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第484回 釈迦が三味弾き…ユーモアと洒脱を表現する超絶技巧 「河鍋暁斎の世界」

”ムチャ振りに応えて、酔っ払った暁斎が畳の上でササっと描く。そうした作品が--”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。突然PCがぶっこわれて途方にくれている宮澤やすみです。2日後に使うパワポとワードのデータ、一から作り直しです。トホホ。(この原稿は古いPCを引っ張り出して書いてます)

そんな中、春の美術展シーズンたけなわ。先日はサントリー美術館「河鍋暁斎の世界」に行ってきました。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです(一部一般撮影OKのものもあります)。


フォトスポットでは猫又さんと一緒に撮影できる

幕末から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎は、狩野派でみっちり仕込んだ日本画のテクニックをベースにちょっと面白い絵をたくさん描いています。

この”ちょっと面白い”というニュアンスが肝で、爆発奇想天外なんじゃこりゃ的な作品とはちがい、ちょっとニンマリするような「ちょっと」面白い、おかげでずっと見続けてしまう、そんな魅力があります。

狩野派の絵というと、一般的には花鳥風月を描いた格調高いものがありますが、河鍋暁斎の絵はどこか捻りがある。

メインヴィジュアルになっている《地獄太夫と一休》をみると、華やかな美人画に狂ったように踊る一休さんと、なぜか骸骨が三味線を弾いているという、ちょっとブラック味のある構成がいいですね。


骸骨が弾く地獄三味線はどんな曲だろう。《地獄太夫と一休》明治4-22年(1871-89)

こうした絵は「本画」といって、下絵を重ねて丹念に描く作品ですが、展示で目を引くのは「狂画」と暁斎本人が呼んでいた、即興で描いた作品です。

宴席で、「ちょっと描いてよ」というムチャ振りに応えて、酔っ払った暁斎が畳の上でササっと描く。
そうした作品がまた滑稽で、暁斎本人の茶目っ気も垣間見えるような面白いです。


展示風景より《三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪》明治4-12年(1871-79)

あとはかわいいどうぶつ達、猫が多く登場するのは、暁斎本人の飼い猫がモデルになっているとか。


妖怪猫又が手拭いひっかけ踊り出す。《猫又図》(部分)明治4-22年(1871-89)

そして、信心深かった暁斎は、神仏画も多く残しています。
《鐘馗騎象図》は朱墨で描かれた赤い鐘馗さん(疫病をやっつける道教の神)。
赤色は、疱瘡(天然痘)除けのおまじないの意味があります。赤いものを身に付けたり飾ったりすることで疱瘡にかからないという民間信仰がありました。


《鐘馗騎象図》明治零年代後半(1870年代)

つまり、暁斎は病除けのための護符の意味でこの作品を描いたと思われます。この絵は実際に病気の現場に掛けられたんでしょうか。制作意図はわかりませんが、たとえば●●展入選といったような個人的目的とはちがうものが込められているようです。


不動明王の持物をもつ《鴉天狗像》明治20年(1887)

そのいっぽう、こんな一風面白い絵も。
キリストの前で釈迦が三味線を弾く「聖★おにいさん」的な画題です。


明治のキリスト教解禁《五聖奏楽図》賛は儒者の橘機郎。明治4-20年(1871-87)

これだけ楽しそうな釈迦を見ると、神仏分離の廃仏運動が沈静化して仏教が復活したころのものと推測できますね。
どこまでもユーモアと少しの皮肉が入った、どこまでも楽しい河鍋暁斎の世界を堪能できました。

それでは聴いてください。
宮澤やすみ で「夜桜」(江戸時代の小唄です)。



ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界
2026年4月22日[水]~6月21日[日]
サントリー美術館
詳細 https://kyosai2026.exhibit.jp/


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--おしらせ---
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4/29水祝(見逃し配信も)
レクチャーコンサート
小唄で感じる江戸東京の文化 | 朝日カルチャーセンター横浜教室
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(オンライン受講可)

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宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
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宮澤やすみ公式サイト:https://yasumimiyazawa.com