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白蛇弁財天の祈願は密教風? 東京の蛇窪神社

”神社なのに、突然ほら貝のブォーという音が境内に響きます。ほら貝といえば、密教寺院で使う法具ですよ--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。なかなかウイルス禍が収まらないなか、人々の心がカッサカサになっていく様子が気がかりに思う宮澤やすみです。皆様はいかがお過ごしですか。こちらは相変わらず出演仕事は中止の嵐で仕事が無くなっております。

そんな中ですが、先日は、東京・中延の神社にいってきました。その名も「蛇窪神社」です。

ここには白蛇の伝承がありまして(後述)、白蛇にまつわるお守りや祈願が知られます。

なんでも巳の日に限って、ホンモノの白蛇(天然記念物)の脱皮を入れた「夢巳札」が授与されるとのこと。
なんとその日はちょうど巳の日。さっそく出かけてきました。

地下鉄中延駅から歩いて5分ほど。住宅地にぽつんとある境内に、夢巳札とご朱印を求める参拝者がちらほら。1500円で夢巳札を授与してもらいました。


白蛇の脱皮した皮が収められた「夢巳札」

本殿裏の弁財天社は少しだけ参拝の行列がありましたが、静かなものでした。


蛇窪神社の本殿


境内奥の弁財天社


本殿は天祖神社、つまり天照大神を祀りますが、そこにも「白蛇さま」の扁額があり、そこで「白蛇祈願」もできるそう。
この祈願、その日に偶然見ることができましたが、なかなか興味深かったです。

神社なのに、突然ほら貝のブォーという音が境内に響きました。ほら貝といえば、密教寺院で使う法具ですよ。修験道の山伏が使うものです。
それが神社の神殿で吹かれるという。神仏分離した現代ではかなりめずらしい光景ではないでしょうか。

さらに、太鼓の打ち方も、ドンドコドンドコ、かなり早いリズムを刻みます。これも深川不動尊などお寺で見かけるスタイル。
ふつう、神社の太鼓だと、1発2発、厳かに打つだけなのに、このハードロック調の太鼓リズムは、心躍ります。
もう帰ろうと鳥居へ向かっていたのに、この音を聞いて慌てて本殿まで戻って、最後まで拝見させてもらいました。
神社さんがアップしている動画もありまして、この記事末尾に貼っておきます。


白蛇の置物は、授与の翌年ここに奉納する習わし

弁財天のあるところ、祈願の作法も神社と寺院の習合が見られます。蛇窪神社さんはいろんな工夫をされていて、地元の人々に親しまれ、居心地のよい空気を感じました。


撫でて祈願する「撫で蛇」。ウイルス対策で消毒アルコールが置いてありました

さて、蛇窪神社の白蛇伝承はこんな感じです:
鎌倉時代ごろ、この地に白蛇が住んでいたのが棲み処を追われ、のちにこの地の名家の夢枕に白蛇が現れ「もとの棲み処に帰してほしい」と懇願。
それを機に、厳島弁財天をここに勧請し昭和29年に社殿を建立。白蛇を祀ったとのことです。


あちこちに蛇や龍の作品が。社殿建立まもない頃、地元の真鍋勝氏が奉納したもの

さて、ここに登場する厳島弁財天は、ご存知広島県の宮島にある大きな神社です。

弁財天と言えば、蛇なんですよね。
なぜでしょうか?

そして、そもそも弁財天(弁才天)はインド由来の仏教のキャラクターで、仏像も造られているのに、なぜ神社にいるんでしょうか?


また、白蛇の由来は、広島に隣接する山口県、岩国市にありまして、ここは白蛇生息の地で、現在は天然記念物として大切に飼育され白蛇信仰も盛んな土地です。

じつはわたくし、この岩国市の生まれでして、しかも白蛇さんがすぐそばの地域でして、生まれ故郷と蛇窪神社がつながっていて何やらご縁を感じたのでした。

次週は、岩国と白蛇信仰、そして弁財天と蛇についてご紹介しましょう。



(参考)

蛇窪神社
https://hebikubo.jp/

蛇窪神社の「白蛇祈願」動画