ファン目線では、仏の世界の階層が理解できて面白いです。
よく言われる「六道」(人間が輪廻を繰り返す6層の世界)があり、その上に仏の世界が「須弥山」という大きな山で表現される。
四天王などの天部はその山の中腹にいて、人間世界を監視したりしている。山の頂上忉利天は、帝釈天の居城「喜見城」がある。その上空はホトケの世界で、弥勒菩薩のいる兜率天などいろんな階層が存在。


須弥山を描いた大パネルがわかりやすい。喜見城の部分を接写

今回のテーマである地獄は、山の下にある人間世界から、さらに地下深くへ潜ります。
地下と言っても、デパートみたいに地下2階食品売場でお惣菜買って帰るのとはわけがちがいます。

地獄にも八層あるそうですが、地下8階「無間地獄」へは、ひたすら下へ降りていくこと実に2000年間!
2000年かけてやっとフロアに到着して、そこから地獄の責め苦が永遠に続くのです。気の短い人は到着するまでに気が狂ってしまいそう。


木喰作の像も楽しいです。前列左の葬頭河婆(奪衣婆)は三途の川で衣をはぎ取る「地獄の受付嬢(婆)」。

一人でも楽しめるし、仲間とワイワイ言いながら観て歩きたい展示です。

特別展「地獄絵ワンダーランド」
(東京展)
2017年7月15日(土)~9月3日(日)
月曜休館
三井記念美術館にて
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

(京都展は9月23日から龍谷ミュージアム)