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第466回 憤怒と武装のひみつ「たたかう仏像」展

”こうしたデザインが遣唐使を経て日本に伝わって――”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。三味線でバロック音楽を演奏してきた宮澤やすみです。2月にもやるので下記「出演情報」ごらんください。

そんな中、年明けは美術展が数多く開幕。
先日は静嘉堂@丸の内で開幕中の「たたかう仏像」展を取材してきました。
写真はプレス内覧会で許可を得て撮影したものです(一般撮影可のものもあり会場でご確認ください)。


会場展示風景

「たたかう仏像」とは、仏像ファンならご存じ、明王や天部のこと。
優しい観音さんや深遠な世界の大日如来さんが、この世で実際に救済を実行するとき、毘沙門天や不動明王といった「たたかう」姿に変化して現れるというのが、仏教世界でのお約束。


筆者が注目したのは、不動&愛染明王と春日大社が描かれた厨子に納められた小さな十一面観音。手に仏塔らしきものを持ち弥勒菩薩の様相もある興味深い像。十一面観音は春日社第一神の本地仏《十一面観音菩薩坐像・春日厨子》鎌倉時代 13世紀末~14世紀

いつも優しい顔ばかりしてるわけにはいかないようですね。
例えて言うなら、お家でスウェットで過ごしているお父さんが、ビシッとスーツを着て仕事に出かけるとき「戦闘モード」と言ったりしますが、その感じに近いでしょうか。

展示では、主に守護神(護法神)としての天部の姿がフィーチャーされていました。
その天部を見る前に登場するのが古代中国での「俑(よう)」の展示です。


頭上にある三つの小さな人頭がかわいい。逆立つ髪も相まって密教の明王を参考にしたと思われるそう。足下は牛に乗っている。《三彩神将俑》唐時代 8世紀

これは、死者と共に墓に埋納される人形のことで、今回は焼き物の陶俑が見られます。
これを見ると、天部像の武装の形式、甲冑のデザインの元になっていることがわかります。
東大寺戒壇院の四天王とそっくりの俑もありました。こうしたデザインが遣唐使を経て日本に伝わっていたのですね。

最後に登場するのは日本の天部像。
静嘉堂コレクションとしてよく知られる、浄瑠璃寺旧蔵の十二神将像がお出まし。展示替えで全種類見られるそうです。


《浄瑠璃寺旧蔵十二神将》鎌倉時代 安貞2年(1228)頃


浄瑠璃寺旧蔵十二神将のうち《午神像》鎌倉時代 安貞2年(1228)頃

ほかに私が気に入ったのはこの素朴なつくりの神将像。
最初は石像かと思うほどごつい作り、像高30センチほどなのに重量感と迫力を十分に感じます。


一木造で量感のある十二神将像。頭部のかたちは巳、ポージングは未でどちらなのかは不明。《十二神将立像》鎌倉時代 13世紀

例えて言うなら、ガンダムに登場するジオン軍のモビルスーツ、ドムのようです。
今回は一体ですが、もし四体集まったら風を切ってジェットストリームアタック(ドム部隊の必殺技)をしていそうです(妄想です)。

会場の静嘉堂文庫美術館は、それほど広くはないので気軽に観られて、鑑賞後はきらびやかな丸の内の散策もできるという好立地がよいと思います。

それでは聴いてください。
デヴィッド・ボウイ で「Oh! You Pretty Things」
(2026年1月10日はボウイ10周忌)。


--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
早稲田大学オープンカレッジ(中野キャンパス)
【カミとホトケの秘めた縁】
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宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html