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道に宿る魂とは? 幡ヶ谷の「道供養塔」

”交差点には魔物が棲む……。江戸時代、この笹塚交差点にはどうやら何かあったようです……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。都内は外出は自由になりまして、まず近隣のこちらに行ってきました。

渋谷区幡ヶ谷にある、牛窪地蔵尊です。


気に留める人もなく、人が行き交う

とはいえ、ここで注目したのは地蔵堂の横にある「道供養塔」でした。江戸時代後期、文化三年(1806)の建立です。

ここは、甲州街道と中野通りが交差する場所。
昔から旅人が行き来していたようです。

現場に設置されている、地元有志の解説板によると、
”道供養塔は(略)道しるべとしてもわかり易く、当時行路者の行き倒れが非常に多く 篤志家によって建てられたものである”


笹塚交差点の「道供養塔」

供養塔の横には庚申塔もあります。こちらは享保九年(1724)の建立。
こうした庚申塔も道の辻(交差点)によく置かれましたが、交通安全と、辻を行き交う邪気を封じる意味もある。
交差点には魔物が棲む……。
洋の東西問わずこうした話はありますが、
江戸時代、この笹塚交差点にはどうやら何かあったようです(それは来週)。


庚申塔は、本尊として青面金剛が彫られる。足下に邪鬼を踏み、その下の台座に三猿がいる。日輪、月輪をかたどった持物も特徴

そんな歴史ある交差点に立つ「道供養塔」ですが、渋谷区の解説によると、
”道祖神、地蔵尊などの交通安全、悪魔退散の呪術的信仰とは”違うとのこと。

さらに引用しますと、
”道路自体を供養して報恩感謝の念を捧げることにより、交通安全を祈ろうとする”

とのことで、交通の利便をもたらす道そのものに感謝する風潮があったそうです。

私も別の場所で「橋供養塔」など見かけたことがあります。

つまり、道や橋など、くらしのインフラ設備を生き物と同じように感謝するわけですね。
この精神構造が興味深いと思いました。

日本では古来より、万物に魂が宿るとする信仰があります。身の回りの物品にも魂があるとされ、生物と同じように扱われます。
妖怪にもありますよね。「傘化け」(からかさ小僧)なんかがそうですが、物に魂が宿って動いたり人間に悪さしたりする。
長い年月が経った道具には魂が宿り「付喪神(つくもがみ)」になるといいます。

そして、道具だけでなく、道や橋などのインフラも付喪神化すると考えられたのでしょうか。
たんなるモノじゃなくて、生きた存在として扱う、昔の日本人のメンタリティが、この「道供養塔」に見て取れます。

「道さんありがとう」「橋さんありがとう」
という気もちで建てられたのが、道供養塔なのですね。


左手のとがった建物が地蔵堂。右手が笹塚交差点。甲州街道に中野通りが交差し、京王線が横切る


我々現代人もこれにならって、「Wi-Fi基地局供養塔」など立てたらいいんじゃないでしょうか。
いや、もう建てられてるかもしれませんね。


さて、肝心の牛窪地蔵尊ですが、この一角でいちばん古いのが牛窪地蔵。
道供養塔も庚申塔もそうですが、やはりどれも、この辻の災い封じ、安全祈願として機能しているようです。
その大元となる「牛窪」の地名の由来に、なかなかエグイ話があるのでした……

次回ご紹介しましょう。



●おしらせ

1.
民俗&仏像好きならおいでませ
【小唄かふぇ Vol.29】

2020年7月22日(水)29日(水)2回公演
本コラム著者・宮澤やすみ出演
都内のバーでの三味線ライブ。
ゲストは、神楽研究の第一人者・三上敏視さん。
音楽と研究活動をする両名による、神仏民俗ライブ&トーク
(三密対策で各回入場10名限定。安全に配慮して実施します)

詳細、予約は
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/



2.
本コラム筆者の”仏像バンド”ことThe Buttz(ザ・ブッツ)
新譜音源発売中

「日本書紀」成立1300年記念
飛鳥をテーマにしたミニアルバム『欣喜雀躍』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
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アルバムジャケットは飛鳥・橘寺の風景



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m