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ダ・ヴィンチより早い! 運慶の「仏像ルネサンス」

運慶展、早くも大盛況のようですね。自分も仕事がらみですでに3回訪問。

たくさんの運慶仏があるなかで、宮澤的におすすめの一体は、こちらです。


《大日如来坐像 栃木・光得寺》詳細は会場でじっくり観てね

これは、栃木県の光得寺に伝わる像で、厨子の荘厳もふくめてきらびやかで優美です。
とくに注目は台座でして、4頭の獅子が支えています(もともとは7頭あったらしい)。

と、ここで、話は博物館から京都の東寺へ移ります。

東寺は、日本での密教の拠点で、今でも平安時代初期の古仏がずらりならんでいます。圧巻です!

で、ここ東寺の講堂の中心には大きな大日如来さんがいますが、もともとこの大日如来が獅子蓮華座、つまり光得寺像と同じスタイルだったそうです。
しかし、東寺の像は火災で焼けてしまい、今は別の姿になっています。

運慶さんは奈良の興福寺に所属していたので、奈良で古典的な仏像を勉強したほか、東寺の仏像修復にも携わっていたそうで、だから焼ける前の東寺の大日さんに接していたんですね。

それを踏襲して造られたのが、今回展示されている光得寺像。
今はもう見られない、制作当初の東寺の像の姿が、これで偲ばれるわけですね。

運慶はじめ慶派の仏像は「鎌倉新様式」と呼ばれますが、なにも突然アバンギャルドなことをしたのではなく、仏像造りの古典をしっかり勉強して、それを復興させたのでした。

さらに、ただ古典のコピーではなく、玉眼などでリアルな人間味も加えた。
無著さんとか八大童子なんか見ると、話しかけたくなりますもんね。

古典の復興+人間味といえば、これはまさに「ルネサンス」。
運慶と慶派の仕事は、「仏像ルネサンス」ともいうべき仕事だったんですねえ。
ダ・ヴィンチよりも200年くらい早いルネサンスでした。

(ちなみに)
光得寺像の出自について、栃木の名刹、鑁阿寺(ばんなじ)の文書によると、もともとは地元の樺埼八幡宮(その神宮寺である樺埼寺)に祀られていました。
神仏習合ネタが好きな私としては、このへんの話に食いついてしまいます・・・。そのへんの話はまたこんど。

特別展「運慶」
2017年9月26日(火)~11月26日(日)
月曜休館(10/9は開館)
東京国立博物館「平成館」にて
公式サイト
http://unkei2017.jp