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仏像と音楽-「天鼓雷音如来」仏像に合う音楽とは?

ここ数回の連載で仏像と音楽のつながりを書いていますが、いろいろ調べると興味深いもので。

仏像が持つ楽器というと、弁才天の琵琶なんかがすぐ思い起こされますが、それに並んでよく登場するのが太鼓です。

叩けば誰でも音が出せる太鼓は、古代から存在した楽器で、埴輪なんかにも太鼓をもつ像があったりします。
現代の私たちも、太鼓の音を聞くと血が騒ぐ感じがしますし、人類文明のどんな時代にも太鼓はありました。


胎蔵曼荼羅。胎蔵界曼荼羅ともいう。楽器をもった仏も

仏像でも菩薩や天部たち(前々回の音楽神など)が太鼓をもちます。

今回紹介するのは如来でして、その名を「天鼓雷音如来(てんくらいおんにょらい)」といいます。
「鼓」の字がついてますけど、さすがは格上の存在だけあって、手に具体的な太鼓をもつわけではありません。
しかし、名前が「天鼓」という、天から聞こえる太鼓ですからね。太鼓キャラの大ボスと言ってもいいでしょう。
「天鼓」に続いて「雷音」ですからね。字面だけでも激しそうなキャライメージがあります。

この方は、密教の胎蔵曼荼羅に描かれます。

この曼荼羅の中央には、蓮の花が開いていて、中心に大日如来が座り、その周囲を主要四如来が並びます。そのうちのひとりが天鼓雷音如来。北方に位置するとされ、曼荼羅では大日如来の右手側(我々から見て左)に位置します。


中心部の中台八葉院。画面左が天鼓雷音如来

見た目はふつうの仏の姿で、右手を地につける「触地印(または降魔印)」を結んでいます。

意味合いとしては、涅槃の境地を衆生に伝える仏であり、その声が「天鼓が響かせる雷鳴のような音」なんだそうで、よっぽどの音ですよね。

ドッカーン!!!

という音(声)がするんでしょうか。ちょっと聞いてみたい気もします。

最近世間で注目されている、電気グルーヴのピエール瀧氏も

”天竺まで響き渡る マグマのスネア!”
(「VOLCANIC DRUMBEATS」アルバム『A』より)

と歌っていますけど、これも天鼓雷音如来を想起しての歌詞なのでしょうか。いやそれはないでしょうけど、わりと的確な表現ではないかと。
いずれにしても、天鼓雷音如来の音声は、地響きするようなかなり激しい音が想像されます。

もし実際にこうした音を体験したければ、たとえば東京の深川不動尊なんかいかがでしょうか。
毎日の護摩法要で、すさまじい太鼓打ち鳴らしを聞かせてくれます。
お腹にくる重低音と荒れ狂う護摩の炎。奥には本尊・不動明王の忿怒の形相。まさしくヘヴィメタ系の世界ですね。

これは真言密教の激しい世界観ですけど、ほかにも浄土宗系の来迎図なんかでも、柔和なお顔の菩薩たちが楽器をもって踊ったりしてますけど、太鼓や打楽器が多くて、やっぱりリズミカルなビートを感じます。

そうしますとね、つねづね思いますのが、テレビで仏像の番組をやるときのBGMって、もう少しなんとかならないのかなと思うわけです。

よくありがちなのが、シンセサイザーやストリングスの「ひや~~」ってやわらかい音の、いわゆるヒーリングミュージック系なんですけど、きっと本来はそんな静かな音楽じゃないはずです。
前回記事で紹介した雅楽「陪臚」だって、リズムがはっきりした曲で、トランス状態に入るような気もちいいビートでしたよ。

あんまり優しい音を鳴らしてばかりでは、天鼓雷音如来さんに「そんな音ではいか~ん!」とダメ出しされるんじゃないでしょうか。

仏像にしっくり合うBGM、作ってみたいです。


東寺の帝釈天のBGMは、どんなのが合うかな?

---おしらせ---

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http://www.isumu.jp/info-contents/B-live2019/