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明治の神仏分離ってなに?「立山の明治維新」展

富山県に行ってきました。目当ては立山博物館。
企画展「立山の明治維新」を観てきました。
仏像写真は特別に許可を得て撮影。


山の信仰は明治維新で大きく変わります

この企画展では、明治初期の神仏分離を発端に各地に散逸してしまった芦峅寺の仏像を紹介して、当時の動向を再確認するという、大変興味深いものでした。


地方博物館もあなどるなかれ。気合の入った研究展示でした

仏像ファンにとって、明治の神仏分離はものすごく大事な話です。
江戸時代までは、神仏混淆といって、神社と寺の境界がゆるくて、神社のご神体が仏像だったり、お坊さんが神社の儀式をやったりしていたのですが、明治の新政府が「神社は神社、お寺はお寺」というお触れを出した。
これで、神社にあった仏像が行き場を失い、破壊や売却されました。これが「廃仏毀釈」っていうやつです。

さらには、地域独自の信仰が廃止され、祀られていた神の名が、古事記や日本書紀にある”由緒正しい”神、言い換えれば国家スタンダードな神名に変えられたのでした。

途中で名前が変わるのって、ややこしいです。
樹木希林の前が悠木千帆だったとかありますけど、寺社の真の歴史をたどるには悠木千帆のほうを知りたいわけで、要するに歴史を分かりにくくしているんですよね。

明治維新から150年。
意外とあの時代の実情って、よく分かっていないらしいです。
今になって各地の研究者さんが「あのとき実際何があったのか」を調査なさっています。

さて、立山博物館があるのは、かつて芦峅(あしくら)寺というお寺があったところです。
お寺なんだけど、立山連峰を神とする「立山権現」を祀っていました。独自の山の神で、その本体(本地仏)が阿弥陀如来だという、まさに神仏混淆の最たるものですね。
それが、神仏分離によって、雄山神社祈願殿という神社になり、祭神の名称も立山権現から伊邪那岐神(イザナギ)、天手力雄神(天の岩戸を開けた)という国家スタンダードの神になっています(現在は併記)。

討幕後の新政府が『神仏判然令』を出したのが慶応4年3月。政府が発足してすぐにこの政策に取り掛かったことがわかります。
同年の11月(元号は明治に改元)には、芦峅寺の衆徒が、神仏混淆許可の嘆願書を提出。しかし受け入れられず、これ以降、仏像はあちこちに譲り渡されました。
宿坊経営も立ちいかず、廃業転業を余儀なくされます。


散逸後に取り戻した仏像。阿弥陀如来と不動明王

展示では、名古屋に渡った立山権現の本地仏(阿弥陀如来)や、立山権現の信仰を絵解きで示す「立山曼荼羅」などが展示されてます。
ちなみに、立山の阿弥陀如来の胸には必ず穴が開けられます。矢が刺さった傷跡なんですが、その理由もまた次週以降で。

あと興味深いのはですね、立山の土着の民俗神「おんば様」の信仰なんですけど、これがまた廃止に追い込まれます。
これと併せて、女人救済の仏教儀式「布橋灌頂」も途絶えました。

「おんば様」の信仰は、山岳信仰と地獄信仰が入り混じっているんですけどね、布橋の儀式とあわせて女人救済とも関係があり興味深い世界なので、次週以降ご紹介します。

立山に限らず、神仏分離による混乱と変革は全国的にあったわけで、繰り返しますが仏像ファンなら避けて通れない歴史だと思います。

それにしても、ここ芦峅寺は地域内でもとくに徹底して破壊されたそうで、ほかの寺社にない独自の信仰形態が、目を付けられちゃったみたいです。

学芸員さんに聞いたら、たしかにとても独自な信仰形態のお寺(神社?)でして、ひとくちに説明しきれない!
そもそも立山信仰とはなんなのか?も含めて、あらためて次週レポートいたします!

企画展「立山の明治維新 -継承、そして創造-」
会  期 9月15日(土)-11月4日(日)
展示場所  立山博物館展示館企画展示室
観 覧 料 一般200円 大学生100円(高校生以下、障がい者等の
観覧料は無料です。)
WEBサイト
http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/home.html

---おしらせ---

宮澤やすみ出演
【小唄 in 神楽坂 15周年記念特別会】
10月27日(土)14:30開場 15:00開演

神楽坂の小唄師範・宮澤やすみと弟子一門による年に一度の小唄演奏会。
お寺のお座敷で気軽に楽しめます(椅子席あり)。
15周年記念の今回は、日本舞踊のほか鳴物も入り、華やかで豪華な会になります。
解説トークを交えた初心者向けの気軽な雰囲気でおとどけします。
神楽坂散策のついでにお立ち寄りください!

●会場 神楽坂善国寺(毘沙門天)書院
●料金 前売2000円、当日2500円

●出演
宮澤やすみ(歌、三味線)
弟子一同
吾妻春瑞(舞踊)
冨田慎平(鳴物)

●詳細
http://yasumimiyazawa.com/kouta.html