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第5部 アダム・クーパーを作りたい! 第3回 アダム・クーパーと熊川哲也…トリビアの泉

こんにちは!一笑仏工房の中の人、あんどぅ☆ななせです( ^ω^ )
前回までは、1996年に上演されたマシュー・ボーンのSwan LakeのDVDを見て大ハマリしたわたくしが、主演のアダム・クーパーに恋してしまい、アダム・クーパーの木彫像を作りたい!アダム・クーパーを作ることは仏像を作ること!とまで思い詰めるまでの経過をツラツラと述べさせて頂きました!

で、早速どんなポーズを彫刻にしようかと、また動画を繰り返し見ながら検討したのですが…
うーん、どうも、コレ!というポーズが見つかりません。
踊りの一連の流れとしてみるとものすごく美しいのに、1つのポーズだけ取り出すと、なんだか迫力に欠けるなぁ…これじゃない感…なんですよね。
一応候補となるポーズを画面キャプチャで10枚ほど抜き出してみましたが、そのままではいかにも動きの途中という感じなので、パリッとしたキメポーズに変換してデザインしないといけません。
で、写真を見ながら絵に描いてみるものの…
絵が下手過ぎる!!!orz
オマエそれでもプロの木彫家の端くれかよ!!!
と自分で自分を殴りたくなる下手さです。。。

皆さんにお見せ出来るまでもう少しお時間頂きたいので、今回はアダム・クーパーの調査研究の中で知ったトリビアの泉で許してくださいませ(・∀・)

ちなみに今までアダム・クーパー、アダム・クーパーと呼び捨てで呼んで来ましたが、クパクパクパクパ文章がうるさいので、今後はクパおと呼ばせていただきます(
いえね、私と旦那さんの間で、ものの名前に「お」をつけて可愛く呼ぶのが昔から流行っているんですが、その流れでアダム・クーパーのことを親しみを込めてクパおと呼ばせて頂いておりますので…。

クパおはバレエ界ではものすごく有名なんですが、一般的にはほとんど知られていないですよね。
バリシニコフとかヌレエフとかのビッグネームと比べると、ほんとマイナー。
ネット情報があまり無い。
画像検索しても、あまりいい写真が出てこないんです。
クパお主演の舞台のDVDだって、今手に入るのはSwanLakeだけ。SwanLake以外の作品も大変な好評だったみたいなのに…もう永遠に見られないのか( ; ; )
ナイツだってサンドだってライブDVD販売するのに!なんでクパおのDVD作らないんだよー!!!
なので、写真資料がもっと欲しいな~~、ということで、今までの来日公演のパンフレットをメルカリで買い漁りました!
そう、クパおは今まで何度も来日して踊っているのです。あああーー!!!なんでその頃の私に届いてくれなかったんだよー!!!!
それにしてもメルカリってほんと何でもあるな…

このパンフレットでも参考になる写真はあまりなかったのですが…
でも、クパおがSwanLake以降に演じてきた役を知って、クパおへの理解が深まった気がします。

パンフレットの中のインタビュー記事や、Youtubeのインタビュー映像などを見てわかったのですが、クパおは日本のことを「第2の故郷」と呼んで特別な思いを持っているようです。
初めて来日したのはなんと17歳のとき!ローザンヌバレエコンクールに出場するため、東京にやって来たんです。
って!?え??ローザンヌバレエコンクールってあの、ときどき日本人が優勝するやつだよね?スイスのローザンヌでやるんじゃないの?
と一瞬面食らいましたが、なぜかその1989年のコンクールは日本が6000万円の費用をかけて関係者を招いて東京の青山劇場で開催したらしいです。
バブル期の日本のバラマキの一環だったのか??
そして、そのコンクールでクパおはプロフェッショナル賞を受賞しているんですが…
なんと、金賞を取ったのは、あの熊川哲也!
クパおと熊川哲也はロイヤル・バレエ学校の同期なんですね。
熊川哲也はとにかくズバ抜けていて、ロイヤルに留学したときも「周りのレベル低いな」と思ったそうです。
バレエの技術的にはイマイチだったクパおは、そんな熊川哲也に技術的なことを教えてもらったそうですよ!
後に一緒にロイヤル・バレエに入団し、2人とも退団してそれぞれの道を行くことになりますが、クパおは熊川哲也のKバレエカンパニーで「シックスフェイシズ」という作品を振り付けて、出演していたりもするんですよ!
ローザンヌの映像はYoutubeで見ることが出来るんですが、クパおの「海賊」バリエーションと創作バレエは既にクパおの魅力の片鱗が伺えるし、熊川哲也のドンキのバリエーションは、誰が見ても「こりゃ金賞だわ」と思うであろう超絶技巧で、面白いもんです。
クパおは多分、こういうコンクール向けのストーリーが無い技術だけを見せる踊りは苦手なんだろうな、と思いますが、やっぱり私はクパおの大らかな踊りの方が好きだなーーー。

ローザンヌでの熊川哲也


ローザンヌでのクパお


ちなみに、コンクールに出る前から既にロイヤル・バレエ学校内で逸材だった熊川哲也は、コンクールに出て他のバレエ団にとられないように、ロイヤル・バレエが必ず入団するようにと誓約書を書かせていたそうです。
クパおはと言うと、ロイヤル・バレエ学校内では冴えなかったのか、本人はロイヤル・バレエに入れるなんて夢にも思っていなかったようで、どこかのダンスカンパニーに就職できればいいな、ぐらいに思っていたそうです。
ところが、ローザンヌに出る予定だった生徒がケガで出られなくなり、急遽クパおが出たことで、ロイヤル・バレエの上層部に目を止められ、入団することになったとか。
もしクパおがロイヤル・バレエに入団しなかったら、マシュー・ボーンが見つけることもなかっただろうし、SwanLakeに出演することもなかったんだろうな…
と思うと、本当に運命のいたずらを感じますね!

