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アフロ仏デュオ降臨「東大寺と東北」展

前回に続いて、東北歴史博物館で開催中「東大寺と東北」展のお話です。
(写真は報道内覧会で許可を得て撮影)

今回は、災害からの復興をテーマにした展示ではありますが、展示の目玉はやはりこのお二方でしょう。


合掌しているほうが東大寺の像、五劫院の像は手を隠しています

阿弥陀如来の、髪の毛が伸びたスタイル「五劫思惟阿弥陀」。通称「アフロ仏」!
二体仲良くならんで展示は、めずらしいと思います。

どちらも、子供っぽいあどけない顔で、ほっぺたがぷくぷく柔らかそう。ツンツンしたくなりますね。

どうして幼い顔立ちなのか。それも意味があります。

まず、この五劫思惟阿弥陀のコンセプトを紹介しますと、
阿弥陀如来がまだ如来になる前に修行をしていたときの姿を表しているのです。
人々を救うため、深い瞑想に入って思惟(考える)している姿がこれです。
だから、若いころの阿弥陀さんというわけで、その若さが幼い顔に表れている。

そして、あんまり長い事考えているもんだから、髪が少々伸びたっておかまいなし。自分の身だしなみなんかより、人々を救うことが先ですもんね。こういうのを「利他(りた)行」と言いまして、自分よりも他人を先に利するという、仏教の基本的な考え方に基づいています。

で、どれくらい長い間考えていたかというと、じつに「五劫」という時間になります。
「1劫」がどれくらいか、簡単にご説明しますと--

 大きな岩があります。その大きさは、1辺の長さが約2000kmほど。
 そこに、100年に1度だけ、天女が降りてきて、羽衣でふわっと撫でる。
 その「ふわっと撫でる」を繰り返して、岩が削れて無くなるくらいの時間・・・
 そこまでしても1劫に満たない・・・

と、『大智度論』という本にあるそうです。
まあようするに、途方もなく長い時間を表現しているんですね。
1劫でこれですから、五劫となったらもう何がなんだか……。
天文学的にはもうとっくに太陽系は消滅しているとは思いますが、そう杓子定規に考えてもつまらないです。
ともかく非常に長い時間、阿弥陀さんは修行をし、やっと如来になれた。だから僕らもがんばろうよ、という意味合いが込められているんですね。

このような五劫思惟の深~いコンセプトとは裏腹に、
あのかわいらしい顔を前にした我々仏像ファンは、ぜんぜんちがうことを妄想しちゃうわけです。

「お~よちよち、がんばっててえらいね~ おこづかいあげようね~」

と、アフロくんの頭をナデナデしてあげたくなってくるわけです。
あくまで妄想でして、大変申し訳ありません。
仏像との接し方は人それぞれではありますが、「ナデナデ」は心の中でしてあげてください。


次回も「東大寺と東北」展からレポートいたします!



かわいいお顔ですが深い意味がございます



東日本大震災復興祈念特別展
「東大寺と東北-復興を支えた人々の祈り」
(東京展)
2018年4月28日(土)~6月24日(日)
東北歴史博物館
www.thm.pref.miyagi.jp/

公式サイト:
http://todaiji.exhn.jp