お問い合せ

営業時間:10:00~17:00 定休日:土日祝日

  • twitter
  • facebook
  • instagram
公式オンラインストア
お問合わせ メニュー
公式オンラインストア

第246回 太子信仰の世界「聖徳太子と法隆寺」その2太子像編

”つり上がった厳しい目つきが洞察力の深さ、賢明さを表しているようで、太子の威厳を感じ……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。早い夏休みをいただいて、東京都内の檜原村にいってきました。大自然が残る村に大きな滝がもあって心洗われました。SNSで絵日記を載せる予定です(なぜ絵日記)。

そんな中、東京国立博物館 平成館では特別展「聖徳太子と法隆寺」が開幕。報道内覧会に行ってきました。
令和3年(2021)は、聖徳太子の没後1400年という節目の年で、100年に一度の”遠忌”に当たるそうで、大きな注目を集めていた展覧会です。

今回の展示は法隆寺の寺宝で聖徳太子の足跡というか存在を感じる展示です。

展示の最初の方でお目にかかるこれ、うっかり通り過ぎてしまいそうなところにある、これがすごい。


夾紵棺(きょうちょかん)断片 飛鳥時代・7世紀 大阪・安福寺蔵

絹布を何枚も漆で貼り固めた箱の断片で、

「(聖徳)太子の棺である可能性」

が指摘されています。ここにあの太子が眠っていたと思うと、いきなり聖徳太子と言う人間が現実存在として肌で感じられました。

聖徳太子は、その没後わりと早い時期から神格化され、太子の超人的なふるまいと仏教に基づいた政治手腕を記述した伝記や絵伝がいくつも編さんされ、現代まで伝えられました。

彫像としては、太子二歳「南無仏像」、十六歳「孝養(きょうよう)像」がよく知られます。
二歳像は、本人が「南無仏」と言うと、手に仏舎利が現れたという伝承から。


東院の舎利殿に安置される水晶製の南無仏舎利と聖徳太子二歳像

十六歳像は、父である用明天皇の病気平癒を祈る姿とされます。今回展示の成福寺像は、垂髪のりりしい顔立ちで、鎌倉期らしい精緻な彫刻の技が冴えわたる優品です。

そして、展示の目玉のひとつが、聖霊院安置の秘仏・聖徳太子像。


保安2年(1121)の作。聖霊院の秘仏が27年ぶりに寺外で公開

こちらは大人の太子像。図録によると、三十五歳で勝鬘経を講じたときの姿(冠をかぶる)と、摂政時代の像(笏をもつ)が合わさった姿とのこと。

つり上がった厳しい目つきが洞察力の深さ、賢明さを表しているようで、太子の威厳を感じます。
いっぽう、その左右に座る従者はユーモラスな表情をしています。
これらの像は平安時代後期の作で、このころ聖徳太子の信仰がかなり盛り上がっていた時代です。


厳しい顔立ちの太子像ですが、今回の特別展ではミュージアムショップにアクリルキーホルダーとなって販売されていて、手に取ると途端にかわいい存在に思えてきます

次週は、特別展「聖徳太子と法隆寺」に関連した、迫真の展示映像「救世観音」「百済観音」などをご紹介します。


それでは聴いてください。
松本伊代で「センチメンタルジャーニー」



■聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」
(東京展)
東京国立博物館 平成館
2021年7月13日(火)~9月5日(日)
9:30~17:00
月曜休館
※ただし、8月9日(月・休)は開館し、8月10日(火)は本展のみ休館
詳細は、公式サイト
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/



(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
【早稲田大学オープンカレッジ】
災禍の時代の神仏秘話
-国難を乗り越える切り札「仏像」。その光と闇-
8月4日から全4回。社会人向けの短期オンライン講座です。
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/52580/



2.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m