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快慶、大日如来の視線-石山寺・如意輪観音の旅 その10

”暗がりでも白目がくっきり見えて、黒々した瞳がこちらを睨みつけるようです……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。ここ数回は、滋賀・石山寺をテーマにブツブツ書いております。

前回は、石山寺の創建譚から、本尊の魂ともいえる胎内仏を紹介しました。

さて、石山寺の旅シリーズを三カ月ほど書いてきましたが、石山寺は本当に書きたいネタが多いです。日本の文化史、宗教史において非常に重要な古刹であることがわかりました。

連載初回より、山門から比良明神影向石、毘沙門堂、御影堂、そして本堂の本尊と、つぶさに見てきまして、拝観順路としては最後にあたる多宝塔に行き着きます。

前にも少し書きましたが、このかたちの多宝塔(第一層が四角形、第二層が円形)のうちでは、この塔が現存最古なのだそうで、鎌倉時代の建築です。


石山の頂にひっそり佇む石山寺多宝塔

この中に安置されているのが、密教の根本仏である大日如来。

しかも、あの有名な仏師・快慶の作なんですね。

墨書銘の特徴から、快慶が法橋という僧位を得る建仁三年(1203)より前の作とされます。

快慶は法橋位を得る以前から、東大寺と関係が深かったのでした(正確に言うと、焼失した東大寺再建を担った重源上人の弟子だった)。
焼失した大仏殿の、脇侍の再造プロジェクトに関わったのが1195年ごろ、1201年には僧形八幡神、1202年には俊乗堂の阿弥陀如来(通称:三尺阿弥陀)、そして1203年には運慶とともに東大寺南大門の金剛力士を手掛けています。

いっぽう石山寺は、これまでの連載で見てきたように、東大寺は密接な関係があったわけで、東大寺と関係が深かった快慶が石山寺で仕事をするのは自然なことですね。


さて、あらためて石山寺多宝塔内陣を拝観。
暗い中に目を凝らすと、次第に目が慣れて見えてきます。


石山寺多宝塔内、大日如来坐像。快慶作 重要文化財

引き締まった身体で、両手は智拳印という印を結んでいます。

特徴はやっぱり目でしょうか。暗がりでも白目がくっきり見えて、黒々した瞳がこちらを睨みつけるようです。感情はいっさい感じられず、ただただ無の境地でこちらを見ている。無の境地で見つめられると、こっちは痛くもない腹をさぐられるようで、なんだかどぎまぎしてしまいます。
何も悪くないのに……と思うのですが、人間どこかしらに小さな罪業意識があるのでしょう。
何もかも見透かされている、というような快慶作大日如来の眼でありました。


それでは一曲、聴いてください。
ザ・ポリスで「見つめていたい」



(参考)
大本山 石山寺公式ホームページ
https://www.ishiyamadera.or.jp





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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m