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第302回 新宿を護る韋駄天尊と「昭和味のクリームシチュー」
”無機質なビル街のなかで、ここだけ人間味があるというか、歴史を感じるというか－－”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。いま活弁の上演で富山に来ている宮澤やすみです。古いサイレント映画に弁士の語り（活弁）と生演奏をつける上演です。私は三味線を担当。小唄もやらせていただきました。
そんな中ですが、先日行ってきたのは東京・新宿。西口にひろがる高層ビル街の南端。
新宿ワシントンホテルの敷地にぽつんとあるのが、韋駄天尊のお堂です。
ホテルのエントランスから。敷地の端にぽつんと建つ韋駄天堂
紅い幟がはためく小さなお堂。その中にご本尊の韋駄天尊が祀られています。
お堂の正面から
中に入ると、ご本尊は石に韋駄天の姿が線刻された板碑がありました。
そこにさまざまなお供え物や、線香を立てる香炉、おりんなどひととおりのセットが置いてあります。
ただ、そのお供え物は、塩や水、両脇に榊もたてられていて、ちょっと神社のしつらえもある。神仏ハイブリッドの参拝セットなんです。興味深いですね。
仏式と神式のハイブリッド？お供えのしつらえに注目
これは、お堂を管轄しているのが東京都あきる野市の稲足神社（いなたりじんじゃ）であるからと思われます。神社が仏堂を管理してくださっていて、神仏習合ファンはうれしいですね。
堂内に祀られている板碑に韋駄天が線刻されている
仏像ファンならご存知の方も多いと思いますが、韋駄天とは仏教の守護神のひとりで、四天王のメンバー増長天の家来にあたります。
釈迦の遺骨が盗まれた時、走って取り返したエピソードから、健脚の守護神として信仰されることが多いです。
お堂の脇には、当初の本尊であった木彫像の写真が飾られています。江戸時代半ばの作で、当初浅草にあった上州舘林の殿様の屋敷に祀られ、明治3年にはこの地に遷座。長く尊崇されていましたが空襲でお堂は焼失してしまいました。
掲げられている仏像の写真を見ると、カラー写真のようであり、「稲足神社 鎮座」と書かれているので、尊像は焼失を免れたと思われる
戦後になってお堂復興の動きがあり、石の板碑を本尊としてお堂再建となりました。
その後、高層ビル建設が進んで、新宿ワシントンホテルの敷地にぽつりとあります。
無機質なビル街のなかで、ここだけ人間味があるというか、歴史を感じるというか、ああここも人の気持がこもった場所なんだと実感します。
こぢんまりしたお堂ですが、健脚のご利益を求めてランナーたちの信仰が篤いそう。
御朱印ももらえます。なんとワシントンホテルの地下にあるカフェ・ラフィーネでもらえるんです。
このカフェが、今もうめずらしいくらいの昭和レトロの佇まいで楽しいです。
1980年代の雰囲気そのままの佇まい
レトロといっても、シックでモダンなやつじゃなく、80年代を思わせるファンシーポップな佇まい。
今ラジカセが再ブームになってるそうですが、そういうのと同じ感覚ですね。あの感じのまま、何十年も変わらずにきたんですね。それはそれですごいことです。
令和の今みるとこの感じが一周廻ってグッと魅力を感じます。
このお店自体が、高層ビルがもてはやされた昭和後期時代のレガシーであり、現代史の１ページを語る大事なスポットになるでしょう。
おかあさんが作ったような懐かし～い味わいのクリームシチューセット
先週は数千年前の縄文時代の話でしたが、昭和の歴史遺産もいいものですね。現役で稼働していてコーヒーもおいしいし。
それでは聴いてください。
石井明美で「CHA-CHA-CHA」（お堂ができた昭和61年のヒット曲）。
---おしらせ---
（おしらせ）本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
１．
宮澤やすみ「仏像ブツブツ」連載300回記念
【ザ・ブッツ新作アルバムレコ発ライブ】
宮澤やすみの”仏像バンド”The Buttzの新作発表を兼ねたお祝いライブです。
配信視聴も可能。どなたもぜひお越し＆ご視聴ください。
（詳細）
http://yasumimiyazawa.com/live.html
２．
「如意輪のまどろみ」など収録したミニアルバム『欣喜雀躍』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/buybuttz.html
３．
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
（ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応）
