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第482回 印象派の種をまいた海の男が描くほっこりやさしい世界「ウジェーヌ・ブーダン展」
”心にグッときた瞬間をわしづかみにして、画面に絵画として定着させて――”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。出演をいくつか控えている宮澤やすみです。トーク交えて小唄の演奏をあちこちでいたします。下記「おしらせ」ご参照ください。
そんな中、春の美術展シーズンたけなわ。取材に行きまくっています。
先日は東京・新宿のSOMPO美術館「ウジェーヌ・ブーダン展」に行ってきました。
印象派の巨匠、クロード・モネの師匠、などと言われるブーダン氏。
印象派前夜の絵画の動向とかそう堅苦しく捉えなてもよくて、ブーダンさんご本人の温厚そうなお人柄が偲ばれて(実際どうだったか知りませんが)ほっこりする展示内容でした。

展示より、ウジェーヌ・ブーダンの写真
ウジェーヌ・ブーダンは、フランス北部ノルマンディーの生まれで、幼少期には船乗りの父上に付き添って小さな漁港でお手伝いなどしていたそう。
時代は19世紀。それまで絵画の主流テーマだった宗教画や歴史画が廃れ、自然そのものを描く風景画がよく描かれるようになったころ。
若きブーダンのいた漁村にも自然の風景を求めて画家が訪れ、その絵を見ていました。

展示風景。市場の魚を描いた静物画《魚、エイ、トラザメのある静物》1873年頃 など
20代で画家を志し、人気を博したのが海景画。
晩年には「もう海の絵ばかり描きたくない」をボヤくほど、ブーダン作品を印象付けるものだったそうです。
海辺で暮らした本人にもなじみ深かった風景だから、よりうまく描けたんでしょうか。

ウジェーヌ・ブーダン《海景》1883年 ディエップ美術館
作品を見ると、風向きや日差しの具合が感じられて、刻々と変化する天候の一瞬を切り取ったような、ある意味写真のような作品になっています。
「瞬間の美学、光の探求」と、展覧会タイトルにあるように、ブーダン氏は自分の心にグッときた瞬間をわしづかみにして、画面に絵画として定着させている。おそらく驚異的な集中力を要する作業だと思います。

ウジェーヌ・ブーダン《干潮》1884年 サン=ロー美術館
油彩画ですが、サササッと描いたような筆致で、一見てきとうに見える筆の動きもじつに的確で、相当な訓練を積んだからできる技ではないでしょうか(本展ではブーダン氏の素描作品も多数展示)。
この、自然のうごきを捉えて絵画化する技が、後の印象派のみなさんが手本をするところになるのでしょう。

粗い筆致を残した自由な作風。「習作のような外観を残す」と本人の言葉が残る。ブーダンなりの抽象表現。ウジェーヌ・ブーダン《草原の牛、トゥーク流域》1881-88年 個人蔵
当時は風刺画を描いて生計を立てていたクロード・モネが、ブーダン氏に強引に(?)誘われて屋外での写生をしたのが、モネにとって大きなステップになりました。
光の捉え方や表現方法を学んだモネは、市井の風刺画家から印象派の巨匠になります。ブーダン氏の誘いが無かったらどうなっていたことか。

モネ一家を描いた午後のゆっくりしたひととき。ウジェーヌ・ブーダン《人物のある風景》(ブーダン夫人とモネ一家) 1875-77年 ウジェーヌ・ブーダン美術館
そんな美術史の一端を担うウジェーヌ・ブーダン氏ですが、その作品の題材は難しいものではなく、お店や邸宅に飾りたくなるような気持の落ち着くものばかり。やはりこうした絵画のほうが売れ行きがよかったし、注文も多かったようですね。
注文や売り上げに関係なく描いた身近な人物の作品もほんわかして優しさがあふれる印象が伝わります。
それでは聴いてください。
スウェードで「By The Sea」
ウジェーヌ・ブーダン展―瞬間の美学、光の探求
2026.04.11(土)- 06.21(日)
SOMPO美術館
詳細 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2025/eugeneboudin/
■あわせて読む(関連記事)
浮き出る立体感。モネの超絶画力に酔いしれる
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20211109-2/
光の技術革新が絵画を変える――「印象派―室内をめぐる物語」より
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20251028-2/
派閥を超えた先の”自由な派閥”「プチパレ美術館」展
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20220719-2/
好きに「みる」絵画の楽しみ-「西洋絵画、どこから見るか?」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20250318-2/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
4/25土
古民家カフェで お江戸なカフェタイム(小唄と三味線と酒とつまみ)
https://kaguramura.jp/event/festival/1933/
2.
4/29水祝(見逃し配信も)
レクチャーコンサート
小唄で感じる江戸東京の文化 | 朝日カルチャーセンター横浜教室
https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8697980
(オンライン受講可)
3.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。出演をいくつか控えている宮澤やすみです。トーク交えて小唄の演奏をあちこちでいたします。下記「おしらせ」ご参照ください。
そんな中、春の美術展シーズンたけなわ。取材に行きまくっています。
先日は東京・新宿のSOMPO美術館「ウジェーヌ・ブーダン展」に行ってきました。
印象派の巨匠、クロード・モネの師匠、などと言われるブーダン氏。
印象派前夜の絵画の動向とかそう堅苦しく捉えなてもよくて、ブーダンさんご本人の温厚そうなお人柄が偲ばれて(実際どうだったか知りませんが)ほっこりする展示内容でした。

