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第266回 堀切菖蒲園さんぽ-イボとり地蔵と神社と猫
”伝染病に対する人々の祈りが込められているようにも思います……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。先日は、僕がやっているバンド、ザ・ブッツの収録を終えたところです。そしてこの後は映画の仕事で九州へ出向きます。今月だけなぜか忙しいですが、年明け以降は出番稀少でして、イベントなど気軽に呼んでください。
さて、早くも世間は歳末の雰囲気でみなさん忙しそうなので、軽い話題を。
今年もわたくし、コロナで遠出は少なく、都内をひたすら散歩していました。
たとえばここ、葛飾区の堀切菖蒲園。江戸時代から花菖蒲の名所としてにぎわったところです。
堀切菖蒲園駅から、菖蒲園までの道はうねうねと曲がった遊歩道。おそらくかつては水路だったんじゃないでしょうか。
その途中には、なかなか個性の強い「堀切十二支神」がありました。
薬師如来の十二神将ではなく、この地域の鎮守・天祖神社の末社にあたるそうです。
それにしても、劇画タッチの、悪い夢にでも出てきそうな(いや失礼)なかなかの姿です。
最近のマンガにありそうな造形の堀切十二支神
堀切菖蒲園は、5~6月のシーズンに賑わいます。ここは有名なところなので割愛します。
菖蒲の季節は観光客でにぎわいます
そのすぐ横にあるのが極楽寺。
室町時代にさかのぼる古いお寺ですが、ひっそりとして、観光気分で訪れるのが憚れるようなたたずまいです。
深川の富岡八幡宮の元宮との伝承もある極楽寺。本尊は阿弥陀如来。首塚や薬師堂などもある
その境内脇にあるのが「イボとり地蔵」
塩が山のように備えてあるので「塩地蔵」とも呼ばれます。
極楽寺のイボとり地蔵。右にある小さいものが最初に奉納された像といわれる
伝承では、江戸時代、この地域のイケメンが突然顔じゅうイボだらけになり、地蔵を造って塩を塗り、その塩を自分の顔に塗ったら治ったという…
そんな話から、イボとりの願掛けに塩を供えるようになったとのこと。
日本各地に「イボとり」ご利益の仏像を見かけますが、このイボは、どうやら天然痘の罹患跡と捉えることができるようで、要するに伝染病に対する人々の祈りが込められているようにも思います。
(この極楽寺ではそこまでの話は伝わっていません)
コロナ禍つづく現在、ここ堀切極楽寺のお地蔵さんも、きれいな花が供えられて、地元の信仰を集めているようでした。
駅にもどると、そのすぐ近くに、鎮守の天祖神社があります。天照大神が主祭神の神明系社ですが、八幡、稲荷、天神も祀られています。
静かな住宅に囲まれて古い神社があります
ぼくが行くと、境内にいた猫さんが話しかけてきて、しばらく一緒にいました。この地域の名物猫でしょうか。
手を合わせてお参りしている最中にもニャーニャ―すり寄ってきて、人懐っこい猫でした
帰りは堀切橋を西に渡って、大きな荒川を望みます。夕刻迫る風の強い日で、とても寂しげな雰囲気が映画の1シーンのようで味わい深かったです。
黄昏時、強い風で自転車がことごとく倒れているのが、暗鬱なシーンを演出しているようで、私はこういうの嫌いじゃないです
それでは聴いてください。
中原理恵で「東京ららばい」。
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
2022/1/8(土)18:00開演
上野広小路/御徒町 ワロスロード・カフェ
「東京ららばい」など懐かし昭和ポップスのカバーと江戸の小唄を、ゆるりと
感染防止対策準拠。飛沫の飛ばないとても静かなライブで疲れを癒してください
2.
新作MV公開「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。先日は、僕がやっているバンド、ザ・ブッツの収録を終えたところです。そしてこの後は映画の仕事で九州へ出向きます。今月だけなぜか忙しいですが、年明け以降は出番稀少でして、イベントなど気軽に呼んでください。
さて、早くも世間は歳末の雰囲気でみなさん忙しそうなので、軽い話題を。
今年もわたくし、コロナで遠出は少なく、都内をひたすら散歩していました。
たとえばここ、葛飾区の堀切菖蒲園。江戸時代から花菖蒲の名所としてにぎわったところです。
堀切菖蒲園駅から、菖蒲園までの道はうねうねと曲がった遊歩道。おそらくかつては水路だったんじゃないでしょうか。
その途中には、なかなか個性の強い「堀切十二支神」がありました。
薬師如来の十二神将ではなく、この地域の鎮守・天祖神社の末社にあたるそうです。
それにしても、劇画タッチの、悪い夢にでも出てきそうな(いや失礼)なかなかの姿です。
最近のマンガにありそうな造形の堀切十二支神
堀切菖蒲園は、5~6月のシーズンに賑わいます。ここは有名なところなので割愛します。
菖蒲の季節は観光客でにぎわいます
そのすぐ横にあるのが極楽寺。
室町時代にさかのぼる古いお寺ですが、ひっそりとして、観光気分で訪れるのが憚れるようなたたずまいです。
深川の富岡八幡宮の元宮との伝承もある極楽寺。本尊は阿弥陀如来。首塚や薬師堂などもある
その境内脇にあるのが「イボとり地蔵」
塩が山のように備えてあるので「塩地蔵」とも呼ばれます。
極楽寺のイボとり地蔵。右にある小さいものが最初に奉納された像といわれる
伝承では、江戸時代、この地域のイケメンが突然顔じゅうイボだらけになり、地蔵を造って塩を塗り、その塩を自分の顔に塗ったら治ったという…
そんな話から、イボとりの願掛けに塩を供えるようになったとのこと。
日本各地に「イボとり」ご利益の仏像を見かけますが、このイボは、どうやら天然痘の罹患跡と捉えることができるようで、要するに伝染病に対する人々の祈りが込められているようにも思います。
(この極楽寺ではそこまでの話は伝わっていません)
コロナ禍つづく現在、ここ堀切極楽寺のお地蔵さんも、きれいな花が供えられて、地元の信仰を集めているようでした。
駅にもどると、そのすぐ近くに、鎮守の天祖神社があります。天照大神が主祭神の神明系社ですが、八幡、稲荷、天神も祀られています。
静かな住宅に囲まれて古い神社があります
ぼくが行くと、境内にいた猫さんが話しかけてきて、しばらく一緒にいました。この地域の名物猫でしょうか。
手を合わせてお参りしている最中にもニャーニャ―すり寄ってきて、人懐っこい猫でした
帰りは堀切橋を西に渡って、大きな荒川を望みます。夕刻迫る風の強い日で、とても寂しげな雰囲気が映画の1シーンのようで味わい深かったです。
黄昏時、強い風で自転車がことごとく倒れているのが、暗鬱なシーンを演出しているようで、私はこういうの嫌いじゃないです
それでは聴いてください。
中原理恵で「東京ららばい」。
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
2022/1/8(土)18:00開演
上野広小路/御徒町 ワロスロード・カフェ
「東京ららばい」など懐かし昭和ポップスのカバーと江戸の小唄を、ゆるりと
感染防止対策準拠。飛沫の飛ばないとても静かなライブで疲れを癒してください
2.
新作MV公開「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m