宮澤やすみ公式サイト：http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター：https://twitter.com/yasumi_m
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。いま活弁の上演で富山に来ている宮澤やすみです。古いサイレント映画に弁士の語り（活弁）と生演奏をつける上演です。私は三味線を担当。小唄もやらせていただきました。
そんな中ですが、先日行ってきたのは東京・新宿。西口にひろがる高層ビル街の南端。
新宿ワシントンホテルの敷地にぽつんとあるのが、韋駄天尊のお堂です。
ホテルのエントランスから。敷地の端にぽつんと建つ韋駄天堂
紅い幟がはためく小さなお堂。その中にご本尊の韋駄天尊が祀られています。
お堂の正面から
中に入ると、ご本尊は石に韋駄天の姿が線刻された板碑がありました。
そこにさまざまなお供え物や、線香を立てる香炉、おりんなどひととおりのセットが置いてあります。
ただ、そのお供え物は、塩や水、両脇に榊もたてられていて、ちょっと神社のしつらえもある。神仏ハイブリッドの参拝セットなんです。興味深いですね。
仏式と神式のハイブリッド？お供えのしつらえに注目
これは、お堂を管轄しているのが東京都あきる野市の稲足神社（いなたりじんじゃ）であるからと思われます。神社が仏堂を管理してくださっていて、神仏習合ファンはうれしいですね。
堂内に祀られている板碑に韋駄天が線刻されている
仏像ファンならご存知の方も多いと思いますが、韋駄天とは仏教の守護神のひとりで、四天王のメンバー増長天の家来にあたります。
釈迦の遺骨が盗まれた時、走って取り返したエピソードから、健脚の守護神として信仰されることが多いです。
お堂の脇には、当初の本尊であった木彫像の写真が飾られています。江戸時代半ばの作で、当初浅草にあった上州舘林の殿様の屋敷に祀られ、明治3年にはこの地に遷座。長く尊崇されていましたが空襲でお堂は焼失してしまいました。
掲げられている仏像の写真を見ると、カラー写真のようであり、「稲足神社 鎮座」と書かれているので、尊像は焼失を免れたと思われる
戦後になってお堂復興の動きがあり、石の板碑を本尊としてお堂再建となりました。
その後、高層ビル建設が進んで、新宿ワシントンホテルの敷地にぽつりとあります。
無機質なビル街のなかで、ここだけ人間味があるというか、歴史を感じるというか、ああここも人の気持がこもった場所なんだと実感します。
こぢんまりしたお堂ですが、健脚のご利益を求めてランナーたちの信仰が篤いそう。
御朱印ももらえます。なんとワシントンホテルの地下にあるカフェ・ラフィーネでもらえるんです。
このカフェが、今もうめずらしいくらいの昭和レトロの佇まいで楽しいです。
1980年代の雰囲気そのままの佇まい
レトロといっても、シックでモダンなやつじゃなく、80年代を思わせるファンシーポップな佇まい。
今ラジカセが再ブームになってるそうですが、そういうのと同じ感覚ですね。あの感じのまま、何十年も変わらずにきたんですね。それはそれですごいことです。
令和の今みるとこの感じが一周廻ってグッと魅力を感じます。
このお店自体が、高層ビルがもてはやされた昭和後期時代のレガシーであり、現代史の１ページを語る大事なスポットになるでしょう。
おかあさんが作ったような懐かし～い味わいのクリームシチューセット
先週は数千年前の縄文時代の話でしたが、昭和の歴史遺産もいいものですね。現役で稼働していてコーヒーもおいしいし。
それでは聴いてください。
石井明美で「CHA-CHA-CHA」（お堂ができた昭和61年のヒット曲）。
---おしらせ---
（おしらせ）本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
１．
宮澤やすみ「仏像ブツブツ」連載300回記念
【ザ・ブッツ新作アルバムレコ発ライブ】
宮澤やすみの”仏像バンド”The Buttzの新作発表を兼ねたお祝いライブです。
配信視聴も可能。どなたもぜひお越し＆ご視聴ください。
（詳細）
http://yasumimiyazawa.com/live.html
２．
「如意輪のまどろみ」など収録したミニアルバム『欣喜雀躍』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/buybuttz.html
３．
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
（ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応）
宮澤やすみ公式サイト：http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター：https://twitter.com/yasumi_m
