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謎多き丑年の守り本尊:虚空蔵菩薩
”どうして「丑寅」とペアで扱われてしまうのか、疑問に思ったことはありませんか?……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。ソロアルバムが無事に出て、こんどは記念のライブ準備に奔走している宮澤やすみです。
さて、今年の干支は丑(ウシ)ということで、この連載では牛頭天王、大威徳明王というちょっと変わった仏像を紹介してきました。
ほかに牛にまつわる仏像といいますと……
「うちのオカンがな、大好きな仏像があるというんやけど、その名前を忘れたて」
「なんか言うてなかったか?」
「丑年の守り本尊やねん」
そらもう虚空蔵菩薩やないかということで、
(すみません今回もミルクボーイさんに影響されました。まさに乳牛)
丑寅生まれの人の守り本尊としてよく知られます。
もともとのご利益は、智慧や記憶にまつわるご利益が知られます。広大な宇宙のような空間に智慧をため込む。そのため膨大なお経をぜんぶ記憶できるということです。
空海が若いころに「虚空蔵菩薩求聞持法」という修行を修したエピソードがあり、これを成し遂げたおかげで、留学先の中国・唐であらゆる智慧を吸収できたとか。
ほかにもいろんな場面で登場する虚空蔵菩薩。
日本では、亡くなった方の追善供養の最終日「三十三回忌」の本尊であり(十三仏信仰)、また数え年13歳の子の成長を祝う「十三参り」という習慣が伝わっています。
記憶のご利益から受験の祈願もされたりして、くらしに密着している虚空蔵菩薩ですが、わりとナゾが多い仏であります。
姿は、基本的には、二本腕のいわゆる基本的な菩薩形に、右に宝剣、左に如意宝珠をもつのが一般的だそうで、私個人の記憶をたどれば、東京では目黒不動尊本堂にある像がこの姿をしています(撮影NGなので載せられない)。
しかし、その他の姿もよくみかけます。
上野・寛永寺開山堂の虚空蔵菩薩は、二臂(二本腕)ですが剣を持たず、左手は宝塔のようです。
寛永寺開山堂の虚空蔵菩薩
山梨・智光寺で見た像は四臂でした。
「甲斐三虚空蔵」のひとつ、智光寺の虚空蔵菩薩は、智恵満虚空蔵とも称される
虚空蔵さんの場合は、密教のいろいろなお経とか修法によって像容が変わるようです。
庶民のくらしにおいては、姿がいろいろあろうが関係なく地域の信仰を集めてきました。
話を戻して、「牛繋がり」としては、冒頭のとおり、丑寅年の守り本尊であること。
また、方位としても丑寅の方角は東北、いわゆる鬼門にあたります。その鬼門を護るのが虚空蔵菩薩とされます。
上野寛永寺は江戸の鬼門にあたり、だから虚空蔵菩薩がいるんでしょうか。
十二支に応じた守り本尊。四隅の干支がペアにまとめられているのはなぜ?
ここでひとつ、疑問に思うことがありませんか?
ぼくは、昔から素朴なギモンを持っていました。
それは、
なぜウシとトラを一緒にまとめちゃうの?
ということです。
仏像業界でよくいわれる「守り本尊」は、十二支に八つの仏をあてがっていて、お寺のお守り授与所でよく見かけます。
これを見て、どうして「丑寅」などとペアで扱われてしまうのか、疑問に思ったことはありませんか?
せっかく十二支の本尊と言っているのだから、丑は丑、寅は寅でそれぞれの守護仏があったらいいのにとか、子卯馬酉だけ専用の守り本尊があるなか、現代のクレーマーさん達から「ウチの干支は寅と一緒なのに、お守りの代金が同じなのはいかがなものか」みたいなこと言われて問題になりはしないかとか、余計な心配をしてしまいます。
そんな心配は、まあ冗談でございますが、いろいろ調べていくと12と8の連関にちょっと深い話があるようです。
次週、その解答をご紹介したいと思います。
それでは聴いてください。
ザ・ローリング・ストーンズで、「悪魔を憐れむ歌」。
●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみソロアルバム
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
2021年1月13日発売しました
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(アマゾン、楽天などネット通販でも販売)
2.
