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第494回 平安時代のリモートワーク《信貴山縁起絵巻》 ―「空海と真言の名宝」その3
”自分は山にこもりながら托鉢も祈祷もこなすという、まさにリモートワークの大先達ではないですか――”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。四谷荒木町のお店で怪談小唄を出張演奏してきた宮澤やすみです。夏ですね。
そんな中、東京国立博物館「空海と真言の名宝」のつづきです。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです(一部一般撮影OKのものもあります)。

展示室風景。数多くの仏像が並ぶ
短い取材時間でしたが、その中で個人的に目を引いたのが《信貴山縁起絵巻》でした。

展示風景より。国宝《信貴山縁起絵巻 飛倉巻》(部分)平安時代 12世紀 奈良・朝護孫子寺蔵 【前期展示】
いろんな展示で何度か見ていましたが、改めて見ごたえがあります。
人物の表情や動きの表現、米俵が飛んだり倉が浮いたり、奇想天外な展開のおもしろさ。
「鳥獣戯画」などと並んで、日本のマンガの原点ともいえる描写が面白いです。

驚いたり笑ったり豊かな表情描写が見どころ(パブリックドメイン画像より)
この信貴山縁起絵巻は、奈良の朝護孫子寺が所蔵していて、平安時代の命蓮(みょうれん)という高僧のとんでもない法力を物語るストーリー展開になっています。
そのなかの「山崎長者の巻(通称:飛倉の巻)」が展示されていました。

国宝《信貴山縁起絵巻 飛倉巻》(部分)平安時代 12世紀 奈良・朝護孫子寺蔵 【前期展示】
命蓮は、信貴山に毘沙門天を祀って山中に籠り、孤独に修行を積んでいました。
山中にこもりっきりでいるのですが、托鉢には鉢だけを法力で街へ飛ばして、そこに寄付の品を入れてもらっていたのです。
あるとき、山崎の長者はめんどうになったのか、自邸の倉に鉢を入れたまま忘れてしまう。
すると、大きな倉が浮き上がって、中から鉢が飛び出しました。
その鉢の上に倉が載って、そのまま信貴山へ飛んでいったのでした。
困った山崎長者は、命蓮に倉を返してくれて懇願。倉は無理だが中のものは返しましょうといいます。
米俵を鉢の上に載せると飛び上がって、ほかの米俵も付いてきて無事に長者の屋敷に飛んで戻ったとさ。

米俵が飛んできて邸に戻る(パブリックドメイン画像より)
と、そんな話なのですが、その鉢と倉が飛んでいく様子を描いた部分が大変有名で、
ダイナミックな描写をぜひご覧いただきたいです。

展示風景より。飛倉の横には意味ありげに鉢が展示。重要文化財《金銅鉢》平安時代 延長7年(929)朝護孫子寺
ここではパブリックドメインの画像を載せますが、ぜひ展示室で実物をごらんください。
展示の後期(8/11~)では、次のエピソードである「延喜加治の巻」が展示予定。
この話は、時の醍醐天皇の病平癒の加持祈祷を依頼された命蓮が、天皇の宮へ行くことなく、信貴山からリモートで祈祷するというもの。

「延喜加治の巻」のクライマックス。祈祷が済んだことを知らせる「剣の護法童子」(パブリックドメイン画像より)
命蓮さん、自分は山の自坊にこもりながら托鉢も祈祷もこなすという、まさにリモートワークの大先達ではないですか。
まさに信貴山・朝護孫子寺は、在宅ワークの聖地。
いま在宅ワークに精を出していらっしゃる人は、ここをお参りするといいんじゃないでしょうか。もちろんリモートで。
ちなみに、仏像ファンにおすすめなのは、第3エピソードである「尼公(あまぎみ)の巻」で、
創建当時の東大寺大仏の絵が見られるのですが、今回の展示では登場しないようです。