展示より、ウジェーヌ・ブーダンの写真
ウジェーヌ・ブーダンは、フランス北部ノルマンディーの生まれで、幼少期には船乗りの父上に付き添って小さな漁港でお手伝いなどしていたそう。
時代は19世紀。それまで絵画の主流テーマだった宗教画や歴史画が廃れ、自然そのものを描く風景画がよく描かれるようになったころ。
若きブーダンのいた漁村にも自然の風景を求めて画家が訪れ、その絵を見ていました。

展示風景。市場の魚を描いた静物画《魚、エイ、トラザメのある静物》1873年頃 など
20代で画家を志し、人気を博したのが海景画。
晩年には「もう海の絵ばかり描きたくない」をボヤくほど、ブーダン作品を印象付けるものだったそうです。
海辺で暮らした本人にもなじみ深かった風景だから、よりうまく描けたんでしょうか。

ウジェーヌ・ブーダン《海景》1883年 ディエップ美術館
作品を見ると、風向きや日差しの具合が感じられて、刻々と変化する天候の一瞬を切り取ったような、ある意味写真のような作品になっています。
「瞬間の美学、光の探求」と、展覧会タイトルにあるように、ブーダン氏は自分の心にグッときた瞬間をわしづかみにして、画面に絵画として定着させている。おそらく驚異的な集中力を要する作業だと思います。

ウジェーヌ・ブーダン《干潮》1884年 サン=ロー美術館
油彩画ですが、サササッと描いたような筆致で、一見てきとうに見える筆の動きもじつに的確で、相当な訓練を積んだからできる技ではないでしょうか(本展ではブーダン氏の素描作品も多数展示)。
この、自然のうごきを捉えて絵画化する技が、後の印象派のみなさんが手本をするところになるのでしょう。

粗い筆致を残した自由な作風。「習作のような外観を残す」と本人の言葉が残る。ブーダンなりの抽象表現。ウジェーヌ・ブーダン《草原の牛、トゥーク流域》1881-88年 個人蔵
当時は風刺画を描いて生計を立てていたクロード・モネが、ブーダン氏に強引に(?)誘われて屋外での写生をしたのが、モネにとって大きなステップになりました。
光の捉え方や表現方法を学んだモネは、市井の風刺画家から印象派の巨匠になります。ブーダン氏の誘いが無かったらどうなっていたことか。

モネ一家を描いた午後のゆっくりしたひととき。ウジェーヌ・ブーダン《人物のある風景》(ブーダン夫人とモネ一家) 1875-77年 ウジェーヌ・ブーダン美術館
そんな美術史の一端を担うウジェーヌ・ブーダン氏ですが、その作品の題材は難しいものではなく、お店や邸宅に飾りたくなるような気持の落ち着くものばかり。やはりこうした絵画のほうが売れ行きがよかったし、注文も多かったようですね。
注文や売り上げに関係なく描いた身近な人物の作品もほんわかして優しさがあふれる印象が伝わります。
それでは聴いてください。
スウェードで「By The Sea」
ウジェーヌ・ブーダン展―瞬間の美学、光の探求
2026.04.11(土)- 06.21(日)
SOMPO美術館
詳細 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2025/eugeneboudin/
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--おしらせ---
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1.
4/25土
古民家カフェで お江戸なカフェタイム(小唄と三味線と酒とつまみ)
https://kaguramura.jp/event/festival/1933/
2.
4/29水祝(見逃し配信も)
レクチャーコンサート
小唄で感じる江戸東京の文化 | 朝日カルチャーセンター横浜教室
https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8697980
(オンライン受講可)
3.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html


