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仏像が神社に?弁財天のひみつ

前回ご紹介した八戸の蕪島神社、ご祭神は弁財天だそうです。


弁財天の聖地をウミネコが護る

ご本尊の姿は八臂(8本腕)で、頭には”鳥居と男神を頂く”(神社HP)とのことですから、これは典型的な「宇賀弁財天」と呼ばれる、日本独自の尊像なんですよね。

弁財天(弁才天)は、もともとインド神話のサラスヴァティ―という川の神が原型で、それが仏教に組み入れられて「弁才天」として日本に伝わりました。日本最古の像は東大寺の法華堂に安置されています。
基本的には、五穀豊穣の女神というキャラクターですね。

しかし、宇賀弁財天は、頭の上にとぐろを巻いた蛇が載っているんですよ。しかも、そのヘビの頭がおじいさんの顔という、なんとも奇怪な姿です。
ネットで検索したら画像出ると思います。


竹生島の宇賀弁財天

この人頭蛇身のお方は「宇賀神」といって、日本の神道系の神です。一説には稲荷神と兄弟だそうで、穀物神だろうといわれます(謎が多い)。


これは東京国立博物館所蔵の像。宇賀神がよく見えます

インド由来の仏像に、神道系の神が合体。これがまさに神仏習合の「習合神」というものです。

まるで変形合体ロボのような、もしくはデビルマンのような永井豪の世界が、昔からあったんですね。

この宇賀弁財天は、鎌倉時代の後半くらいに琵琶湖の竹生島で発祥して、広島の厳島神社、神奈川の江島神社などに聖地ができました。川の神が海の神になって、守備範囲が広くなってます。
蕪島は江島神社を勧請したという説もあるようですね(実際ははっきりしません)。
関東だと、江島ほか鎌倉の銭洗弁天、吉祥寺の井の頭公園にも祀られています。

ほかにも、境内の池とか、海辺とか、水の近くには宇賀弁財天がいることが多いですね。

こうして、弁財天のルーツはインド由来の仏像なんですけど、頭に鳥居を載っけているし、もう世間ではすっかり神社の神として認識されていたみたいです。
たとえば、江戸時代の書物『東都歳時記』には「弁財天百社参り」というコーナーがあって、「百寺」じゃなく「百社」と書かれています。

それでも、形は仏像なんですよね。おもしろいですね。

時代が明治になると、神仏分離令によって仏教と神道を明確に分けることになり、弁財天という名称も使われなくなりました。
代わりに、『日本書紀』に登場する海の神・市杵嶋姫命(イチキシマヒメのみこと)に変えられたのでした。
八戸・蕪島神社の祭神も公式には「市杵嶋姫命」とあります。

本来はまったく別の神仏なんですけど、国家神道政策のあれやこれやで、こうなっちゃったようですね。

そんなわけで、皆さんがどこかの神社を訪れたとき、ご祭神が「市杵嶋姫命」と書いてあった場合は注意してください。
ご神体には、弁財天の仏像が祀られているかもしれません。

---おしらせ---

”歌う神仏研究家”宮澤やすみ出演
【宮澤やすみの小唄かふぇ Vol.24】
9月26日(水)19:00開場 19:30開演

神楽坂の小唄師範・宮澤やすみの粋な小唄やゲストとの共演を気軽に楽しめる三味線カフェライブ。
ゲストは甘美な「ベルベット・ボイス」で人気を博す歌手・高橋絵実さん。
竹久夢二作の恋歌など古き良き昭和の抒情歌を三味線とともに。
スウィートな小唄三味線にのせて、甘いひとときの夢を。

●会場 キイトス茶房(神楽坂、牛込神楽坂)
●料金 2000円(+1ドリンク)

●出演
宮澤やすみ(歌、三味線)
高橋絵実(歌)

●詳細
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/