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都心で湖北の観音に逢う「東京長浜観音堂」
”寄合に観音さんも同席して、地酒を酌み交わしワイワイやってるようなようすを妄想してしまい……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。先日のラジオ出演では吉田照美さんとお話できて光栄だった宮澤やすみです。音楽仕事とブツ仕事の両方をじっくり掘り下げていただきました。ありがとうございました。
そんな中、先日は、東京駅から至近の「東京長浜観音堂」のプレオープン内覧会に伺いました。
これは、滋賀県長浜市に残る貴重な観音像を東京で拝観できる施設です。
この連載で何度も紹介した、東京・上野の「長浜観音ハウス」の後継となる場所です。
二か月単位で、長浜の観音像がここにやってきて、無料で拝観できて、撮影もOKという夢のようなところ。
今回いらしていた端正なお顔の観音さんは、平安時代後期の作。
優美なたたずまいはまさしく都ぶりのスタイルで、ひきこまれます。
滋賀県長浜市南郷町に伝わる聖観音菩薩像
身体を前傾させて、救いに来る姿を表現。後ろにまわってみると、衣のたなびきが上手に表現されています。長浜市の方の解説によると「TMレボリューションのように風を受けて」と、さすが滋賀県民らしい表現でこの観音像を絶賛されていました。
腰の部分の衣に注目。風になびくようなリアルな表現
この観音像、現地では、長浜市南郷町にある南郷会館に安置されているのだそうです。
お寺ではなく、南郷会館。つまり町内会の寄合所なんですね。写真をお借りしました。
南郷会館のお部屋のようす。写真提供:長浜市歴史遺産課
ご町内のみなさんが集まるところに古い厨子がすっぽりと組み込まれています。
町内会の寄合で集まっている横に、平安時代の貴重な観音像がふつうにいるという、ほかでは見られない状況が繰り広げられるのですね。仏像ファンからするとこれもまた夢のようなシチュエーションであります。
なんだか、南郷町の寄合に観音さんも同席して、地酒を酌み交わしワイワイやってるようなようすを妄想してしまいますが、それだけ、長浜の人たちにとって、観音は身近な存在であり、家族同然なんですね。
南郷会館の外観。入口の注連縄が神聖さを保っている。写真提供:長浜市歴史遺産課
長浜の仏像の特徴は、地域の一般市民(世話方といいます)が管理しているということ。
戦国時代、戦火でお寺が荒廃しても、仏像は村人たちでずっと守ってきたという歴史があり、このかたちが現在まで続いているのです。
この連載でも前に書いた通り、地元の方が「ウチの観音さん」という言い方をなさっていて、もう観音は家族の一員みたいなもの。
自分も何度も長浜を訪れていますが、「ウチの観音さん」を、ちょっとはにかみながらも誇らしげに紹介してくれる、地元の人のあたたかみが好きです。
両腕の姿勢は、平安後期の代表的作例である比叡山延暦寺・横川中堂の聖観音菩薩に通じるとのこと
ただ、ここもやはり後継者不足など課題はあり、長浜市では拝観を案内する「観音コンシェルジュ」を設置するなど、体制を整えています。
そして東京では「東京長浜観音堂」がオープン。長浜と東京を結び、仏像を未来へ伝えるためのネットワークができました。
「東京長浜観音堂」2022年2月まで開設予定で、みなさんの協力があればさらに継続の可能性も、とのことです。
それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「長浜春秋~琵琶湖観音めぐりのうた~」
■東京長浜観音堂
東京都中央区日本橋2-3-21 八重洲セントラルビル4階西
・開設期間:令和3年7月~令和4年2月
・入館料 :無料
・休館日 :月、火、祝日の翌日
・開館時間:10:00~18:00
公式ホームページ
https://www.tokyonagahamakannondou.com/
■長浜市観音めぐりの案内、問合せ
観音の里 長浜
https://kitabiwako.jp/kannon
(過去記事)
「観音の里」長浜・湖北の魅力とは
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20201013-2/
桜と観音。映像で旅する湖北「長浜春秋」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200407-2/
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
Youtubeで視聴可能(投げ銭)
宮澤やすみYoutubeチャンネルにて
