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第483回 仏尊の個性を緻密に造形化する 上根拓馬流「現代の仏像」

”仏像オマージュというのか、仏像のカバーバージョンとでもいうのか――”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。都内でのライブまだ若干お席あります。どなたもお気軽にどうぞ。下記「おしらせ」ご参照ください。

そんな中、春の美術展シーズンたけなわ。取材に行きまくっているせいか、ふつうの散歩でも美術展に立ち寄ってしまいます。
先日は東京・渋谷ヒカリエ8Fのギャラリーで、おもしろい展示を見つけました。
まずはこちら。


《ガーディアンズ,the Vidyaraja 孔雀明王》

一見アニメに出てくるロボのように見えますが、この座り方やポージングを見ると仏像界隈の人はピンとくることでしょう。
作品名を見ると「孔雀明王」とあります。
どういうことでしょうか。

これまた偶然にも作家ご本人がいらしたので、お話をうかがうことができました。


「祈りの輪郭」展示風景

作者の上根拓馬(かみね たくま)さんは、仏像や世界の神獣などのバックグラウンドをコンセプトとして立体作品を作る造形作家。

仏像オマージュというのか、仏像のカバーバージョンとでもいうのか、そうした作品がいくつもあり、興味深く拝見しました。

一番大きな作品は「馬頭明王」。
日本では「馬頭観音」ですが、チベット密教では馬頭明王というのだそう。


《ガーディアンズ,the Vidyaraja 馬頭明王》

こうした作品は、モデルとなる仏像の姿や存在の意味、経典で語られるエピソードなどを掘り下げたうえで、現代に即したイメージで再構築しています。
「精力漲る凶悪なまでのバックグラウンドを現代版アレンジにより造形してみました」(上根拓馬Xより)

たとえば、胸にあるカメラのレンズは「心眼」を表し、頭部の動物の頭蓋骨はその尊格ゆかりの動物をあしらっています。

我々仏像ファンになじみ深い阿弥陀さんやお釈迦さんなど「如来」は見当たりません。
悟りを開ききった完成形よりも、まだ悟りを開ききっていない末端の存在にスポットを当て、上根さんは造形化します。

とくに密教の世界にご興味があるようで、曼荼羅でいうと端の方に小さく描かれるような尊格が展示されていました。
日天、月天は、金と銀に塗られていてカッコよかったです。


こちらは持国天。「礼拝対象である仏像と趣味のフィギュアの間のグレーゾーンを表現できたら」と上根さん。《ガーディアンズ ,the Catvaromaharaja 持国天》

だいたい仏教の世界観だと、インド由来の夜叉とか悪神とかが相当な悪者だったんだけど、改心して仏法の護法神になったというようなパターンが多いですよね。そういうキャラクターのほうが人間くさくて魅力的だったりします。

「宗教的な要素はない」とはっきりおっしゃる上根さんですが、密教の世界観や物語性に深く根差した造形で、金属製の持物や樹脂製の体部にも現代の仏像としての意味があり、仏像を見慣れた我々でも令和の現代仏像といったらこんな感じなんだろうなと、腑に落ちる感じがします。


《千手 SENJU 2026 ver.》

以前この連載でガンダムと大仏を比較したこともありましたが、1000年前の造形と現代のロボにどれくらいの違いがあるのかないのか、考えさせられますね。

今回の展示は、「Death フェス」と銘打った死をポップに語り合うイベントの一環で開催された、「祈りの輪郭」という展示企画。
上根さんのほかにも現代におけるさまざまな「祈り」のかたちを表現されています。


スマホのSIMカードを並べてキトラ古墳石室内の天文図を再現。橋本悠希《死無カード(キトラ古墳天文図)》

それでは聴いてください。
宮澤やすみ and The Buttzで「Ash-La La La(阿修羅イメージソング)」


「Deathフェス2026」連携企画
祈りの輪郭
2026/4/11(土)~26(日)
東京・渋谷 Bunkamura Gallery 8/ (渋谷ヒカリエ8F)
https://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/260411inori.html

上根拓馬Instagram
https://www.instagram.com/takumakamine


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https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20240312-2/




--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
4/25土
古民家カフェで お江戸なカフェタイム(小唄と三味線と酒とつまみ)
https://kaguramura.jp/event/festival/1933/

2.
4/29水祝(見逃し配信も)
レクチャーコンサート
小唄で感じる江戸東京の文化 | 朝日カルチャーセンター横浜教室
https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8697980
(オンライン受講可)


3.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html