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仏像の原点に向き合う「聖徳太子と法隆寺」その1飛鳥仏編

”この、ニコニコしているような、すべてを許してくださるかのような、あたたかい微笑み……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。この記事が出るのはオリンピック開幕直前。一音楽家としては、オリンピック景気に合わせた出演機会に期待していたものですが、今思えば「関わらなくてよかった」と心底思うものでございます。

そんな中、東京国立博物館 平成館では特別展「聖徳太子と法隆寺」が開幕。報道内覧会に行ってきました。
令和3年(2021)は、聖徳太子の没後1400年という節目の年に当たるそうで、開幕前から大きな注目を集めていた展覧会です。

まずは法隆寺ゆかりの、飛鳥時代の仏像に注目しましょう。

『日本書紀』によれば、日本に仏教が流入してきて、欽明天皇が「欣喜雀躍」(小躍りしてよろこぶ)したのが西暦552年のこと。
実際は西暦538年説が有力ですが、まあそのくらいの時代から日本に仏像が置かれるようになったということ。
その後、当時の有力豪族だった蘇我氏と聖徳太子により仏教が日本に広まることになります。


法隆寺ゆかりの仏像と聖徳太子像が一堂に

その時代の仏像で、現在まで残っているのは金銅仏が多い。
法隆寺に伝わる小金銅仏は、法隆寺宝物館などでおなじみではありますが、あらためてこの特別展で聖徳太子と法隆寺のイメージのなかで存在が際立ちます。


「法隆寺献納宝物」のひとつとして東博に伝わる如来坐像。止利様式の仏像に見られる独特の衣文が特徴

また、今回の展示では、大変貴重な「飛鳥時代の木彫如来立像」も展示。まだ調査が待たれる部分もありますが、重ね着をした厚い衣の表現が飛鳥仏に通じる様式です。

後半に登場するのは、本展の主役のひとり、法隆寺金堂・薬師如来坐像。
この、やさしーい微笑みをご覧ください。ニコニコしているような、すべてを許してくださるかのような、あたたかい微笑み。

体格は引き締まり、薬壺は持たずに刀印をむすぶ左手。衣は厚手で、台座に大きく垂れかかる”裳懸座(もかけざ)”のスタイルは、飛鳥時代の止利仏師による様式で、以降これをまねたスタイルを「止利様式」と呼びます。先ほどの如来坐像などが典型的な止利様式の仏像です。


諸説あるが1400年前の古い古い像が、古代の微笑をたたえて迎えてくれる。こんなに間近で拝めるのは貴重な体験

私事ですが、自分が仏像にハマったのが小学生のころ。法隆寺金堂で見た釈迦三尊像をはじめとする金銅仏(と周囲の荘厳)に圧倒されたのがきっかけです。
なので、自分としては飛鳥の古仏や、飛鳥と言う時代、場所、に特別な興味を抱いてきました。

子供の頃、法隆寺金堂の暗がりで見上げた、あの仏像がこうして間近に拝める。個人的にも感動に浸るひとときです。

最後の部屋では、法隆寺金堂にいる、毘沙門天と広目天が堂々とした姿で迎えてくれます。
日本最古の四天王像で、金堂では奥にいて見づらい、毘沙門天と広目天が、ガラスなしで目前に立つと、これも圧倒的な存在感。
運慶仏のような躍動的な体勢とはちがい直立して固い姿勢ですが、これが厳粛さを感じさせるのです。


呪力を放つかのような力強い二天の周囲を、優美な菩薩たちが取り囲む

邪鬼にも注目。むぎゅッと踏みつけられるのでなく、四天王を載せるテーブルのような形になっていて、ちょっと東南アジアのおみやげ(失礼)みたいなデザインなのですが、このエキゾチックなデザインが飛鳥流。
飛鳥を旅すると、奇怪な顔が彫られた「猿石」や、亀石などがありますが、ああいうデザインに通じるのではないでしょうか。
国際交流がさかんだった飛鳥の華やかなインターナショナルテイストを感じます。


二天が踏む邪鬼がおもしろい

両天王像の周囲には六体の菩薩像。これも一堂に並ぶのはめずらしい。愛らしい童顔に優美な姿態で人気が高い、飛鳥後期の傑作です。


展示のラストは、仏像ファンに人気が高い、銅造阿弥陀如来及両脇侍像(伝橘夫人念持仏)と厨子が、分離されて見やすく展示

飛鳥時代の珠玉の仏像群にたくさん会える、「聖徳太子と法隆寺」展。
仏像の原点を見直す絶好の機会だと思います。

次回記事では、もうひとつのメイン展示、聖徳太子像から太子の人間像にふれてみたいと思います。


それでは聴いてください。
カヒミ・カリィで「私の人生、人生の夏」



■聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」
(東京展)
東京国立博物館 平成館
2021年7月13日(火)~9月5日(日)
9:30~17:00
月曜休館
※ただし、8月9日(月・休)は開館し、8月10日(火)は本展のみ休館
詳細は、公式サイト
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/




(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
Youtubeで視聴可能
宮澤やすみYoutubeチャンネルにて
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/


2.
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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m