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第278回 ”恋する気分”か挑発か「ダミアン・ハースト 桜」
”「恋でもしているの?」という印象の背後に--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。新曲「一木造」など準備中の宮澤やすみです。自分のバンド、The Buttzの久しぶりのライブ、出番めったにないのでどなたもぜひ。
さて、先日から国立新美術館で「ダミアン・ハースト 桜」が面白いです。報道内覧会に行ってきました。
広い展示室に入ると、ぱーっと目の覚めるような、華やかな空間。
みなさんも楽しそうに過ごしていて、芸術鑑賞というよりホテルのパーティ会場にでもいるようです。
展示室内すべて撮影OK。広い展示室内あらゆる場所で撮影していますから、映り込みを覚悟してちょっとおしゃれてして行くといいんじゃないでしょうか
桜の魅力は、日本人だけのものではなかったようです。
たしかに、散りゆく桜にはかない無常の美と死生観を感じる、そんな思想は日本古来のものですが、
印象派の時代にジャポニスム流行によって西洋にも浸透していきました。
今回のダミアン・ハーストもこうした生と死の合間の一瞬の美を桜に見出し、絵画にしました。
華やかな色彩に圧倒される
そのめくるめく色彩は華やかで、気分を高揚させてくれます。
「恋でもしているの?」
と、アトリエを訪れた人は桜の絵を見て言ったそう(図録のインタビュー記事より。会場奥でもインタビュー動画上映)。
ハースト本人は「もっと攻撃的なつもりでいたんだけど」とのことですが。
確かに最初のインパクトで気分がアガる。しかしその後、生と死、抽象と具象、ハーストの思索の沼に引き込まれてしまいます。
ダミアン・ハーストといえば、以前森美術館で、牛の身体をまっぷたつに切断しそのままホルマリン漬けにしたインスタレーションが展示され、その切断面を見て軽く吐き気を覚えた記憶がありました。
それ以降、私は彼を”キワモノ彫刻”の人という印象でとらえていました。
遠目から見ると生き生きとした桜の木に見えるが……
しかし、基本的には絵画の人。戦後に流行った抽象表現に魅了されたそうです。
ジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングにより、「絵画は終わった」と感じたダミアン・ハースト。
それでも絵画を追求し、桜をモチーフにして、具象と抽象の境界を模索。桜の刹那の美を画面に定着させたのでした。
近づいて見るとアクションペインティングのよう
そして、作品の大きさが圧倒的。これこそ印刷物や画像でなく、実物を前にして、身体全体で感じるのが一番だと思います。
本展最大の作品。《この桜より大きな愛はない》2019年 549x732cm 個人蔵
見上げるように大きな作品を前にして、視界すべてが桜で埋め尽くされる。この没入感が心地よい。”ハースト沼”にハマる仕掛けがこのサイズ感にあるのではないでしょうか。
図録やポストカードで見るだけでは、残念ながら作品の魅力があまり伝わりません。
ぜひ会場でこの解放感を味わっていただきたいです。
それでは聴いてください。
Mr. Childrenで、「花 -Mémento-Mori-」。
「ダミアン・ハースト 桜」
2022年3月2日(水)~5月23日(月)
火曜休館 ※ただし5月3日(火・祝)は開館
国立新美術館 企画展示室2E
詳細は公式サイトへ
https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/
---おしらせ---
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみのバンド The Buttz(ザ・ブッツ)
2年半ぶりフル編成ライブ「復活祭」
2022年4月9日(土)”大仏の日”17:00開演
東京・高円寺 グリーン・アップルにて
同時配信ツイキャスにてどこからでも視聴可能です。
https://twitcasting.tv/greenappletokyo/shopcart/136386
新曲「一木造」「Benzai-Tennyo」など、仏像から着想を得た楽曲を奏する”仏像バンド”ザ・ブッツ
コロナ休止からの復活となりますが、この機会を逃すとまたしばらく出番はありません。
4月9日大仏の日、ぜひ一度体験してみてください。
詳細案内:
http://yasumimiyazawa.com/buttz/4-9.html
2.
