- HOME
- 宮澤やすみの仏像ブツブツ
- 第492回 密教仏大集合! 畏怖と親しみと軽いめまい ―「空海と真言の名宝」
第492回 密教仏大集合! 畏怖と親しみと軽いめまい ―「空海と真言の名宝」
”一木で造ったと思えない、破綻のないプロポーション――”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。この文章が出るころには、お芝居「我が友、レンブラント」を終えている宮澤やすみです。三味線で生伴奏をつけて、拍手喝采のはずです。きっと。
そんな中、夏の美術展シーズン到来。
いよいよ仏像ファン必見の特別展「空海と真言の名宝」が東京国立博物館ではじまりました。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです(一部一般撮影OKのものもあります)。

いざ展示室へ
今回は、いちばん気になるであろう仏像展示を中心にみていきましょう。
真言宗には各派あり、16派の総本山、大本山である18の寺院で構成された「真言宗各派 総大本山会」略して「各山会」がありまして、
今回はそれに属する各寺院の貴重な秘仏が出展されています。
やはり一番インパクトがあるのは、独特のポーズの天弓(てんきゅう)愛染明王ではないでしょうか。
SF映画のポスターにでもなりそうなカッコよさです。

重要文化財《愛染明王坐像》平安時代 12世紀 山梨・放光寺蔵
しかも平安時代作という古さも魅力で、天弓愛染でこの時代までさかのぼるのはほかに京都・神童寺の像があるくらいで大変貴重だそうです。
山梨県でありながら都ぶりの洗練された平安仏は、当時の甲斐源氏の権勢ぶりをうかがわせます。
次にこちらは、三重県の観菩提寺の十一面観音菩薩。
この異相というべき像容。頭が大きくて、その表情が厳しい。そして像高が2メートルを超えて、かなり迫力を感じます。
この日、ぼくはちょっと体調不良でめまいがしていたのですが、めまいが増幅される感じがしました(笑)。

重要文化財《十一面観音菩薩立像》平安時代 9~10世紀 三重・観菩提寺蔵
図録にはお寺で撮影した写真がありますが、古い厨子と一緒に移った姿がまたすばらしいです。
解説を読んで興味深かったのは、今も旧正月の修正会で観音悔過を行っているそう。
観音悔過といえば、東大寺の修二会(お水取り)が有名ですが、それを創始した実忠がいた笠置寺と、この観菩提寺とはわりと近くにあるそうで、同じ文化圏で発展したと目されるそう。
東大寺の修二会本尊は絶対秘仏ですが、それと同じ仕事(?)を担う十一面観音が目の前に、と思うとグッときます。

数々の貴重な古仏が展示室にずらり
あと、ぬいぐるみにもなって、取材陣からも注目を集めていたスター仏像が、大阪・大門寺の如意輪観音菩薩坐像。

重要文化財《如意輪観音菩薩坐像》平安時代 11世紀 大阪・大門寺蔵
平安時代、11世紀の像ながら、クスノキの一材から彫り出した一木造で、当時よりさらに古い様式を再現したと思われます。
一木で造ったと思えない、破綻のないプロポーション。首をかしげて、リラックスした感じがよく表現されていて、和みます。
見る角度によって表情が厳しくなったり、笑っているように見えたりするので、そこも展示室でごらんくださ

ミュージアムショップ。大門寺如意輪観音のぬいぐるみ
如意輪観音信仰は、石山寺や観心寺など真言密教の寺院で盛んになり、秘仏として今に伝わっています。
石山寺については以前この連載で10週以上にわたって書いたので、拾い読みしてみてください(下記「あわせて読む」参照)。

如意輪観音信仰寺院の代表・石山寺の縁起絵巻も展示。重要文化財《石山寺縁起絵巻 巻第一(部分)》伝高階隆兼筆 鎌倉~南北朝時代 14世紀 滋賀・石山寺蔵
次にこちらは、とても小さな厨子入り十一面観音。伽羅の香木から彫り出したそう。
仏像は、本来香りのよい特別な木で彫るのが本来とされ、それに倣って造った仏像を「檀像」といいます。
先ほどの如意輪観音坐像も、檀像を意識して、日本古来の香木クスノキを使ったと思われます。
この小さな仏像は、江戸末期の皇族・和宮親子(かずのみやちかこ)内親王の念持仏として造られたとされる超セレブ仏像。
隣には蘭奢待の木片も展示されています。

左:《香木片 銘「蘭奢待」》奈良時代 8世紀 京都・泉涌寺蔵 右:《厨子入 十一面観音菩薩立像》江戸時代 19世紀 京都・泉涌寺蔵
そのほか、真言宗寺院のめくるめく仏像世界が繰り広げられているので、どんな出会いがあるかは展示室で実ブツと対峙してみてください。

国宝《五智如来坐像》平安時代 9世紀 京都・安祥寺蔵
展示内容が濃すぎるので、次週につづきます。この展示のメインである「後七日御修法」にも触れます。
それでは聴いてください。
宮澤やすみ で「マイケルの」。
(新アルバム『小唄橋』リリースしました)
【弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」】
東京国立博物館 平成館
2026年7月14日(火)~9月6日(日)
詳細
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kukai2026/
■あわせて読む(関連記事)
奇岩に座すカミ-石山寺・如意輪観音の旅 その1
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200714-2/
如意輪でつながる3つの大寺-石山寺・如意輪観音の旅 その8
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200901-2/
巨像の魂?4体の小金銅仏-石山寺・如意輪観音の旅 その9
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200908-2/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
宮澤やすみ公式サイト:https://yasumimiyazawa.com
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。この文章が出るころには、お芝居「我が友、レンブラント」を終えている宮澤やすみです。三味線で生伴奏をつけて、拍手喝采のはずです。きっと。
そんな中、夏の美術展シーズン到来。
いよいよ仏像ファン必見の特別展「空海と真言の名宝」が東京国立博物館ではじまりました。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです(一部一般撮影OKのものもあります)。