パンフレット内の記事で気になった箇所をいくつか。
クパお「17歳で初めて日本に来て、それこそ日本の方にはいろんな作品を見ていただいているけれど、日本人ほどバレエ、ダンスやミュージカル・シアターといった分野に理解がある人たちはいないと思う。これは本当にアメイジングなことだ。僕は、日本は第2の故郷だと思っているんだけど、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』の初日、そして前回の『雨に唄えば』の初日と、信じられない経験をした。観客が総立ちとなって、劇場全体を何とも言えない熱気が包んだんだ。長い年月舞台に立っているけれど、こんなことはめったに味わえない。本当に美しい瞬間だった。」(『雨に歌えば』2017年来日公演のパンフレット、天海祐希との対談より)

クパお、日本の観客が好きってことですよね…つまりは私が好きってことですよねぇえ!?!?(違う



マシュー・ボーン「『白鳥の湖』に取り組んだ際アダムが白鳥役に適任だと思ったのは、ほかのカンパニー・メンバーと彼のバックグラウンドが異なることは、役を演じる上で有利に働くと感じたからです。アダムは全く違う世界からやってきた異星人のようで、カンパニーの中でもちょっと異質の存在でした。それが『白鳥の湖』ではうまく生きたんです。特に彼の場合、クラシックが得意とかモダンが得意とかいうレベルではなく、1人の優れたダンサーとして際立っている。彼独自の踊りと演技を見せられる人で、ミハイル・バリシニコフにも匹敵すると思います。非常に個性的で才能豊かなダンサーですね。」(『Swan Lake』2003年来日公演のパンフレット、マシュー・ボーンと蜷川幸雄の対談より)

マシュー・ボーンがダンサーの良し悪しを評価しているのってあまり見ない気がするんですけど、これはベタ褒めですね。
多分、マシュー・ボーンの他の作品やクパお以降のキャストのSwan Lakeを見る限り、マシュー・ボーンが求めているのは踊れるダンサーじゃないんですよね。
だからクパおは素晴らしいダンサーだけど、マシュー・ボーンは別にクパおを見せたいわけじゃないから、Swan Lake以降は離れて行ったんだと思います。
でも、観客の心に今でも残っているのはクパおのスワンだし、一番観客を魅了したのはクパおのSwan Lakeなんじゃないかなあ…。

ちなみに、マシュー・ボーンはゲイを公言しているようです。
そりゃあ、作品を見ていれば、男性美が好きな人なんだなぁ…多分ゲイかなぁ…とは思いますけど、
あのSwan Lakeを「ゲイの白鳥の湖」と定義してしまうのは、それは違うよ!見りゃわかるでしょ!と思ってました。
でも、更に調査を進めていくと、実はバレエとゲイの関係は歴史が長く、マシュー・ボーンの作品の中でゲイというテーマはハッキリ見てとれるし、ゲイという一面を無視してSwan Lakeを見るのは逆にちょっと理解が浅いのかもなぁ…と思うようになりました。
チャイコフスキーもゲイだったそうで。
クパおは多分ゲイではなく、サラ・ウィルドーという素晴らしいパートナーと2人の子供に恵まれているそうですが、
「バレエ男子=ゲイ」とも目されるバレエ界で長年生きていて、さらにゲイを公言する演出家のゲイがモチーフとも取れる作品に出演するなんて、イギリスってどんだけ進んでるんだよ!
と思ってしまいますね…。
さすがシェイクスピアの国です。
クパおは多分そういうこと考えてなくて、単に芸術が好きで舞台のためなら何でもやる人なんだと思いますが。
私はLGBTQ関連の話に対して、差別や偏見はいかん!とは思いますが、友達にゲイがいるとかそういうレベルでの知識はなくて、未知の領域という感じです。
でも、マシュー・ボーンのSwan Lakeを見て初めて、男性美の魅力を知りました。
男性美を愛する人をゲイと呼ぶなら、私もSwan Lakeを見ている瞬間はゲイかもしれません。
旦那さんを好きな気持ちとは全く違う次元で、美への憧憬…のようなものを感じます。

もう~~ほんとに色々面白くて話が尽きません!
周りの人みんな(・Д・)ぽかーん
ってなっているのを感じますが、好き過ぎて止まりません!
こんな長い文章誰が読むんだ!
これって本当に彫刻に必要な調査なの!?

…。

次回はデッサンをお見せ出来るよう精進します~!(>_<)