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第293回 仏像ファンもやりがち? 見立てのセンスを楽しむ「茶の湯の陶磁器」展

”仏像でもこうした遊びはありますね。風を受けて衣がなびいている十二神将を「TMレボリューション」と言ったり--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。ソロライブ「ひとりワロス」最終回が近づき必死に準備中の宮澤やすみです。会場(カフェ)の閉店にともない残念ながらのラストライブです。初めての人も恥ずかしがらずぜひ来てください。
お店のオーナーとは形を変えながら丸10年お世話になりました。

さて、東京・日本橋の三井記念美術館は、この連載でも何度もご紹介していますが、2年間の改修工事を終えて2022年4月リニューアルオープンしました。

まずカーペットが変わったとのこと。たしかに歩いてみるとちょっとふかふか感が増したような気が。
「歩行感の向上」と説明があり、言われてみると全部鑑賞し終わった後の疲労感が少ないように思います。言われてなければ気づきませんけどね。


まったく足音がせず歩きやすい展示室1。三井の重役が集まる食堂だったところをそのまま使用

でも、だいたい美術館はたくさん歩いて足が疲れるのが普通ですが、そこに配慮いただいたのは助かります。

あと変わったのは照明で、LED照明によって「展示作品の色彩を余すところなく表現できる性能(演色性)が高い」と説明にありました。

今回訪れたのは「茶の湯の陶磁器」展で、茶碗の釉薬の微妙な色合いを見るのにちょうどいいです。


どれを見ても黒、黒、黒、の楽茶碗も照明のおかげか微妙な景色がみえる

江戸時代、三井家が江戸に「越後屋」を開店して始まった三井財閥。
その越後屋(現在の三越日本橋店)のとなりに建つのが三井本館です。
建物は関東大震災のあとに設計され、美術館入り口の案内では「アメリカ風古典主義の重厚な様式美」と解説されています。
その7階に美術館。なので、展示室自体が往時の雰囲気を残していて、三井家の会合におよばれされたような気持になって楽しいです。


エントランス部分も当時のまま。食堂の全室だった。財閥の偉い人になった気分で株相場の話とかしてみたい


今回は、「茶の湯の陶磁器 ”景色”を愛でる」というタイトルで三井家所蔵の茶道具を公開。報道内覧会で取材してきました。

この「景色」という言葉、古美術鑑定のテレビ番組でよく耳にしますが、今までピンと来ませんでした。
今回の展示解説によって、わかったのですが、わりとシンプルな意味合いのようです。

つまり、茶碗などの陶磁器は、焼成によって表面にいろんな模様ができるんですけど、釉薬のかけ残りやムラによって偶然できた模様が、何かの自然の風景にみえるのを「景色」と呼ぶそうです。


豊臣秀吉が所持していたと伝わる大井戸茶碗など名品がずらり

和の美術はだいたいが”見立て”の芸術ですから、縦に筋目が入ったのを雨が降るようだとか、丸い斑点がついたのを雪が降るようだとか、自然の風景に見立てるんです。


たとえばこんな解説でどんなものを想像しますか? 実際の茶碗は本当にかすむような薄青い色合いが美しくてうっとりします。ぜひ実物をご覧あれ

景色の見立てが過熱すると、自然の風景じゃなくてもっと抽象的なたとえがされたりしますが、何しろ何か別のアイテムで例えることで作品の特徴を際立たせる、要は「キャラ付けする」ということと言っていいんじゃないでしょうか。

昔「笑っていいとも」で関根勤が、一般視聴者が出演するとき「カラオケの十八番は”待つわ”です」とか絶妙な紹介をしてましたけど、アレのことか!
と思いました(まちがってたらごめんなさい)。

茶の湯の場合は、権威ある偉い人、道具の持ち主がそういう見立てをして、「銘(名前)」を付けます。関根勤に紹介された人は「待つわ」という銘になったことでしょう。

茶碗を始め茶道具のおもしろさは、こうしたところにあるので、目の前の変哲ない食器から何が見えるかを言い合うゲームを楽しむのも一興かと思います。

仏像でも、こうした遊びはありますね。中宮寺の弥勒菩薩を「(浅田)真央ちゃん」と呼んだり。風を受けて衣がなびいている十二神将を「TMレボリューション」と言ったり…(時代が古い…)まあこれは「銘」ではなくて符丁というかあだ名ですけどね。すみません。


三井記念美術館の帰りは、三井タワー1階千疋屋横のカフェがおすすめ。コーヒー350円。テラス席でまったり


それでは聴いてください。
さだまさしで、「道化師のソネット」ライブ。



【茶の湯の陶磁器 ~“景色”を愛でる~】
 三井記念美術館
 2022年7月9日(土)〜9月19日(月)
 毎週月曜休館
 詳細は↓
 https://www.mitsui-museum.jp/



---おしらせ---

(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
2022/7/24(日)15:30開演
上野広小路/御徒町 ワロスロード・カフェ
本職の小唄など三味線音曲をゆるりと。詳細後日。


2.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ


宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/


3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m