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イタリアの”渡辺謙”に会ってきたーイタリア守護聖人の旅その1
”目力があってキリっとした男性で、ぼくは観た瞬間に勝手に「ポルデノーネの渡辺謙」というキャッチフレーズを付けました。この渡辺謙、本当の名前は--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。さきほどイタリアから帰国して浦島太郎状態の宮澤やすみです。国内では巨大台風の爪痕が残っていますが、被災された方にはお見舞い申し上げます。
というわけで、イタリアに滞在してました。
三味線演奏の仕事でしたが、合間にはしっかり教会チェックもしてきましたよ。仏像もいいけど、イタリアの古いキリスト教美術もたまらないです。
滞在したポルデノーネという町は、ヴェネツィアから東へ車で一時間ほど。
中世にはオーストリア、その後ヴェネツィアの支配を受けて独特の文化を醸成しています。チョコレート菓子(オーストリア風)とワイン(イタリア風)にその影響を感じます。
小さな町ですがカラッとした空気に青い空、アルプスからの清流が流れ込んでとても気持ちのいいところでした。
ポルデノーネ市庁舎
町のランドマークは独特なかたちの市庁舎。13世紀、日本なら鎌倉時代後期の建物。
週末に行ったらここで結婚式をやってました。
つまりまだ現役で使用されているのです。
その横にあるのが、サンマルコ聖堂。正面は再建されたものだけど、奥のほうは13世紀・鎌倉時代のものが残っています。
ロマネスク様式の重厚な建築
中に入ると、貴重なフレスコ画があちこちに。
そのなかで今回紹介するのはこの方です。
San Rocco by Giovanni Antonio de' Sacchis 1515-1518
目力があってキリっとした男性で、ぼくは観た瞬間に勝手に「ポルデノーネの渡辺謙」というキャッチフレーズを付けました。
この渡辺謙、本当の名前はサン・ロッコ(San Rocco)。
聖ロクスともいいます。
身廊を支える八角形の大きな柱に描かれた聖人画のひとつで、2009年に修復されてイケメン度が増しております。
八角柱の一面に描かれている
力強い眼から生命力を感じますが、じつはこの方ペストの守護聖人なんだそうです。
守護聖人というのは、キリスト教に帰依して善行を積み、たいていは迫害殉教したような人物が、あとで守り神的な存在になった人のことです。
仏像ファン目線でいうと「天部」「護法善神」に近い位置づけかと思います(神じゃなくて人という点が異なるけど)。
ともかく、病気を治してくれる現世利益は、世界のどこでも重要ですね。
サン・ロッコさんは、フランスで一念発起して、各地のペスト患者を治す旅に出たそうです。
しかし脚の傷がもとで自分もペストにかかってしまいましたが、犬が患部を舐めて治ったというエピソードがある。
その後帰郷したらスパイに間違われて獄死してしまうという、救いのない感じがいかにも聖人らしいのですが。
こうしたエピソードから、だいたいサン・ロッコ(聖ロクス)は、脚部に傷を負い、犬がいる構図が通例。
こちらのフレスコ画でも、太ももの傷が目立ち、自分の左手で傷を指さしています。犬はいません。
脚の傷を見せているポーズ
ヴェネツィアではペストが大流行したことから、この聖人を祀るサン・ロッコ聖堂がありますが、そこから近いポルデノーネも、大変だったことでしょう。
現在は、街のシンボルキャラクター的な存在になって、市を代表する顔になっています。
八角柱の他の面には聖母子像もある
この旅は、ポルデノーネで開催される、国際的な無声映画祭というビッグイベントに出演するためのものでした。
活動写真弁士・片岡一郎をリーダーに、ぼくが三味線、ほかにピアノ(上屋安由美)、太鼓(田中まさよし)の4人で上演し、おかげさまで絶賛を受けました。
イタリアのメディアレポート:
https://quinlan.it/2019/10/11/chushingura/
古いサイレント映画に、弁士の語りとぼくらの生演奏が付いて上演するもので、今も世界中で親しまれています。前回記事もごらんください。
【サイレント映画に登場していた仏像に注目】
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20191008-2/
左から片岡一郎、宮澤やすみ、上屋安由美、田中まさよし。名付けて「映楽四重奏」
---おしらせ---
本稿の筆者・宮澤やすみ出演
【50年に一度の”ご開帳”
宮澤やすみ 69生誕祭】
11/9(土) 18:00開演(17:30開場)
目黒・SLOPEにて
出演:
宮澤やすみ and The Buttz(仏像バンド)
The 69 JAZZ CLUB(宮澤やすみジャズバンド)
ザ・ショウワーズ(1969=昭和44年を歌う)
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみ生誕50周年
また、ロック全盛期1969年から50周年を記念して
仏像+音楽のイベントを開催。
