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第2部 #彫刻刀屋さんとつながりたい 第9回 朝倉文夫と千代鶴是秀と再び田島さん

こんにちは!一笑仏工房の中の人、あんどぅ☆ななせです( ^ω^ )

・・・前回までのあらすじ・・・
未知の素晴らしい彫刻刀があるなら出会いたい!そして親しくお付き合い出来る彫刻刀屋さんと出会いたい!そんな思いを胸に、横のつながりが薄い彫刻界を横断して情報をゲットしようと右往左往。刃物界のトップに君臨するという小信の彫刻刀を取り寄せてみて、いよいよ小信さんの所を訪問しようと思いましたが…
・・・あらすじ終わり・・・

桜も咲いて、新元号も発表されて、東寺展も始まって、みんなどうせ東寺展で押し合いへし合いしながら帝釈天の写真撮ってるんでしょプンスコo(`ω´*)o








いえいえ!私だって東寺大好きで東寺展行きたくてたまらないですよ!行きますけどね!
でもさ~どうせ混んでて教養オタクなじーちゃんのウンチクがあちこちから二重音声で聞こえる中押し合いへし合いしてヘトヘトになるんでしょ?
なんかどうせ素晴らしいことはわかってるし行かなくてもいっかーなんて(´△`)
…どんだけひねくれてんねんっ!だから嫌われるんよあんたはっ!


はいはい。でね、ここ行って来ました。



朝倉彫塑館です~。
いえね、前回までの流れで、西東京の小信さんを訪問してみたいー!と思い、その予定だったのですが、色々と調べたりググったりしているうちに、ちょっと違う所に興味が出て来まして。
以前、井の頭公園にある西村正望の彫刻館に行ったとき、そう言えば鑿などの道具の展示があったな~と思い出したんですよ。
で、写真を探してみたら、ありました。





ほえ~~素敵ですよね~~ヨダレが出ます!
あのさあのさ!「グラン・トリノ」って映画でクリント・イーストウッドがガレージでざら~っ!と大工道具を並べるシーン知ってます!?
あのシーン大好きなんですよね~~
ほんと、道具って萌えますっっっハァハァ
なんかもう仏像より道具の展覧会に行きたいです自分ハァハァ…


…あ、で~また同じ所に行くのもアレなんで、他にも道具を展示している博物館か何か無いかなー、そう言えば朝倉文夫彫塑館って行ったことないけど朝倉文夫の道具とか展示してないのかなーと調べてみたら、またなぜか田島享央己さんの記事にぶつかったんです!
なぜかって言うか、当然繋がっているわけで、私が無知なだけなんですけどね…

↓この記事です!
大正期の彫刻界~僕のおじいちゃん~(田島享央己さんのブログ)
http://shidokou.blog20.fc2.com/blog-entry-87.html


この記事めっちゃめちゃ面白いです!!
異常に長いので読むの大変ですけどぜひ読んでみて欲しいです!!
この記事の中に朝倉文夫と「千代鶴是秀」と言う職人の道具が出てくるので引っかかったんですね。
ちなみに「朝倉文夫 道具」で検索すると、以前ご紹介した土田刃物店の土田さんの記事もたくさんヒットします。繋がっている!!
高村光雲とか高村光太郎は教科書にも出てくるレベルで有名なんですけど、朝倉文夫はそこまでの知名度は無いですよね。
東寺展でウンチクたれているじーちゃんは当然知っていると思いますけどね!

高村光太郎と朝倉文夫は同い年で、ライバルのような関係だったそうです。
田島さんの記事にも出てくるんですけどね、
朝倉文夫は「吊るされた猫」という作品で高村光太郎に「腕のつくりがなってない」と批評されたためか、腕の作品を作って勉強していたようなんです。
また、自分の素性を隠して高村光太郎の「手」と言う作品を購入して、お弟子さんたちに
「光雲先生の息子さんは、本当にロダンを勉強している。こんな立派な作品はない。君たちもこれを見て勉強しなさい。」
と言って、いつも書斎の棚に置いて眺めていたそうで。


田島さんはこの話から
「朝倉文夫がロダンというものを軽蔑しているどころか、非常に評価をしていた。
そして、この「手」については高村光太郎の仕事として非常に評価をしていたということがわかります。」

と結論しているんですが、




違くないですか!?

まず「光雲先生の息子さん」という言い方がめっちゃ引っかかりますよ!!
超嫌味っぽくないですか!?
「俺はお前ごときを名前で呼んだりしねーぜ!親の七光りで威張ってる坊ちゃん風情が!」
という気持ちが伝わって来ちゃうのは私がダークサイドだからですか!?


その朝倉文夫の彫塑塾に、田島さんのおじーちゃんである田島亀彦さんは所属していたそうです。
すごいですね!!大正時代の彫刻界の中心にいたわけです!!

高村光太郎、朝倉文夫と言った芸大系で日展系の彫刻界と、私の師匠である井波の職人の彫刻界とでは、全然異なる世界のような気がします。
でも、みんな元をたどれば「仏師」という、共通の出発点ではあるんですよね!

そして、朝倉文夫と田島亀彦は、ともに「千代鶴是秀」という大正時代に活躍した伝説の鍛治職人の道具を使っていて、田島さんは今でもその伝説の道具を受け継いで使っているそうです。

ちなみに先ほどの西村正望の道具の写真を拡大すると銘が打ってあるのが見えるんですが、千代鶴是秀の銘ではないようでした。


というわけで、朝倉文夫彫塑館に行って来たんですが、残念ながら道具の展示も高村光太郎の「手」の展示もやってませんでしたー!残念!
もうすごく素敵な美術館で、朝倉文夫が自ら設計した自宅兼アトリエなんですよ。
空いてるし500円で入れます。
こんなところで仕事だけする生活ってなんて素敵なのー!素敵すぎるー!と身悶えすること間違いなし。
作品はブロンズなので、木彫道具はあまり使わなかったと思いますけど、道具も展示して欲しいですよね~~。
まあ千代鶴是秀の道具は数千万円もの値がついたこともあるそうなので、ある意味作品より警備が大変だったりするのかな。知らんけど。

朝倉文夫の作品は、正直、私にはピンと来ないです。
ブロンズ作品って、ちぃーっとも可愛くない。冷たい。
大正・昭和初期の写実主義ってやつがピンと来ない。
私には仏像の様式美の方がグッとくるんですよね~。
でもね、廃仏毀釈とか科学の隆盛とか戦争とかの時代を経て…芸術も国策の一部だった時代の空気を感じる気がして、色々と…ある意味グッと来ますね。




…東寺展、行こ。


続く!