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秘仏を間近で!「仁和寺と御室派展」

前回につづき「仁和寺と御室派のみほとけ」展のレポート。

ふだん見られない秘仏がいくつも展示されるのも今回の見どころです。


逢いたかった秘仏が眼前に!

1年に一度とか、中には33年に一度とか、なかなか拝観のチャンスがない秘仏。

しかも、ご開帳しても近づけずよく見えないとか、山深い寺でそもそもたどり着くのが大変とか、秘仏を拝むのもなかなか大変なんです。

それが、こうして目の前でまじまじと拝観できてしまうとは。
よくまあホント許可とれたもんです。これも御室派総本山・仁和寺のお力なのではないかと。ありがとうございます。

さて、数多い展示のなかで、「これは!」と来る2仏をご紹介。

まずは、兵庫県神呪寺(かんのうじ)の如意輪観音菩薩!

俗に「日本三大如意輪観音」というのがありまして、奈良の室生寺、大阪の観心寺、そして神呪寺の御三方です。

神呪寺さんは交通の便もあって行く機会がなく、私も今回はじめての対面です。


六本腕はあくまでリラックス

トロンとした目つきもよく見えます。
まどろんだ表情は展示室で!

脚の組み方が独特です。本来は両足の裏を合わせて座る「輪王坐」という座り方なのですが、


如意輪観音の例:イスム仏像より

神呪寺の如意輪さんは、右脚をだいぶムリして(?)組んでいます。
輪王坐から、足をくずしてあぐらに戻す瞬間をとらえた、ようなポーズ。

妄想ですけど、
最初はきっちり輪王坐をしていた如意輪さん、人がいなくなったのを機に
「あ~、よっこいしょ」「今日の仕事おわり~」
と、足をくずした・・・。
その瞬間をまさに見られちゃった、みたいな感じに思えます(笑)
あくまでも、個人の妄想ですのでね・・・スルーしてください。
良い仏像は、妄想も広がるものでございます。

如意輪観音は、功徳を与える玉「宝珠」と、教えを広める「輪宝」をもちます。そこから如意輪というワードがつきました。


ハンドスピナー的な輪宝の持ち方に余裕を感じる

古くは二臂(腕が二本)のシンプルな姿でしたが、空海が唐からマンダラを持ち帰ると、そこに描かれていた如意輪観音が上の写真のような姿だったので、以降は六臂(6本腕)に輪王坐の姿で造られるようになりました。

もう一体は、福井県中山寺の馬頭観音!
お寺では33年に一度の開帳(途中で中開帳もある)とされる秘仏!
実際、お寺で拝観すると、堂内奥の高い位置の厨子に収まっていて、ディテールは見えないんですね。
それが、ここではこんなに近くに!


三面六臂の馬頭観音。脇面も怒りの表情

精悍な顔立ちから、運慶の次くらいの世代の慶派仏師の作と言われます。慶派ファン必見ですね。

福井県の西端に位置する中山寺は、若狭の聖地・青葉山にありまして、ここはなぜだか馬頭観音を本尊とするお寺が集中しています。

しかし、おなじ観音ですが、如意輪はホンワカ、馬頭はオラオラ系、だいぶキャラがちがいますね。
観音菩薩は、慈悲の菩薩とされますが、時と場合によって、いろんな姿に変化するとされます。千手観音や十一面観音が有名。

歴史を追ってみると、人気の高まりとともに、いろんな観音のお経ができて、いわばヴァージョンアップ版の観音がどんどん作られたということみたいです。

ガンダムに例えると、最初はガンダムといえばファーストガンダム(そもそもファーストなんて付けなかった)しかなかったのが、別の物語ができるとZがついたりSEEDがついたりと、姿かたちが変わって、それでもガンダムであることは不変だという、あの感じに似ています。

観音さんも、ふつうの観音さんを千手や馬頭などの変化形と区別するために「聖観音」といいますもんね。
まさにガンダムを「ファーストガンダム」と言うのと同じです。

そんな仁和寺と御室派展(ガンダムは関係ない)、上記の神呪寺も中山寺も、真言宗御室派の寺院です。
仁和寺を本山とした御室派のお寺さんの大盤振る舞いに感謝しつつ展示を楽しみましょう。

特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」
東京国立博物館 平成館にて
2018年1月16日(火)~3月11日(日)
(展示替えあり)
公式HP http://ninnaji2018.com