焼失前の東大寺大仏の姿が見られる「尼公の巻」(パブリックドメイン画像より)
それでは聴いてください。
オジー・オズボーン で「Ozzy Osbourne - Flying High Again」。
【弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」】
東京国立博物館 平成館
2026年7月14日(火)~9月6日(日)
詳細
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kukai2026/
■あわせて読む(関連記事)
密教の最重要秘儀「後七日御修法」 ―「空海と真言の名宝」その2
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20260728-2/
密教仏大集合! 畏怖と親しみと軽いめまい ―「空海と真言の名宝」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20260721-2/
怨霊との関わり?-「国宝 鳥獣戯画のすべて」展
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20210420-2/
なぜ童子?「酒呑童子」と不動明王の関係―「酒呑童子ビギンズ」展より―
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20250603-2/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
宮澤やすみ公式サイト:https://yasumimiyazawa.com
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。四谷荒木町のお店で怪談小唄を出張演奏してきた宮澤やすみです。夏ですね。
そんな中、東京国立博物館「空海と真言の名宝」のつづきです。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです(一部一般撮影OKのものもあります)。

展示室風景。数多くの仏像が並ぶ
短い取材時間でしたが、その中で個人的に目を引いたのが《信貴山縁起絵巻》でした。

展示風景より。国宝《信貴山縁起絵巻 飛倉巻》(部分)平安時代 12世紀 奈良・朝護孫子寺蔵 【前期展示】
いろんな展示で何度か見ていましたが、改めて見ごたえがあります。
人物の表情や動きの表現、米俵が飛んだり倉が浮いたり、奇想天外な展開のおもしろさ。
「鳥獣戯画」などと並んで、日本のマンガの原点ともいえる描写が面白いです。

驚いたり笑ったり豊かな表情描写が見どころ(パブリックドメイン画像より)
この信貴山縁起絵巻は、奈良の朝護孫子寺が所蔵していて、平安時代の命蓮(みょうれん)という高僧のとんでもない法力を物語るストーリー展開になっています。
そのなかの「山崎長者の巻(通称:飛倉の巻)」が展示されていました。

国宝《信貴山縁起絵巻 飛倉巻》(部分)平安時代 12世紀 奈良・朝護孫子寺蔵 【前期展示】
命蓮は、信貴山に毘沙門天を祀って山中に籠り、孤独に修行を積んでいました。
山中にこもりっきりでいるのですが、托鉢には鉢だけを法力で街へ飛ばして、そこに寄付の品を入れてもらっていたのです。
あるとき、山崎の長者はめんどうになったのか、自邸の倉に鉢を入れたまま忘れてしまう。
すると、大きな倉が浮き上がって、中から鉢が飛び出しました。
その鉢の上に倉が載って、そのまま信貴山へ飛んでいったのでした。
困った山崎長者は、命蓮に倉を返してくれて懇願。倉は無理だが中のものは返しましょうといいます。
米俵を鉢の上に載せると飛び上がって、ほかの米俵も付いてきて無事に長者の屋敷に飛んで戻ったとさ。

米俵が飛んできて邸に戻る(パブリックドメイン画像より)
と、そんな話なのですが、その鉢と倉が飛んでいく様子を描いた部分が大変有名で、
ダイナミックな描写をぜひご覧いただきたいです。

展示風景より。飛倉の横には意味ありげに鉢が展示。重要文化財《金銅鉢》平安時代 延長7年(929)朝護孫子寺
ここではパブリックドメインの画像を載せますが、ぜひ展示室で実物をごらんください。
展示の後期(8/11~)では、次のエピソードである「延喜加治の巻」が展示予定。
この話は、時の醍醐天皇の病平癒の加持祈祷を依頼された命蓮が、天皇の宮へ行くことなく、信貴山からリモートで祈祷するというもの。

「延喜加治の巻」のクライマックス。祈祷が済んだことを知らせる「剣の護法童子」(パブリックドメイン画像より)
命蓮さん、自分は山の自坊にこもりながら托鉢も祈祷もこなすという、まさにリモートワークの大先達ではないですか。
まさに信貴山・朝護孫子寺は、在宅ワークの聖地。
いま在宅ワークに精を出していらっしゃる人は、ここをお参りするといいんじゃないでしょうか。もちろんリモートで。
ちなみに、仏像ファンにおすすめなのは、第3エピソードである「尼公(あまぎみ)の巻」で、
創建当時の東大寺大仏の絵が見られるのですが、今回の展示では登場しないようです。

焼失前の東大寺大仏の姿が見られる「尼公の巻」(パブリックドメイン画像より)
それでは聴いてください。
オジー・オズボーン で「Ozzy Osbourne - Flying High Again」。
【弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」】
東京国立博物館 平成館
2026年7月14日(火)~9月6日(日)
詳細
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本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
宮澤やすみ公式サイト:https://yasumimiyazawa.com


