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第428回 久保沙里菜さんと美術館でお花見「桜 さくら SAKURA 2025」

”「勝手に個人賞」を選ぶならどれがいいか--”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。活弁(活動写真)の大きな公演無事に終えました宮澤やすみです。昼は時代劇、夜はシュル・レアリスムの名作「アンダルシアの犬」を三味線で生伴奏し、好評いただきました。ありがとうございました。

そんな中、先日は東京・山種美術館で開幕した「桜 さくら SAKURA 2025」展を取材してきました。
写真は、プレス内覧会で特別に許可を得て撮影したものです。
この連載ではおなじみの取材パートナー・久保沙里菜さん(仏像好きフリーアナウンサー)も同行です。


仏像ファンなら見逃せない、大野寺の弥勒摩崖仏。昭和8年時はこれだけはっきり弥勒仏が見えたのだろうか? 小林古径《弥勒》1933(昭和8)年 山種美術館

日ごろ、仏像を中心に見ている我々としては、幅広く日本の文化に精通しているわけではなく、とりわけ日本画は「近所にあるけどなかなか行かない店」みたいな存在で、馴染みは薄いです。

しかし、だからといってスルーしてはもったいない。知らなかったものに接することは、いつでもワクワクするものであります。


日本人の琴線に触れる桜。美術館でお花見気分

展示は、春めく季節に心浮き立つ桜をテーマに、近代日本画家が桜を描いた名品を堪能できます。

展示のメインになっている奥村土牛《醍醐》は、京都の醍醐寺の「太閤しだれ桜」をモデルにしています。それは樹齢170年といわれる立派なもの。大きな画面でその活き活きと晴れやかな桜を愛でてください。
その「太閤しだれ桜」を組織培養した「太閤千代しだれ」が、山種美術館の敷地に植えられていています。展示を見たあと、本物の桜の咲き具合を見てみてください。そろそろ咲くかな?


メインヴィジュアルに使われている《醍醐》

山種美術館の展示では、絵画の展示でありがちな長い解説キャプションがなく、そのぶん絵のほうに集中できます。
画家の人生も重要ですが、初心者はまず絵そのものを身体と感性で受け止め、自分なりの好き嫌いや印象を抱いて帰ってもらうのが一番と思うので、シンプルな展示はありがたいと思います。


花ばかり描かれる中で老木の幹の存在感に引き込まれた、川端龍子《さくら》20世紀 昭和時代 絹本着色 山種美術館


展示風景より、せせらぎが聞こえてきそうな大作。左端の久保沙里菜さんとくらべてみて。奥田元宋《奥入瀬(春)》 個人蔵

日本画の初心者二人。こういう時は、もし買うならどれがいいかとか、「勝手に個人賞」を選ぶならどれがいいか、を念頭に置きながらみていくと楽しいものです。

「勝手に久保沙里菜賞」は、山桜をシンプルに描いた、小林古径《桜花》。素朴な描写が気に入ったそう。石田武《千鳥ヶ淵》も同率受賞。微妙な波の描写がすごかったです。

「勝手に宮澤やすみ賞」は、速水御舟《夜桜》
うすぼんやりと闇に浮かぶ桜のはかない色合いが、もののあはれを感じて、すごく風情があるんですね。日本人の感性として、わびさびは茶道の展示で学びましたが、これは幽玄というやつだと思います(ちがったらすみません)。


展示風景より、水墨画に見えるが葉脈に金泥、花びらに胡粉の白が使われて、月明かりに照らされた妖艶な桜を表現。速水御舟《夜桜》1928(昭和3年)山種美術館

以前、この連載でダミアン・ハーストの「SAKURA」展示を観ましたけど、同じ桜でもこうも表現がちがうのかと、絵画表現の幅広さを感じました。


作品をモチーフにした和菓子の数々。ミュージアムカフェ椿にて

そんな桜の奥ゆかしい美を堪能したあとは、ロビーでオリジナルの和菓子をいただけます。これが見た目だけじゃなく非常にうまい。過去に和菓子の本を書いていた私が言うのだからまちがいないです。
静かにゆっくりと春の日を過ごすのにぴったりの場だと思います。


それでは聴いてください。
わたくし宮澤やすみの小唄で「夜桜」。
(古典小唄のアルバム『廓の夜』より)




【特別展】
桜 さくら SAKURA 2025
―美術館でお花見!―
2025年3月8日(土)~5月11日(日)
山種美術館
詳細
https://www.yamatane-museum.jp/exh/2025/sakura2025.html



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https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20220315-2/




--おしらせ---
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2025年4月12日(土)そよや江戸端 にて
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2.
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『廓の夜』 宮澤やすみ(唄、三味線)
https://yasumimiyazawa.com/kuruwanoyoru.html
※Youtube、Spotifyなどで誰でも聴けます


3.
無声映画鑑賞会800回記念特別公演
「百花繚乱 大活動写真大会」
宮澤やすみは三味線演奏で出演。
詳細:(映画ナタリー)
https://natalie.mu/eiga/news/608183


宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html

宮澤やすみ公式サイト:https://yasumimiyazawa.com