江戸の裏鬼門・目黒の貴重な秘仏など特別拝観も(要予約)
詳細はHP
http://yasumimiyazawa.com/buttz/69.html
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。さきほどイタリアから帰国して浦島太郎状態の宮澤やすみです。国内では巨大台風の爪痕が残っていますが、被災された方にはお見舞い申し上げます。
というわけで、イタリアに滞在してました。
三味線演奏の仕事でしたが、合間にはしっかり教会チェックもしてきましたよ。仏像もいいけど、イタリアの古いキリスト教美術もたまらないです。
滞在したポルデノーネという町は、ヴェネツィアから東へ車で一時間ほど。
中世にはオーストリア、その後ヴェネツィアの支配を受けて独特の文化を醸成しています。チョコレート菓子(オーストリア風)とワイン(イタリア風)にその影響を感じます。
小さな町ですがカラッとした空気に青い空、アルプスからの清流が流れ込んでとても気持ちのいいところでした。
ポルデノーネ市庁舎
町のランドマークは独特なかたちの市庁舎。13世紀、日本なら鎌倉時代後期の建物。
週末に行ったらここで結婚式をやってました。
つまりまだ現役で使用されているのです。
その横にあるのが、サンマルコ聖堂。正面は再建されたものだけど、奥のほうは13世紀・鎌倉時代のものが残っています。
ロマネスク様式の重厚な建築
中に入ると、貴重なフレスコ画があちこちに。
そのなかで今回紹介するのはこの方です。
San Rocco by Giovanni Antonio de' Sacchis 1515-1518
目力があってキリっとした男性で、ぼくは観た瞬間に勝手に「ポルデノーネの渡辺謙」というキャッチフレーズを付けました。
この渡辺謙、本当の名前はサン・ロッコ(San Rocco)。
聖ロクスともいいます。
身廊を支える八角形の大きな柱に描かれた聖人画のひとつで、2009年に修復されてイケメン度が増しております。
八角柱の一面に描かれている
力強い眼から生命力を感じますが、じつはこの方ペストの守護聖人なんだそうです。
守護聖人というのは、キリスト教に帰依して善行を積み、たいていは迫害殉教したような人物が、あとで守り神的な存在になった人のことです。
仏像ファン目線でいうと「天部」「護法善神」に近い位置づけかと思います(神じゃなくて人という点が異なるけど)。
ともかく、病気を治してくれる現世利益は、世界のどこでも重要ですね。
サン・ロッコさんは、フランスで一念発起して、各地のペスト患者を治す旅に出たそうです。
しかし脚の傷がもとで自分もペストにかかってしまいましたが、犬が患部を舐めて治ったというエピソードがある。
その後帰郷したらスパイに間違われて獄死してしまうという、救いのない感じがいかにも聖人らしいのですが。
こうしたエピソードから、だいたいサン・ロッコ(聖ロクス)は、脚部に傷を負い、犬がいる構図が通例。
こちらのフレスコ画でも、太ももの傷が目立ち、自分の左手で傷を指さしています。犬はいません。
脚の傷を見せているポーズ
ヴェネツィアではペストが大流行したことから、この聖人を祀るサン・ロッコ聖堂がありますが、そこから近いポルデノーネも、大変だったことでしょう。
現在は、街のシンボルキャラクター的な存在になって、市を代表する顔になっています。
八角柱の他の面には聖母子像もある
この旅は、ポルデノーネで開催される、国際的な無声映画祭というビッグイベントに出演するためのものでした。
活動写真弁士・片岡一郎をリーダーに、ぼくが三味線、ほかにピアノ(上屋安由美)、太鼓(田中まさよし)の4人で上演し、おかげさまで絶賛を受けました。
イタリアのメディアレポート:
https://quinlan.it/2019/10/11/chushingura/
古いサイレント映画に、弁士の語りとぼくらの生演奏が付いて上演するもので、今も世界中で親しまれています。前回記事もごらんください。
【サイレント映画に登場していた仏像に注目】
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20191008-2/
左から片岡一郎、宮澤やすみ、上屋安由美、田中まさよし。名付けて「映楽四重奏」
---おしらせ---
本稿の筆者・宮澤やすみ出演
【50年に一度の”ご開帳”
宮澤やすみ 69生誕祭】
11/9(土) 18:00開演(17:30開場)
目黒・SLOPEにて
出演:
宮澤やすみ and The Buttz(仏像バンド)
The 69 JAZZ CLUB(宮澤やすみジャズバンド)
ザ・ショウワーズ(1969=昭和44年を歌う)
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみ生誕50周年
また、ロック全盛期1969年から50周年を記念して
仏像+音楽のイベントを開催。
江戸の裏鬼門・目黒の貴重な秘仏など特別拝観も(要予約)
詳細はHP
http://yasumimiyazawa.com/buttz/69.html