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国宝・東寺展!寺を守る神像の「霊木信仰」

国宝・東寺展。ぼくの周囲でも「行ってきた!」「すごかった!」の声が聞こえています。聞こえるというか、SNSで読むんですけど。


写真は報道内覧会で許可を得て撮影しています

仏像ファンには、なんといっても展示最後の仏像曼荼羅が大好ブツというか、最高最大のメインディッシュだと思うのですが、そこに至るまでの展示もなかなか見ごたえあり、なかでも推したいのはこちらです。


《女神坐像》足の組み方や手の位置が仏像っぽい

女性の像です。これは神社の神を表した神像です。
八幡宮の祭神のうちの女神像。
神像を前にしてなんですけど、頼もしい肝っ玉母さんのようです。

この重量感あふれる迫力は、まるで如来坐像そのもの(蓮のつぼみを持ってるところは菩薩っぽいけど)。
この像ができたのは、平安京ができて数十年しか経ってないころだそうですが、この頃はすでに神仏習合の思想が浸透していました。

本来、目に見えないものである神の姿を彫像で表すのは、まさに仏像造りの影響でして、初期の神像は仏像のスタイルをまねて造られました。首には如来の特徴である三本の皺「三道」もみられます。
この像は「最初期の神像としてきわめて重要」(東寺展図録より)とのこと。

さらに興味深いのは、この像の材料となった木材。

中に空洞の洞(うろ)がある木を、わざわざ使って、しかも洞のある側を前面に向けて造られているそうです。
だから、顔や胸の部分は別材を継ぎ足して造っています。
わざわざそんな難しいことをしなくても、と思うけど、そうまでしてこの木を使う理由があったんでしょう。
つまり、その木材自体が、なにかの霊性をもった「霊木」だったと推測されるのです。

仏や神の像を造るとき、その材料自体もそれなりにいわくのあるものを使用したんですね。
だから造り方も、ひとつの霊木で全体を作る「一木造り」が多いです(このあとの時代には、寄木造が発達します)。

八幡神は、奈良の大仏造りに手を貸したりして、朝廷から頼りにされ、おおいに格を上げたカミです。
そんな朝廷との関係が深い神ですから、平安京の守りを固める東寺にも鎮守の神として祀られたんでしょうか。


八幡神に仕える武内宿禰(たけうちのすくね)。本来は服を着せて安置したらしい

東寺が完成する前後の奈良~平安時代は、神と仏がガッチリ手を組んで国を動かしていました。その象徴がこの女神像です。

特別展「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」
2019年3月26日(火)~6月2日(日)
東京国立博物館・平成館にて
詳細は https://toji2019.jp

---おしらせ---

本コラム著者・宮澤やすみ出演

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