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
2.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。先日のラジオ出演では吉田照美さんとお話できて光栄だった宮澤やすみです。音楽仕事とブツ仕事の両方をじっくり掘り下げていただきました。ありがとうございました。
そんな中、先日は、東京駅から至近の「東京長浜観音堂」のプレオープン内覧会に伺いました。
これは、滋賀県長浜市に残る貴重な観音像を東京で拝観できる施設です。
この連載で何度も紹介した、東京・上野の「長浜観音ハウス」の後継となる場所です。
二か月単位で、長浜の観音像がここにやってきて、無料で拝観できて、撮影もOKという夢のようなところ。
今回いらしていた端正なお顔の観音さんは、平安時代後期の作。
優美なたたずまいはまさしく都ぶりのスタイルで、ひきこまれます。
滋賀県長浜市南郷町に伝わる聖観音菩薩像
身体を前傾させて、救いに来る姿を表現。後ろにまわってみると、衣のたなびきが上手に表現されています。長浜市の方の解説によると「TMレボリューションのように風を受けて」と、さすが滋賀県民らしい表現でこの観音像を絶賛されていました。
腰の部分の衣に注目。風になびくようなリアルな表現
この観音像、現地では、長浜市南郷町にある南郷会館に安置されているのだそうです。
お寺ではなく、南郷会館。つまり町内会の寄合所なんですね。写真をお借りしました。
南郷会館のお部屋のようす。写真提供:長浜市歴史遺産課
ご町内のみなさんが集まるところに古い厨子がすっぽりと組み込まれています。
町内会の寄合で集まっている横に、平安時代の貴重な観音像がふつうにいるという、ほかでは見られない状況が繰り広げられるのですね。仏像ファンからするとこれもまた夢のようなシチュエーションであります。
なんだか、南郷町の寄合に観音さんも同席して、地酒を酌み交わしワイワイやってるようなようすを妄想してしまいますが、それだけ、長浜の人たちにとって、観音は身近な存在であり、家族同然なんですね。
南郷会館の外観。入口の注連縄が神聖さを保っている。写真提供:長浜市歴史遺産課
長浜の仏像の特徴は、地域の一般市民(世話方といいます)が管理しているということ。
戦国時代、戦火でお寺が荒廃しても、仏像は村人たちでずっと守ってきたという歴史があり、このかたちが現在まで続いているのです。
この連載でも前に書いた通り、地元の方が「ウチの観音さん」という言い方をなさっていて、もう観音は家族の一員みたいなもの。
自分も何度も長浜を訪れていますが、「ウチの観音さん」を、ちょっとはにかみながらも誇らしげに紹介してくれる、地元の人のあたたかみが好きです。
両腕の姿勢は、平安後期の代表的作例である比叡山延暦寺・横川中堂の聖観音菩薩に通じるとのこと
ただ、ここもやはり後継者不足など課題はあり、長浜市では拝観を案内する「観音コンシェルジュ」を設置するなど、体制を整えています。
そして東京では「東京長浜観音堂」がオープン。長浜と東京を結び、仏像を未来へ伝えるためのネットワークができました。
「東京長浜観音堂」2022年2月まで開設予定で、みなさんの協力があればさらに継続の可能性も、とのことです。
それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「長浜春秋~琵琶湖観音めぐりのうた~」
■東京長浜観音堂
東京都中央区日本橋2-3-21 八重洲セントラルビル4階西
・開設期間:令和3年7月~令和4年2月
・入館料 :無料
・休館日 :月、火、祝日の翌日
・開館時間:10:00~18:00
公式ホームページ
https://www.tokyonagahamakannondou.com/
■長浜市観音めぐりの案内、問合せ
観音の里 長浜
https://kitabiwako.jp/kannon
(過去記事)
「観音の里」長浜・湖北の魅力とは
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20201013-2/
桜と観音。映像で旅する湖北「長浜春秋」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200407-2/
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
Youtubeで視聴可能(投げ銭)
宮澤やすみYoutubeチャンネルにて
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
2.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m