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第447回 徳川家康が薬師になる? 薬師如来と東方世界
”江戸の上野に創建される寛永寺も、本尊は薬師如来――”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。先日も活弁の上演で出演した宮澤やすみです。名作「カリガリ博士」を三味線で生伴奏したのですが好評いただきました。
そんな中、前回は薬師如来の基本をおさらいしました。
つづいて、薬師如来の居場所の話です。
薬師如来の居場所は、東の果てにあるという「東方薬師瑠璃光浄土」というところだそうです。
「瑠璃」とはラピスラズリのことで、古代から一番価値の高い宝石として珍重されていました。
古代エジプトではとくに重要視され、宝物のあちこちにあしらわれた濃いブルーの宝石がラピスラズリです。

ラピスラズリの原石(Wikipediaより)
薬師如来が拠点とする「瑠璃光浄土」は、その全フロアがラピスラズリで輝いているといいますから、すごいフロアですね。
事務方の従業員は毎日まぶしいんじゃないでしょうか。
おそらくヒール禁止、専用のスリッパも必要そうです。
そんな冗談はともかく、
注目するのは方位です。薬師如来といえば東方、東の方位にもつながりがあります。

イスムの薬師如来坐像。左手に薬壺を持っている
京都・八坂神社はかつて祇園社感神院といって、牛頭天王を祀って病魔退散を願うところでしたが、その本地仏が薬師如来。
そのせいか、祇園社感神院は平安京の東の端に位置しています。

新薬師寺 薬師如来坐像
また、徳川家康は死ぬ間際の遺言で、自身の埋葬と法事について指示します。
それに従って、亡くなった家康を神として祀った神社が「東照宮」です。
代表的な東照宮は、静岡・久能山東照宮と栃木・日光東照宮、そして東京・芝東照宮(元は増上寺)でしょう。
家康の神としての号は「東照大権現」と付けられました。時代は神仏習合のころなので、その本地仏は薬師如来とされました。
なぜ薬師如来とされたのかは、はっきりわかりません。しかし、
東国・江戸で国づくりをした家康ですから、東の王様というイメージが重なりますね。
しかも、家康は遺言で、「永世国家を守護なさん」(増上寺の僧侶への遺言)と遺しており、
そのせいでしょうか。前回ご紹介した薬師如来の役割である「国家鎮護」のご利益とも重なります。
東照宮創建のとき、お坊さんのたちの「本地仏設定会議」でこんな議論でもあったんでしょうか(想像です)。

東京・芝東照宮
のちに江戸の上野に創建される寛永寺も、本尊は薬師如来です。
歴代の将軍と江戸を見守る薬師如来は、徳川家康の魂が込められていたんでしょうか。
それでは聴いてください。
ブルー・オイスター・カルトで「(Don't Fear) The Reaper」
■あわせて読む(関連記事)
薬師如来のはなし その1「十二の誓願」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20250805-2/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
吉原の酔狂と悲哀を歌った古典小唄集
『廓の夜』 宮澤やすみ(唄、三味線、解説)
https://yasumimiyazawa.com/kuruwanoyorubook.html
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※楽曲はYoutube、Spotifyなどで誰でも聴けますが、これがあればよりよくわかる!
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
宮澤やすみ公式サイト:
https://yasumimiyazawa.com
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。先日も活弁の上演で出演した宮澤やすみです。名作「カリガリ博士」を三味線で生伴奏したのですが好評いただきました。
そんな中、前回は薬師如来の基本をおさらいしました。
つづいて、薬師如来の居場所の話です。
薬師如来の居場所は、東の果てにあるという「東方薬師瑠璃光浄土」というところだそうです。
「瑠璃」とはラピスラズリのことで、古代から一番価値の高い宝石として珍重されていました。
古代エジプトではとくに重要視され、宝物のあちこちにあしらわれた濃いブルーの宝石がラピスラズリです。

ラピスラズリの原石(Wikipediaより)
薬師如来が拠点とする「瑠璃光浄土」は、その全フロアがラピスラズリで輝いているといいますから、すごいフロアですね。
事務方の従業員は毎日まぶしいんじゃないでしょうか。
おそらくヒール禁止、専用のスリッパも必要そうです。
そんな冗談はともかく、
注目するのは方位です。薬師如来といえば東方、東の方位にもつながりがあります。

イスムの薬師如来坐像。左手に薬壺を持っている
京都・八坂神社はかつて祇園社感神院といって、牛頭天王を祀って病魔退散を願うところでしたが、その本地仏が薬師如来。
そのせいか、祇園社感神院は平安京の東の端に位置しています。

新薬師寺 薬師如来坐像
また、徳川家康は死ぬ間際の遺言で、自身の埋葬と法事について指示します。
それに従って、亡くなった家康を神として祀った神社が「東照宮」です。
代表的な東照宮は、静岡・久能山東照宮と栃木・日光東照宮、そして東京・芝東照宮(元は増上寺)でしょう。
家康の神としての号は「東照大権現」と付けられました。時代は神仏習合のころなので、その本地仏は薬師如来とされました。
なぜ薬師如来とされたのかは、はっきりわかりません。しかし、
東国・江戸で国づくりをした家康ですから、東の王様というイメージが重なりますね。
しかも、家康は遺言で、「永世国家を守護なさん」(増上寺の僧侶への遺言)と遺しており、
そのせいでしょうか。前回ご紹介した薬師如来の役割である「国家鎮護」のご利益とも重なります。
東照宮創建のとき、お坊さんのたちの「本地仏設定会議」でこんな議論でもあったんでしょうか(想像です)。

東京・芝東照宮
のちに江戸の上野に創建される寛永寺も、本尊は薬師如来です。
歴代の将軍と江戸を見守る薬師如来は、徳川家康の魂が込められていたんでしょうか。
それでは聴いてください。
ブルー・オイスター・カルトで「(Don't Fear) The Reaper」
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https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20250805-2/
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