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桃の節句に 如意宝珠のレシピ公開!?

”どこか桃と如意宝珠は、イメージで繋がっているのかもしれません……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。春に向けて新たなライブ(配信)の準備を始めている宮澤やすみです。また近いうちにご案内できると思います。

さて、この原稿が出るころはちょうどひな祭りの時期にあたります。

本来は「上巳(じょうし)の節句」というもので、古代中国の無病息災を願う儀式が起源とされます。
水で穢れを流すのですが、日本でも禊祓の儀式の一環として、人形(ひとがた)に自分の穢れを遷して流す儀式が行われました。

この時期にヨモギの入った草餅をいただいたりしますが、これもヨモギの薬効で病魔を除こうとしたのが起源だそうです。

春の時期、コロナでなくてもけっこう体調を崩しがちですもんね。
みなさまどうぞご自愛ください。

桃の花が咲く時期にあたることから「桃の節句」とも呼ばれるのは、ご存知の通り。

仏像で「桃」に関連するもの、なにかあるかなと思ったのですが、この方が胸の前にもつアレって、桃みたいですよね。


如意宝珠をもつ如意輪観音菩薩 イスム仏像より

如意宝珠、という玉ですが、いや見た目は桃みたいですけど(人によっては栗の実とも言われますが)、残念ながら桃そのものではないのでした。

なんでも、これを持つとさまざまな功徳が得られるといい、不思議な力をもつ玉です。

如意宝珠がどこでどう作られたのか、秋山正美『仏像の持ちもの小事典』(燃焼社)によると、経典によってさまざまな書かれ方がされているそうです。
ある書には、竜王の脳から出たといい、または伝説上の怪魚から出たともいい、または優しい心の商人が海から拾い上げたとかあるそうです。
また、あるお経(注)には如意宝珠のレシピが書かれているそうで、引用すると、
1.仏舎利
2.黄金
3.白銀
4.沈香
5.白檀
6.紫檀
7.香桃(こうとう)
8.桑沈(そうじん、そうちん)
9.白心樹沈(びゃくしんじゅじん)
10.柏沈(びゃくじん、びゃくちん)
11.真漆(しんしつ)
「これらのうち、金と銀を円形に作って如意宝とし、その内部に仏舎利三十二粒を奉納し、香木と泥をねり合わせたものを宝器の上側に塗りつけ、こうして宝珠ができあがる」
とのこと。

レシピの4,5は香木、6は高級な木材で高級な三味線にも使われるもの。
8~10は木材のエキスだとのこと。11は漆。
仏舎利以外は、お金をつぎ込めばなんとか手に入りそうですね(金額は計り知れませんが)。
どなたか、作ってみてもらえませんか(笑)


吉祥天も左手に如意宝珠をもつ。(許可を得て撮影)

7には「桃」がありました。
やはり、どこか桃と如意宝珠は、イメージで繋がっているのかもしれません。
中国の神仙思想や、日本のイザナギ、イザナミの伝承などにあるように、古代の人にとって桃は霊力ある果物でした。

如意宝珠を表すのに、桃みたいなかたちにしたのは、古代の人の桃へのと想像力が成すものだったんでしょうか。


それでは聴いてください。
竹内まりやで「不思議なピーチパイ」。


(注)『如意宝珠転輪秘密現身成仏金輪呪王経』


●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
宮澤やすみソロアルバム
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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m