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第296回 檜原村の九頭竜神社で天河弁財天を思う

”まさしくキングギドラのような姿で描かれたり--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。海外案件のレコーディング仕事でドルでギャラをもらった日に、円高が進行してぽかーんとなってる宮澤やすみです。10月1日にはザ・ブッツのライブも決定、日程ぜひメモをお願いします。

そんな中、東京・檜原村は清らかな水が特徴。前回は「払沢の滝」をご紹介しました。
温泉もあるし清流もあるし、いいところです。


バス停を降りて歩くと、とても渡りづらい急カーブ沿いに九頭竜神社の参拝口があります

払沢の滝からバスでさらに奥へ行き、山梨県境の付近に九頭竜神社があります。
パワースポット好きな人たちには有名らしく、あらゆる願いが叶うとかなんとか、私が訪れてぼーっとしている際にも若いカップルさんとかが続けて来ていました。

九頭竜の伝説は日本各地にあり、それぞれ物語が伝えられています。
たとえば氾濫する川の象徴として竜が登場し、いけにえとして娘が捧げられたりします。
川のほかに、雨をつかさどる竜神としての性格も伝えられていて、そのへんは地域で異なります。

ここ檜原村の九頭竜神社は、南北朝時代、この地に村を拓いた中村数馬守小野氏経が南朝側についていて、南朝の守り神である九頭竜の神を祀ったのが由来だそうです。


九頭竜神社本殿。創建年は不詳だが、小野氏経が村を拓いたのが1336年とのことで、その頃だろうか

南朝ゆかりの龍神がどこなのかは、九頭竜神社の解説にはありませんが、南朝ゆかりといえば真っ先に天河弁財天が想起されます。
そこは南朝歴代の天皇を祀り、後醍醐天皇の王子がかくまわれた仮御所(黒木御所)もあったという南朝に関わり深いところ。
そこの主祭神は、弁財天なんですよね(現在は市杵島姫命というが弁財天のこと)。

なぜ「弁財天」なのかですが、ここで蛇と龍と弁才天がごちゃまぜになってくるんですよね。

もともとインド由来の弁才天は、インドでは川を象徴する女神ですが、日本で蛇体の神である宇賀神と習合し、独自の習合神「宇賀弁財天」として信仰されました。「才」の字も「財」に変わります。


こちらは琵琶湖・竹生島の宇賀弁財天。頭上にとぐろ(なぜか紅白)を巻いた蛇体に翁の顔が付く「宇賀神」が載っている

その蛇が龍とも同一視されて、つまり弁財天=竜神というかたちがみられるのが天河弁財天です。
絵巻など見ると、姿は三つの頭をもった龍、まさしくキングギドラのような姿で描かれたりします。女神の姿より、龍神のイメージのほうが強いですね。
古代中国で信仰された龍ですが、仏教では雨を司るとされ、空海が龍神を呼び出して雨乞い祈祷したという伝説が残っていたりします。

弁財天=蛇=龍という三段論法?みたいな感じになってきましたが、
この三者に共通するのは、「川」や「水」に関連する神であることでして、川や湖、水辺には弁財天が祀られて、龍神の伝承などが伝わっているということが多いです。

キャラクターが入り混じってややこしいですけど、要するに「効き目があれば道教だろうと仏教だろうとなんでも」という精神ですよね。
ファイザーだモデルナだという話には厳密になりがちな人も、信仰のことですから気持ちの問題で、いいようにハイブリッド化していくのです。

翻っていえば、昔はそれだけ川や雨の水の苦労が絶えない、重要問題であった、ということかと思います。

とりとめのない話でしたが、この夏、きれいな水辺を訪れたら、龍神や弁財天がいると思って、事故のないようにお過ごしください。


九頭竜神社、本殿前の狛犬が、参拝者を待ち受ける


それでは聴いてください。
アンダー・ワールドで、「キング・オブ・スネーク(King of Snake)」。



(過去記事)
仏像が神社に?弁財天のひみつ
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20180820-2/

白蛇弁財天の祈願は密教風? 東京の蛇窪神社
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200310-2/


---おしらせ---

(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
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