お問い合せ

営業時間:10:00~17:00 定休日:土日祝日

  • x
  • facebook
  • instagram
公式オンラインストア
お問合わせ メニュー
公式オンラインストア

第486回 長屋王から菅原道真に至り花開く 藤原家の華やかな雅楽

”道真が延喜楽を聴くことはなかったでしょうか--”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。PC再修理は完了したものの、後回しにしたPC作業案件が山積みになっている宮澤やすみです。いろんな宿題同時並行で頭がこんがらがります。

そんな中、先日は博雅会さんの雅楽コンサートに行ってきました。


ステージの様子。最初のプログラムのみ撮影OKなのがうれしい

メインの演目は「青海波(せいがいは)」という舞曲。
紫式部『源氏物語』第七帖「紅葉賀」で、光源氏とライバルの頭中将が舞ったというエピソードがありまして、その実際の曲が現代に伝わっているわけです。

ステージでは、はなやかな篳篥と竜笛のメロディに乗せて、二人の舞人が競うように舞いました。
雅楽では、リズムがだんだん速くなっていくのが特徴で、太鼓のドンという低音と、鞨鼓の打ち鳴らしがだんたんと場を興奮のるつぼに盛り立てていきます。


三味線奏者としては楽琵琶が気になる。試奏させてもらいました。三味線より絃が太いので弾く時のバチンと鳴る感触が心地いい

ラストの曲は「延喜楽」。
延喜年間に書かれたという曲で、日本のオリジナルです。
ハーモニー担当の笙が省略されて、シンプルかつ優雅な楽曲。武人の曲とちがってほんわかしたイメージです。
作者は藤原忠房という文人貴族で、藤原一族のうち藤原京家。

藤原京家は、あの藤原四兄弟の四番目の子孫にあたる家系です。
藤原四兄弟、歴史で学びましたよね。長屋王と対立して長屋王を失脚させたものの、四兄弟全員が疫病でばたばた死んでいったという、長屋王の変で登場します。


今回は管絃の演奏もたっぷり聴けて、その使用楽器を展示。これは十三絃箏。Dのヨナ抜き音階に調弦されていた

その子孫は、のちの平安時代中期、10世紀ごろには芸術家として活躍したんですね。
このあと平安京は武家を交えて血みどろの時代になりますから、平安時代のいちばんおいしい頃でしょうか。

この曲が書かれた延喜年間に活躍した有名人で、仏像ファンにもなじみ深い人が菅原道真です。藤原忠房のひとつ上の世代にあたるでしょうか。

菅原道真の没年が延喜3年(903)、59歳で大宰府で没しました。その後、都で落雷や火災がおき、道真の祟りと恐れられたのはよく知られた話。
道真のライバルで、彼の大宰府左遷に動いたという藤原時平は延喜9年(909)に39歳で死去。

いっぽう、藤原忠房が宇多法王の祝賀で雅楽を指揮(楽行事)したのが延喜16年(916)だそうですから、道真が延喜楽を聴くことはなかったでしょうか。


笙もロビーに展示

しかし、この宇多法王こそ、道真との信頼関係が強く、現役の彼をよく知っていた人物なのでした。宇多が天皇を退いてすぐに道真は失脚することになります。

藤原忠房は、そんなきなくさい政争には関わらず、和歌や雅楽の世界で活躍。まさしく平安時代の良い面を堪能できたんじゃないでしょうか。忠房は延長6年(929年)に亡くなります。


終演後の舞人(まいにん)のみなさん

延喜楽は、お祝いの席でよく奏される晴れやかな曲だそうです。
1100年前、宇多法王も聴いたかもしれない楽曲を今も聴けるというのはすごいことですね。

それでは聴いてください。
東京楽所で「延喜楽 当曲」。


博雅会ホームページ
https://hakugakai.jimdofree.com/


■あわせて読む(関連記事)
まるで四天王な雅楽の装束/釈迦涅槃図の修復
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230627-2/
仏像と音楽-大仏開眼で奏された曲「陪臚」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20190604-2/



--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
早稲田大学オープンカレッジ(中野キャンパス)
【神社の仏像―廃仏から保存へ】
―神仏分離で何があったのか―
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/68045/
※期間限定 入会金無料キャンペーン中


宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html


宮澤やすみ公式サイト:https://yasumimiyazawa.com


【ナンバリング誤表記に関するお詫びと訂正】

いつも本ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

過去の投稿におきまして、タイトルの回数表記に誤りがございました。
第476話の段階で誤って「第479話」とカウントしてしまい、以降、本日まで3話分多くカウントされた状態が続いておりました。

読者の皆様にご混乱をお招きしましたことを、深くお詫び申し上げます。

本日の投稿は正しくは**「第486話」**となります。
過去の該当記事(誤:第479話〜488話)につきましても、順次正しい回数(正:第476話〜485話)へ修正させていただきます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

仏像ワールド