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目黒不動尊の裏にあるもの-その1:地主神・大行事権現

東京・目黒の古刹、目黒不動尊・瀧泉寺(りゅうせんじ)。

秘仏本尊ご開扉でにぎわいましたが、境内は広いのでほかにも見どころございます。

境内の最奥部、本堂の裏手に行ってみましょう。
ここにはまず、大きな大日如来さんがいます。その位置は、ちょうど本堂内部の本尊・不動明王の真裏に当たります。
もともと不動明王は、大日如来が怒りの姿に変身というか分身したもの。その大日如来が、主役の不動明王を背後から援護しているみたいですね。


覆屋には東洋占星術にも使われる星宿図があしらわれてます

そして、さらにその奥が興味深いんです。

大日如来の裏手に回ると、あるのが鳥居と小さな祠。
これが、ここの境内地を守護する地主神で、その名を大行事権現といいます。天台宗の守り神です。


境内の最奥部に、ひっそりとあります

天台宗の総本山は、比叡山の延暦寺。
早くから神仏習合の考え方が浸透して、延暦寺と日吉神社(山王権現)を中心にして、いろんな神仏が登場します。

大行事権現もそのうちの一柱です(神社のカミは柱と数える)。
その神の系図をたどると、比叡山の主祭神である大山咋神(おおやまくいのかみ)の父神とのこと。

※このへんの話、ホントややこしいんですよね~
明治の神仏分離を境に、神の呼び名が変わっちゃってごっちゃになってという……、
ここではごく簡単に済ませときますね

まあともかく、こんなふうに比叡山の仏たちとそれを守護する神々で構成された宗教を山王神道といいまして、比叡山で発達した。
江戸時代初期には、天海という天台宗の大御所さんが整備して「山王一実(さんのういちじつ)神道」というものに仕上げた。
お寺の坊さんが「神道」を作るんだからややこしいんだけど、昔はそれでよかったんですね。

その宗教的な内容は、私のような凡人には分かり得ない領域ですけど、徳川幕府の江戸街づくりに、天海さんのこの思想が少なからず影響を与えたようです。

なかでも、江戸城の裏鬼門に位置する目黒不動尊・瀧泉寺は、山王一実神道の拠点として隆盛したのでした(ちなみに鬼門の拠点は上野・寛永寺)。

前記事で紹介した鳥居の写真ですけど、あの形状は「山王鳥居」といって、山王一実神道の独自の形式。

鳥居がお寺にあるのが不思議? いえいえこれでいいんです。

神仏習合の形を今もとどめているのが、目黒不動尊・瀧泉寺です。


目黒不動尊に再興された山王鳥居

では、寺の境内にある犬の姿の狛犬は?
そのお話は次回!

次回はそんなにややこしくない!……たぶん(笑)