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仏像と音楽-大仏開眼で奏された曲「陪臚」

前回記事で仏像と音楽のつながりを紹介しました。今回もその続きで。

誰でも知ってる奈良東大寺の大仏ですが、その開眼供養で演奏された曲ってご存知ですか?

奈良時代の東大寺の大仏開眼供養は、海外からの賓客も多く集まって盛大に行われました。
そこでは音楽も演奏されたんですが、ワタクシも聴きました。

といっても、タイムマシンで現場に行ったとかいう話じゃなくて、現代の人たちが再現演奏したコンサートです。

雅楽の「陪臚(ばいろ)」という舞楽がそうです。


都内での雅楽演奏会でした

雅楽は昔のアジアのオーケストラ。篳篥(ひちりき)と竜笛がメロディ、箏と琵琶がコードとリズム、太鼓もさまざまなビートや雰囲気を演奏します。
「陪臚」は、拍子がきっちり決まっていて、二拍、四拍、の繰り返し。
琵琶が、小節の区切りで「じゃらん!」と鳴らすので、聴いてるだけでその独特のリズムが感じられます。

雅楽は一般的に、遅~いテンポで始まってだんだん早くなる。
このリズムに身をゆだねると、凪の海で舟にゆられているような、きもちよ~い感覚に浸ることができるんですね。

この曲では、武人たちの舞が付きます。
武人が太刀と盾を床に置き、華麗な舞が繰り広げられます。
その手は、「刀印(剣印)」という、チョキの手で伸ばした指をくっつけた形をとります。
太刀は置いたけれど、心には刀を持ってる、みたいな感じでしょうか。

ワタクシはこれを見て「あっ!蔵王権現だ~」と思いましたね(笑)
蔵王権現が刀印を結んでポーズとってますよね。まさしくあの手です。仏像も雅楽も輸入文化。共通項があるんです。
飛鳥時代の如来なんかもだいたい刀印ですね(これは与願印の一種とされますが)。


蔵王権現の左手が刀印

さて、曲名の「陪臚」でピーンときた方もいらっしゃると思いますが、「ばいろ」は、まさしく大仏のことを指したもの。
大仏の名称は「毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)」略して「廬舎那仏(るしゃなぶつ」といいますが、古代インドでは「ヴァイローチャナ」というそうです。
この「ヴァイローチャナ」を漢字で表したのが「陪臚」というわけですね。
「チャナ」はどこいったんだ、という話もあるけどまあまあ細かいことは置いといて、というか私もわからないんでね。分かる人いたら教えてください。

それにしても、思いますのは、1300年前の音楽が、現代にもちゃんと伝わっているということ。

音楽は、彫刻や絵画と違って実体が無く、演奏したその場で消えてしまうもの(俗に”消えもの”という)です。
ところが、昔の音楽は、レコードもMP3も無いというのに、残るもんなんですね。

ひとえに、楽譜と口伝えで伝えてきた先人達のおかげです。

自分がやっている三味線音楽「小唄」だって、およそ100年前の音楽で、蓄音機の古いレコードはかろうじてあるものの、やはり師匠からの口伝えがメイン。それでも、わりと正確に現代まで伝わってるんです。この前、蓄音機で古い演奏を聴く機会があったのですが、ぼくが日頃演奏している音とまったく同じでした。

雅楽「陪臚」もおそらく昔のままなんでしょう。
大仏のほうは何度も燃えて、造立当時の姿はもうありません。音楽は、災害や戦争があっても、人さえ残れば残っていく。そうなると音楽というのは歴史のタイムカプセルみたいだなと思う次第でありました。

ぼくが書いた曲も、少しは後世に残ってほしいものです。
「ご開帳ブルース」は歌いやすいし、みんなの心に残ってくれたら、次世代にも”オープンザドアー♪”のメロディが繋がるか・・・さて、どうですかな。


奈良時代のもので残っているのは、台座と音楽だけ

Youtubeに「陪臚」あります。
こちらは舞あり。


こちらは琵琶や箏がそろったフルオーケストラ。琵琶のバチさばきが面白い。


---おしらせ---

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http://www.isumu.jp/info-contents/B-live2019/