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根津美術館で愛染明王のヒミツが分かった

こんにちは。自分の「小唄かふぇ」出演を終えグッタリしている宮澤やすみです。三味線とウクレレの親和性の高さをお見せしました。

そんな中、先日は東京・根津美術館の「優しいほとけ、怖いほとけ」展をみてきました。

ポスターにもなった愛染明王は本展の主役扱い。怖いとあるけど、けっこう整った顔立ちで、クールなイケメンさんが、怒りのお芝居をしているような印象です。
愛染明王の像は、西大寺にも有名な像がありますが、それほど怖い感じはしませんね。

ところが、仏画になるととんでもなく怖い顔に描かれるんですね。
見開いた目の迫力、猛り狂う忿怒の様子が伝わります。このほうが明王らしい恐ろしさが存分に表現されていました。


愛染明王の例(イスムより)左手の拳に注目

そして、解説が興味深かったです。
それによると、愛染明王はいろんな目的で修法(密教の祈願法)が行われますが、左第三番目の手(上に掲げた手)に持つモノによって、目的が異なるのだそう。たとえば、

宝珠を掲げるのは増益法。
--幸福や財産を増やすご利益

日輪(三本足のカラスが描かれる)を掲げる場合は息災法
--病気平癒のご利益
といった具合。そして、

なかには、手になにも持たず、グーのかたちをしているのもあるんですが、これは
”行者が必要な持ち物を観想して修法する”
のだそうで、つまりオールマイティということ!

まるでトランプのジョーカーのような、グーの効用(笑)
というか、要は「イメトレの力」ということなのでした。

関係ないけど、アスリートも試合前にイメトレを繰り返すというし、ぼくも弟子に三味線の稽古をつけるときは、ただ闇雲に糸をはじくよりまずイメトレを推奨しています。


広いロビーには古代中国の仏像も

そんな今回の企画展、じつはもう終わっちゃってるそうなんですけど……、すみません余韻を味わう気持ちでお読みいただければ。

展示全体のコンセプトは、如来、菩薩、明王、天の4カテゴリを紹介するもので、それを「尊い」「優しい」「怖い」「厳しい」と表現していました。
なかでも、「怖い」明王の図像と「優しい」菩薩はインパクトがありました。

展示最後には、水牛に乗った姿で知られる大威徳明王が、牛の背に立ち上がって、威勢よく弓を射る図像が。こんなに活動的な大威徳明王は初めてみました。
なんでも、怨敵調伏を目的とした「転法輪法」に使われる図像なのだそうです。敵を射抜く姿は、勇ましいというより禍々しい魔物という印象でした。

菩薩のほうは、天平期に造られた小金銅仏がよかったです。天平の前時代である白鳳のおおらかな雰囲気をたたえながら、きりっとした眼にくびれた腰つき、両腕から垂れる天衣のひらひら加減が天平の流麗さを表していて、両時代をまたぐ様式が非常に見ごたえありました。
根津美術館の館蔵品なので、また観る機会があるといいなと思います。


竹と石のエントランスアプローチがおしゃれです

---おしらせ---

本稿の筆者・宮澤やすみ出演

【活動写真サロン】
9/11(水) 19:30開演(19:00開場)
新宿カールモールにて
出演:
山内菜々子(活動写真弁士)
宮澤やすみ(エレキ三味線、三味線、小唄)

サイレント映画に活動弁士が生で声を付け、
楽士が生演奏する、活動写真上演。
現代の演奏で古い映画も今の作品として蘇ります。
今回は1915年・米映画「チート」を、珍しい
エレキ三味線の伴奏で上演します。
宮澤の専門である「小唄」コーナーもあります。

詳細はフライヤー
http://yasumimiyazawa.com/katsu_salon.jpg