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第485回 超絶技巧のお宝がなぜここに? 近世公家文化を留める専修寺の寺宝

”幕府や皇族と強く結びついて、血のつながりもできて、巨大な発展を遂げるんですから--”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。突然壊れたPCを再修理に出す羽目になった宮澤やすみです。データのバックアップは必須です。

そんな中、学習院ミュージアムでの「伊勢の名刹 専修寺」つづきです。

前回ご紹介した美麗な三尺阿弥陀立像をあとに展示を見ると、めくるめく公家文化の粋。


現場にいた仏友たち全員が「これ優勝」と言ったのがこれ。本物の栗ではなく象牙細工の置物。《牙彫栗置物》明治末期~昭和初期 貞明皇后御遺品

専修寺(せんじゅじ)は、浄土真宗高田派の総本山。

近世には宮廷の皇族や貴族が住職を務めるいわゆる門跡寺院として大発展し現在に至っています。
今回の展示は、そんな専修寺に長く収められていた数々の調度品や絵画などを「悉皆調査(しっかいちょうさ:全品調査すること)」した結果、急きょ開催されたものだそうです。

それだけ、発見が多かったわけですね。
学習院大学の学生さんも加わって、チームで調査。きっとワクワクが止まらなかったことでしょう。


超絶技巧の透かし彫り薩摩焼。足がネコみたいでかわいい。《透彫双耳三足香炉》明治~大正 昭憲皇后御遺品

日本画に詳しくない私でも、円山応挙はわかります。
解説によると、華族である政治家・近衛篤麿の弟が専修寺二十二世堯猷(ぎょうゆう)上人でありまして、お兄様が明治37年に亡くなると、その遺品として専修寺に寄贈されたそうです。


《漁夫図》円山応挙 江戸時代18世紀後半

また、こちらの書棚は、「安政5年(1858)、第十四代徳川家茂将軍就任の折に近衛忠房が拝領したもの」(解説より)。
その近衛忠房の三男が、先ほどの専修寺堯猷上人でありまして、専修寺にあるというわけです。
堯猷上人、どんだけセレブなんでしょう。


《桐鳳凰蒔絵書棚》江戸時代後期1850年代

どちらもご家族のつながりでこの寺にあるわけで、専修寺が、皇族や幕府内部の関係者の一族が運営するセレブ寺院であったことがよくわかりました。


節句の日に掛けられた絵。右から人日(白馬節会)1月7日、上巳 3月3日、端午 5月5日、七夕 7月7日、重用 9月9日

浄土真宗というと、宗祖は親鸞。
鎌倉時代、幕府や朝廷ににらまれて島流しにあって処刑寸前まで行ったとかいう受難のエピソードをよく聞きます。

それが、こうして幕府や皇族と強く結びついて、血のつながりもできて、巨大な発展を遂げるんですから、歴史のダイナミズムを感じますね。

専修寺の創建は栃木県の高田というところに親鸞聖人が建立したのがはじまりで、その後の弟子たちの奮闘で、関東地方での大きな教団になりました。
朝廷からの崇敬を得るのは高田派の第十世真慧(しんね)上人(1434~1512)のころだそうで、親鸞の時代からおよそ300年後ですから時代は変わるものですよね。
そもそも何百年も継承され発展していくというのは、やはり宗教という存在の大きさを感じます。


海外輸出向けの有田焼大花瓶がなぜか専修寺に。《色絵花盆文花瓶》絵付:深川栄左衛門 素地:年木庵喜三 明治初期1870年代

宗教とはちがうけど、私の小唄一門なんかまだ20年。島流しにはなっていませんが、まだまだ受難の時代であります。いや300年続くことはないと思いますがね。

展覧会は会期が短いのでお早めに行ってみてください。

それでは聴いてください。
アイアン・メイデンで「Powerslave」。



伊勢の名刹 専修寺 -寺宝からみる公家文化
2026年5月22日(金)〜2026年6月13日(土)森美術館
霞会館記念学習院ミュージアム
来館案内 https://www.museum.univ.gakushuin.ac.jp/information/



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本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
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宮澤やすみ公式サイト:https://yasumimiyazawa.com