いざ展示室へ
今回は、いちばん気になるであろう仏像展示を中心にみていきましょう。
真言宗には各派あり、16派の総本山、大本山である18の寺院で構成された「真言宗各派 総大本山会」略して「各山会」がありまして、
今回はそれに属する各寺院の貴重な秘仏が出展されています。
やはり一番インパクトがあるのは、独特のポーズの天弓(てんきゅう)愛染明王ではないでしょうか。
SF映画のポスターにでもなりそうなカッコよさです。

重要文化財《愛染明王坐像》平安時代 12世紀 山梨・放光寺蔵
しかも平安時代作という古さも魅力で、天弓愛染でこの時代までさかのぼるのはほかに京都・神童寺の像があるくらいで大変貴重だそうです。
山梨県でありながら都ぶりの洗練された平安仏は、当時の甲斐源氏の権勢ぶりをうかがわせます。
次にこちらは、三重県の観菩提寺の十一面観音菩薩。
この異相というべき像容。頭が大きくて、その表情が厳しい。そして像高が2メートルを超えて、かなり迫力を感じます。
この日、ぼくはちょっと体調不良でめまいがしていたのですが、めまいが増幅される感じがしました(笑)。

重要文化財《十一面観音菩薩立像》平安時代 9~10世紀 三重・観菩提寺蔵
図録にはお寺で撮影した写真がありますが、古い厨子と一緒に移った姿がまたすばらしいです。
解説を読んで興味深かったのは、今も旧正月の修正会で観音悔過を行っているそう。
観音悔過といえば、東大寺の修二会(お水取り)が有名ですが、それを創始した実忠がいた笠置寺と、この観菩提寺とはわりと近くにあるそうで、同じ文化圏で発展したと目されるそう。
東大寺の修二会本尊は絶対秘仏ですが、それと同じ仕事(?)を担う十一面観音が目の前に、と思うとグッときます。

数々の貴重な古仏が展示室にずらり
あと、ぬいぐるみにもなって、取材陣からも注目を集めていたスター仏像が、大阪・大門寺の如意輪観音菩薩坐像。

重要文化財《如意輪観音菩薩坐像》平安時代 11世紀 大阪・大門寺蔵
平安時代、11世紀の像ながら、クスノキの一材から彫り出した一木造で、当時よりさらに古い様式を再現したと思われます。
一木で造ったと思えない、破綻のないプロポーション。首をかしげて、リラックスした感じがよく表現されていて、和みます。
見る角度によって表情が厳しくなったり、笑っているように見えたりするので、そこも展示室でごらんくださ

ミュージアムショップ。大門寺如意輪観音のぬいぐるみ
如意輪観音信仰は、石山寺や観心寺など真言密教の寺院で盛んになり、秘仏として今に伝わっています。
石山寺については以前この連載で10週以上にわたって書いたので、拾い読みしてみてください(下記「あわせて読む」参照)。

如意輪観音信仰寺院の代表・石山寺の縁起絵巻も展示。重要文化財《石山寺縁起絵巻 巻第一(部分)》伝高階隆兼筆 鎌倉~南北朝時代 14世紀 滋賀・石山寺蔵
次にこちらは、とても小さな厨子入り十一面観音。伽羅の香木から彫り出したそう。
仏像は、本来香りのよい特別な木で彫るのが本来とされ、それに倣って造った仏像を「檀像」といいます。
先ほどの如意輪観音坐像も、檀像を意識して、日本古来の香木クスノキを使ったと思われます。
この小さな仏像は、江戸末期の皇族・和宮親子(かずのみやちかこ)内親王の念持仏として造られたとされる超セレブ仏像。
隣には蘭奢待の木片も展示されています。

左:《香木片 銘「蘭奢待」》奈良時代 8世紀 京都・泉涌寺蔵 右:《厨子入 十一面観音菩薩立像》江戸時代 19世紀 京都・泉涌寺蔵
そのほか、真言宗寺院のめくるめく仏像世界が繰り広げられているので、どんな出会いがあるかは展示室で実ブツと対峙してみてください。

国宝《五智如来坐像》平安時代 9世紀 京都・安祥寺蔵
展示内容が濃すぎるので、次週につづきます。この展示のメインである「後七日御修法」にも触れます。
それでは聴いてください。
宮澤やすみ で「マイケルの」。
(新アルバム『小唄橋』リリースしました)
【弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」】
東京国立博物館 平成館
2026年7月14日(火)~9月6日(日)
詳細
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kukai2026/
■あわせて読む(関連記事)
奇岩に座すカミ-石山寺・如意輪観音の旅 その1
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200714-2/
如意輪でつながる3つの大寺-石山寺・如意輪観音の旅 その8
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200901-2/
巨像の魂?4体の小金銅仏-石山寺・如意輪観音の旅 その9
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200908-2/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
宮澤やすみ公式サイト:https://yasumimiyazawa.com


