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猿が主役の神社にいる「平和の鳥」

”日枝神社には、日本の近代化で消えてしまった文化と信仰のナゾが凝縮していて……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。初のソロアルバム『シャミセン・ディストピア』がいよいよCD製作工程に入ったそうです。あとは売るだけですが、これがホント大変。どなた様もどうかご協力ください。

さて、前回に続いて、都心の日枝神社について。
江戸城の裏鬼門を護るとされる、江戸に欠かせない重要な神社です。


十二支で、申(さる)の次は酉(とり)なんですけど、日枝神社ではじつは鳥も重要なんですよね。

徳川将軍が上覧した天下の「山王祭」にはたくさんの山車が出ますが、その先頭は、必ず鳥を飾った山車が出ます。これを「諫鼓鶏(かんこどり)」といいます。

「諫鼓」は、昔の中国で、政府に文句があるとき鳴らす太鼓のこと。
善政により世間が平和であれば、諫鼓が鳴ることもなく鳥が平気で止まっちゃうということだそうです。


歌川芳藤「山王御祭禮」より。右が鳥の山車。鳥が乗っている太鼓が「諫鼓」

「かんこどり」が鳴くのは、平和のしるしだったんですね。

お店に「閑古鳥が鳴く」というのはお店が静かなようすを当て字で表現したようです。


そんな山王祭の山車行列。鳥に続いて、二番手の山車に猿人形が載ります。

そこで思い出すのは、私の専門である小唄の「山王の祭り」という短い唄なのですけど、その歌詞が、

〽オーイ山王のおまつりに
 猿と鳥とが先達で……

と歌うんです。
正確を期すなら「鳥と猿」という順番が正しいのですが、やはり猿をリスペクトしているのでしょうか。
感覚的にも、声を出して歌うときでは猿→鳥のほうが言いやすい感じがします。子供のうちから十二支で「さる、とり」と言わされるから、馴染みがあるんでしょうか。

十二支の順番では申、酉、の次が戌(いぬ)となるから、桃太郎の話はここから来ているというのが定説です。
退治する相手は鬼ですが、鬼門とよばれる方角(東北)は丑寅(うしとら)。だから鬼は牛の角が生え虎のパンツを履いているというわけ。

話がとっちらかってしまいましたが、昔の日本を知るには、十二支の構造がカギになることが多いです。

前回記事で触れた庚申まつりもそうですが、日枝神社には、日本の近代化で消えてしまった文化と信仰のナゾが凝縮していて、いろいろ考えが巡ります。

そんな日枝神社があるのは東京の都心・港区。

東京の港区はとくに急こう配の坂があったりして、土地の高低差が激しい、ブラタモリ的な視点ならかなりうれしい場所です。

日枝神社も、赤坂の低い土地から急にせり上がるような丘に建っていて、巨大な鳥居と階段、そしてエスカレーターまであるんですよね。

あらゆる方向に階段があって、階段マニアもうならせるなかなかの散歩しがいのあるスポットです。


筆者もお気に入り。赤い鳥居がびっしり並ぶ、山王稲荷神社参道の階段

そんな中、先日は日本経済新聞「日経プラス1」の人気企画「何でもランキング」で、こんな企画に参加しました。

NIKKEIプラス1 何でもランキング 
出羽三山神社・金刀比羅宮… 自然に映える石段の寺社
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67152580Z01C20A2905W00


それでは聴いてください。
デヴィッド・シルヴィアン & ロバート・フリップで、「God's Monkey」。



●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ出演

1.
本コラム筆者・宮澤やすみの”仏像バンド”ことThe Buttz(ザ・ブッツ)
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飛鳥をテーマにしたミニアルバム『欣喜雀躍』。
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アルバムジャケットは飛鳥・橘寺の風景



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m