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ラスボスは微細な秘仏-「仁和寺展」レポート

東博「仁和寺と御室派のみほとけ」展もそろそろ終盤。
第2会場の仏像ばかりでなく第1会場も興味深い展示がたくさんです。

後期展示でお出ましになったのは、こちらの秘仏・国宝《薬師如来坐像》(仁和寺蔵)。
写真ではわかりづらいけど、台座を含む高さが22センチほど。
小さな像なのに、その緻密な彫刻に目を見張ります! 正直申しまして、(私を含めて)老眼が来ている中高年には非常につらいサイズ(笑)でもがんばって凝視するとすごいです。


白檀でできた小像

一般的に、薬師如来をお寺で拝観すると、薬師さんを中心に、優美な日光&月光菩薩が脇に立ち、武装して威勢のよい十二神将がずらりと並ぶ光景がよく見られます。

それが、この小さな像では、背後に日光・月光菩薩立像、台座の4面に十二神将像が並んでいます。しかも光背には、七仏薬師(薬師如来の分身)まで。
薬師系列グループの全員が集結した、パーフェクトなラインナップが、22センチの一体に集結。

このミラクルな極小彫刻技術! 驚嘆に値しますね。


弓などの武器がちゃんと立体的に彫られている!

今しか見られない非公開仏像ですから、お見逃し無きよう。

第1会場では、このほか仏画や書も非常に貴重で見ごたえがあり、仁和寺と真言宗の歴史を感じることができます。


国宝「三十帖冊子」も展示の目玉!

ちなみに、薬師如来、とくに七仏薬師は天台宗で重用される信仰形態なのですが、なぜか真言宗の仁和寺で重要な仏像として安置されてます。
これは、図録収録の論文によると、創建当初は天台宗の寺院として建立したのだそうです。その後すぐ真言宗に宗旨替えしますが、昔は宗派の区別があいまいだし、いろいろ政治的な理由とか大人の事情があったみたい。
日本の宗教史に興味あるという方は、図録をどうぞ。

仏像をきっかけに、日本の歴史や信仰心がわかる。
人間のやることだから、良い面もダークな面もあって、日本人の心のルーツが見えてきて、ぼくら自身の生き方の指針にもなる。
今回の展示は、仏像から日本の”ふしぎ”が見えてくる、本当によい展示だと思いました。

自分の仕事の領域と重なる部分が多い内容なので、全力で紹介させていただきました。

そんな私の仏像仕事ですが、ひさしぶりにNHK「ひるまえほっと」に出る予定で準備中です。
来週更新の記事で、ご案内できると思うけど、たぶん3月8日(木)です!(言っちゃってる)
こちらも秘仏が!まさかの撮影成功!
首都圏のみの放送ですが、よかったらチェックしてくださいませ。

特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」
東京国立博物館 平成館にて
2018年1月16日(火)~3月11日(日)
(展示替えあり)
公式HP http://ninnaji2018.com

(告知)
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