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出雲仏像の旅6 -出雲大社を見守る「天津神」-

出雲の旅シリーズの3でお伝えした日御碕神社ですが、出雲大社からバスで海沿いを20分ほど。潮の香りがする岬に鮮やかな朱色の社殿が忽然と現れます。


日御碕神社の「日沉宮(ひしずみのみや)」

写真の「日沉宮」は天照大神(アマテラス)が祀られていますが、高台にある「神の宮(かんのみや)」には素戔嗚命(スサノオ)が祀られます。

この地は、スサノオが鎮まった地とされるので、「神の宮」のほうが歴史が古いのです(社殿は江戸初期の建築)。

二つの社殿の位置が特徴的で、およそ45度の角度で向かい合うように建っていますが、神社の人に聞いてみると、それぞれの社殿の背後が重要なのだそう。

まず、日沉宮の背後にあるのは「経島(ふみしま)」です。境内を出て歩いてみると、すぐ見えます。


ぽっかり浮かぶ聖なる島

今はウミネコ繁殖地で有名ですが、よく見ると小さな鳥居があります。伝承では、スサノオの御子がこの島に天照大神を祀ったのが始まりで、島の上に神殿を築いたそうです。
現在も、8月7日の宮司による祭祀のほかは禁足地とされます。

また、神の宮の背後にあるのは「隠れ丘」。こちらも行ってみました。こちらは小高い茂みの中です。
あまり手入れされてない藪の中を、蜂に注意しながら進むと、草むらに鳥居が建っていました。


夜にはあまり来たくない感じの、鬱蒼とした隠れ丘

伝承では、こここそ素戔嗚命が鎮まった地なのだそうです。
国創りの役目を大国主命にゆずったスサノオは、
「吾が神魂はこの柏の葉の止まるところに住まん」
と言って、柏の葉を飛ばしたところ、ここに落ちた。
以降、ここに素戔嗚命を祀る社が建ったとのこと。


柏葉のエピソードから、神社の神紋は「三つ柏」

経島も隠れ丘も、社殿などは無く自然そのままの形ですが、それがまた古代の聖地という感じでして、ワクワクしますね。

それにしても、ふつうは暴れん坊スサノオより、姉のアマテラスの方が格上になりそうなものですが、ここではスサノオがアマテラスを見下ろすような位置関係になっています。

さすが出雲。国創りの地、そして「根の国」の比定地とも言われる出雲ならではのことかと思います。

そして、もともとスサノオだけを祀っていたのが、あとからアマテラスが祀られるという順番も不思議。

「出雲の旅3」で書いたように、国創りをした側の大国主命(出雲大社)を取り囲むようにして、奈良平安の朝廷の息がかかった仏像やアマテラス信仰が付け足されているので、奈良朝~平安初期の間に都の影響力と出雲の関係がぐっと近づいたんだなということが想像されるのでした。

ちなみに、僕の仏像の好みはまさにこの奈良~平安初期のものでして、この時代のドロドロした話(笑)には目が無いのです。

日御碕神社は仏像がなく、簡単に済ませようと思いましたが、やはり重要な場所なのでしっかりご紹介したいと思い、この連載で書かせてもらいました。

仏像と神社の両方をみることで、いろんな歴史のストーリーが見えてきます。
今回の出雲の旅は、なかなか考えさせられる、充実した旅となりました!

次回はこのシリーズ最後に「番外編」といたします!(スミマセン一週伸びちゃいました)。

(追伸)
ちょうどよいタイミングで日御碕神社に関連するニュースが出てました。海底遺跡ですって!
【階段状の岩や参道?「海底遺跡」にダイブ…出雲】YOMIURI ONLINE
http://www.nagahama-kannon-house.jp/

(美保関関係者さま、ぜひ呼んでください!)

おまけの40秒動画を3つ挙げておきます。
ちょっとだけ、参拝した気分になれるかもですよ。