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第391回 慶派の十二神将も「超・日本刀入門 revive」

”刀と向き合うと足腰も鍛えられるということで、やはり--”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。7月の早稲田大学講義に向けて準備中なのにレコーディング機材を買ってしまった宮澤やすみです。宿題がたまっているときほど他のことやりがちという、あるあるネタですね。

そんな中、東京の静嘉堂@丸の内では「超・日本刀入門 revive」展が開幕。報道内覧会に行ってきました。
写真は特別に許可を得て撮影したものです。

世田谷区の静嘉堂文庫美術館で開催していましたが、丸の内は初の展示。それでreviveと付いています。


仏像写真は、この記事後半でたっぷりと

刀剣男士の人気沸騰ですっかりメジャーになっている日本刀。
仏像界隈の人だった私はその波に見事に乗り遅れ、「今からじゃ遅いかな」と思っていたところに、この日本刀入門ですよ。ありがたいです。

太刀と刀のちがいから始まって、鑑賞のポイントをパネルで解説。
産地によるスタイルのちがいも学ぶことができ、
「鎌倉の和菓子屋”相州伝”ってここからきてたんだ!」
など、個人的な合点もあり、
その後で静嘉堂が誇る名刀の数々をじっくり鑑賞すると、なるほどたしかに、伝わる気がします。


地域による特徴がわかる展示。鎌倉で作られた「相州伝」の代表作。伝 相州行光 作《刀 大磨上げ無銘(号 渋江行光)鎌倉時代 14世紀 相模国》

これまでは博物館でも素通りしていた刀ですが、いいねと思えるようになりました。

具体的な鑑賞法や見るべきポイントは展示室の案内でよくわかります。
ざっくりひと口にいうと、照明の光に当てて見るのが基本、らしいです。
腰をかがめて、刀の見たい部分に光が当たるようにすると、刃紋のうねりや、地金の紋様が見えてくる。全体のフォルムも、カーブの具合が少しずつ異なって個性を発揮します。
そういうのが見えると、引き込まれます。


刃を下向きに用いるのが「太刀」。長船長義 作《太刀(金象嵌銘》長義 南北朝時代 14世紀 備前国》


光が当たるように体勢を変えて鑑賞すると、いろいろな要素が見えてくる

その間、膝を曲げて空気イス状態で見ることになります。
移動するたびに何度も膝を曲げるので、スクワットをしているようです。
なまった身体にちょうどいい筋トレと思うことにしましょう。
刀と向き合うと足腰も鍛えられるということで、やはり硬派な世界なんでしょうか。


ひとつひとつ異なる日本刀の個性が見えてくる

そんな中、展示の後半は慶派の十二神将像がお出まし。
静嘉堂所蔵の全7躯がズラリ間近で見られます。


京都南山城・浄瑠璃寺伝来の十二神将像のうち、7躯が静嘉堂の所蔵になっている

慶派の中でも運慶に近い仏師の作とされ、いきいきとした動きと表情、精緻な截金装飾が見るものを圧倒させます。


兜は別作りで外すことができる。慶派作《木造十二神将立像のうち 亥神像 鎌倉時代・安貞2年(1228)頃》


慶派作《木造十二神将立像のうち 子神像 鎌倉時代・安貞2年(1228)頃》


慶派作《木造十二神将立像のうち 午神像 鎌倉時代・安貞2年(1228)頃》

内覧会の現場では、刀も仏像も縁がなかったと思われる女性記者が、
「コレほんとにすごいね~」
と、仏像の截金文様に見入っていました。一発で引き込む慶派仏像の訴求力、さすがですね

それでは聴いてください。
T.M.Revolution で『HEART OF SWORD ~夜明け前~』



超・日本刀入門 revive ―鎌倉時代の名刀に学ぶ
静嘉堂文庫美術館(丸の内)
2024年6月22日 - 2024年8月25日
美術館HP
https://www.seikado.or.jp/


--おしらせ---

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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m