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仏像の光、人間の闇 ~仏像はなぜ変化する?~

今期の仏像講座、終えました。毎回7~8週の短期講座ですけど、これがなかなか大変でして。
毎回内容はちがいますが、講座タイトルはいつも「仏像の光と闇」で統一。「基本編」のほかに「魔都編」「異形編」「神仏編」などなど、ちょっと意味深?な言葉をつけているのです。
手塚治虫の大作『火の鳥』で鳳凰編とか未来編とか付きますけど、あれをマネしたんですね。すみません。


早稲田大学エクステンションセンター中野校にて

たとえば「魔都編」では、藤原京、平城京、平安京、鎌倉、江戸の構造に着目して、風水を交えて寺社の機能を見ました。
「異形編」では、庚申信仰の本尊である青面金剛や、牛頭天王とスサノオ、荒神など、ちょっと謎の多い神仏に着目しました。

つまり、扱うのは真っ当な仏像とは限らないんですけどね。「魔都編」なんかは仏像ほとんど登場しないし……、
でもいいんです。ぼくの講座の共通テーマは「神仏習合」。さらに「仏像は、仏教だけではわからない」というのがキャッチフレーズになっているのです。


先日は神仏分離-廃仏毀釈の話もしました

仏像は、今でこそ美術品としての側面もありますが、昔の人にとっては、願いをかなえてもらうための「装置」でもあった。
今では迷信とかオカルトで片付けられることも、当時は皆本気で信じていて、仏像に思いを込めたわけです。

だから、災害が怨霊のしわざだとされた時代には、仏像も怨霊に対抗するかのような力強い姿になるし、
”この世は末法”とあきらめムードの時代には、あの世の極楽浄土にあこがれて安らかな仏像が造られた。

激しい修行をする山伏は激しい姿の権現や明王を信仰するし、
禅寺の世界では枯れた風合いの小さな観音を信仰したりした。


山伏が信仰した蔵王権現(イスム仏像)を教材に使ったことも

まあ要するに、仏像は、使う人と用途を考えると、いろいろ分かることがある、ということですよね。

それを突き詰めている人は、専門的な研究をなさっていますが、ぼくみたいな一般人は、一般人なりの目線で、専門家のお話を取材して、一般の愛好家にわかるように簡潔にまとめた次第です。

「仏像の光と闇」というタイトルで誤解されることもありますが、「闇」とは、仏像を扱う人間の心の闇のことです。

以前、お寺での取材でご住職が
「いいんだよ!仏像にどんどん煩悩をぶつけてよ!」
と、ほとんど居酒屋のノリでおっしゃってくださいましたが(シラフですよ)、そりゃもう一般の人間は煩悩まみれなわけで、そんな弱さのある人間と、光り輝く仏像の間で、生まれた歴史がなかなか面白いのです。


リクエストがあれば教室で如意輪観音の歌も。生徒さん手拍子してる

そんな体験もあって、この講座を始めてもう5年。
このうち、「基本編」の内容をまとめたのが、タイトルも同じ『仏像の光と闇』という本という次第です。
講座の空気感を感じてもらうよう、全編話し言葉で書きました。

ほかの編の内容も、本にできたらと思うんですけど。そのためには今回の本が売れないと(笑)。
なんとかお願いします。そんな煩悩を素直に出しまくっている今日この頃です。


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宮澤やすみ・著『仏像の光と闇』水王舎・刊

---おしらせ---

本コラム著者・宮澤やすみ出演

”仏像バンド”宮澤やすみ and The Buttzと行く
【目黒寺社さんぽ&フラワーパーティ】
目黒は江戸の裏鬼門。
謎めく仏像スポット・目黒の秘仏を特別に拝観します。
さらに「花祭り」ならぬ「フラワーパーティ」で仏像ファンの
交流も。ブツトーク&ライブで盛り上がりましょう。

4月6日(土)14時集合
詳細は、

http://yasumimiyazawa.com/buttz/flowerparty.html