【ひとりワロス Vol.4】
新型コロナで出番を失った宮澤やすみの、気ままなソロライブを配信。
三味線で洋楽カバーに懐かしポップ。お江戸の小唄も。
1月22日(金)19:30~配信。
※開演後いつでも見られます
https://youtu.be/5_ejEjit8g4
今回は無観客配信のみです。会場へは入れません。
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。ソロアルバムが無事に出て、こんどは記念のライブ準備に奔走している宮澤やすみです。
さて、今年の干支は丑(ウシ)ということで、この連載では牛頭天王、大威徳明王というちょっと変わった仏像を紹介してきました。
ほかに牛にまつわる仏像といいますと……
「うちのオカンがな、大好きな仏像があるというんやけど、その名前を忘れたて」
「なんか言うてなかったか?」
「丑年の守り本尊やねん」
そらもう虚空蔵菩薩やないかということで、
(すみません今回もミルクボーイさんに影響されました。まさに乳牛)
丑寅生まれの人の守り本尊としてよく知られます。
もともとのご利益は、智慧や記憶にまつわるご利益が知られます。広大な宇宙のような空間に智慧をため込む。そのため膨大なお経をぜんぶ記憶できるということです。
空海が若いころに「虚空蔵菩薩求聞持法」という修行を修したエピソードがあり、これを成し遂げたおかげで、留学先の中国・唐であらゆる智慧を吸収できたとか。
ほかにもいろんな場面で登場する虚空蔵菩薩。
日本では、亡くなった方の追善供養の最終日「三十三回忌」の本尊であり(十三仏信仰)、また数え年13歳の子の成長を祝う「十三参り」という習慣が伝わっています。
記憶のご利益から受験の祈願もされたりして、くらしに密着している虚空蔵菩薩ですが、わりとナゾが多い仏であります。
姿は、基本的には、二本腕のいわゆる基本的な菩薩形に、右に宝剣、左に如意宝珠をもつのが一般的だそうで、私個人の記憶をたどれば、東京では目黒不動尊本堂にある像がこの姿をしています(撮影NGなので載せられない)。
しかし、その他の姿もよくみかけます。
上野・寛永寺開山堂の虚空蔵菩薩は、二臂(二本腕)ですが剣を持たず、左手は宝塔のようです。
寛永寺開山堂の虚空蔵菩薩
山梨・智光寺で見た像は四臂でした。
「甲斐三虚空蔵」のひとつ、智光寺の虚空蔵菩薩は、智恵満虚空蔵とも称される
虚空蔵さんの場合は、密教のいろいろなお経とか修法によって像容が変わるようです。
庶民のくらしにおいては、姿がいろいろあろうが関係なく地域の信仰を集めてきました。
話を戻して、「牛繋がり」としては、冒頭のとおり、丑寅年の守り本尊であること。
また、方位としても丑寅の方角は東北、いわゆる鬼門にあたります。その鬼門を護るのが虚空蔵菩薩とされます。
上野寛永寺は江戸の鬼門にあたり、だから虚空蔵菩薩がいるんでしょうか。
十二支に応じた守り本尊。四隅の干支がペアにまとめられているのはなぜ?
ここでひとつ、疑問に思うことがありませんか?
ぼくは、昔から素朴なギモンを持っていました。
それは、
なぜウシとトラを一緒にまとめちゃうの?
ということです。
仏像業界でよくいわれる「守り本尊」は、十二支に八つの仏をあてがっていて、お寺のお守り授与所でよく見かけます。
これを見て、どうして「丑寅」などとペアで扱われてしまうのか、疑問に思ったことはありませんか?
せっかく十二支の本尊と言っているのだから、丑は丑、寅は寅でそれぞれの守護仏があったらいいのにとか、子卯馬酉だけ専用の守り本尊があるなか、現代のクレーマーさん達から「ウチの干支は寅と一緒なのに、お守りの代金が同じなのはいかがなものか」みたいなこと言われて問題になりはしないかとか、余計な心配をしてしまいます。
そんな心配は、まあ冗談でございますが、いろいろ調べていくと12と8の連関にちょっと深い話があるようです。
次週、その解答をご紹介したいと思います。
それでは聴いてください。
ザ・ローリング・ストーンズで、「悪魔を憐れむ歌」。
●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみソロアルバム
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
2021年1月13日発売しました
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(アマゾン、楽天などネット通販でも販売)
2.
【ひとりワロス Vol.4】
新型コロナで出番を失った宮澤やすみの、気ままなソロライブを配信。
三味線で洋楽カバーに懐かしポップ。お江戸の小唄も。
1月22日(金)19:30~配信。
※開演後いつでも見られます
https://youtu.be/5_ejEjit8g4
今回は無観客配信のみです。会場へは入れません。
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m