(オンライン配信あり)
■魅惑の仏像:造る、見る、拝む トークショー
観賞用仏像「イスム仏像」のブランドマネージャーをお招きして、
仏像の「造る」「見る」「拝む」を語る仏像トーク。遠方の方はオンラインで。
https://www.ync.ne.jp/jiyugaoka/kouza/202201-18010097.htm
よみうりカルチャー自由が丘
3.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。新曲「一木造」など準備中の宮澤やすみです。自分のバンド、The Buttzの久しぶりのライブ、出番めったにないのでどなたもぜひ。
さて、先日から国立新美術館で「ダミアン・ハースト 桜」が面白いです。報道内覧会に行ってきました。
広い展示室に入ると、ぱーっと目の覚めるような、華やかな空間。
みなさんも楽しそうに過ごしていて、芸術鑑賞というよりホテルのパーティ会場にでもいるようです。
展示室内すべて撮影OK。広い展示室内あらゆる場所で撮影していますから、映り込みを覚悟してちょっとおしゃれてして行くといいんじゃないでしょうか
桜の魅力は、日本人だけのものではなかったようです。
たしかに、散りゆく桜にはかない無常の美と死生観を感じる、そんな思想は日本古来のものですが、
印象派の時代にジャポニスム流行によって西洋にも浸透していきました。
今回のダミアン・ハーストもこうした生と死の合間の一瞬の美を桜に見出し、絵画にしました。
華やかな色彩に圧倒される
そのめくるめく色彩は華やかで、気分を高揚させてくれます。
「恋でもしているの?」
と、アトリエを訪れた人は桜の絵を見て言ったそう(図録のインタビュー記事より。会場奥でもインタビュー動画上映)。
ハースト本人は「もっと攻撃的なつもりでいたんだけど」とのことですが。
確かに最初のインパクトで気分がアガる。しかしその後、生と死、抽象と具象、ハーストの思索の沼に引き込まれてしまいます。
ダミアン・ハーストといえば、以前森美術館で、牛の身体をまっぷたつに切断しそのままホルマリン漬けにしたインスタレーションが展示され、その切断面を見て軽く吐き気を覚えた記憶がありました。
それ以降、私は彼を”キワモノ彫刻”の人という印象でとらえていました。
遠目から見ると生き生きとした桜の木に見えるが……
しかし、基本的には絵画の人。戦後に流行った抽象表現に魅了されたそうです。
ジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングにより、「絵画は終わった」と感じたダミアン・ハースト。
それでも絵画を追求し、桜をモチーフにして、具象と抽象の境界を模索。桜の刹那の美を画面に定着させたのでした。
近づいて見るとアクションペインティングのよう
そして、作品の大きさが圧倒的。これこそ印刷物や画像でなく、実物を前にして、身体全体で感じるのが一番だと思います。
本展最大の作品。《この桜より大きな愛はない》2019年 549x732cm 個人蔵
見上げるように大きな作品を前にして、視界すべてが桜で埋め尽くされる。この没入感が心地よい。”ハースト沼”にハマる仕掛けがこのサイズ感にあるのではないでしょうか。
図録やポストカードで見るだけでは、残念ながら作品の魅力があまり伝わりません。
ぜひ会場でこの解放感を味わっていただきたいです。
それでは聴いてください。
Mr. Childrenで、「花 -Mémento-Mori-」。
「ダミアン・ハースト 桜」
2022年3月2日(水)~5月23日(月)
火曜休館 ※ただし5月3日(火・祝)は開館
国立新美術館 企画展示室2E
詳細は公式サイトへ
https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/
---おしらせ---
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみのバンド The Buttz(ザ・ブッツ)
2年半ぶりフル編成ライブ「復活祭」
2022年4月9日(土)”大仏の日”17:00開演
東京・高円寺 グリーン・アップルにて
同時配信ツイキャスにてどこからでも視聴可能です。
https://twitcasting.tv/greenappletokyo/shopcart/136386
新曲「一木造」「Benzai-Tennyo」など、仏像から着想を得た楽曲を奏する”仏像バンド”ザ・ブッツ
コロナ休止からの復活となりますが、この機会を逃すとまたしばらく出番はありません。
4月9日大仏の日、ぜひ一度体験してみてください。
詳細案内:
http://yasumimiyazawa.com/buttz/4-9.html
2.
(オンライン配信あり)
■魅惑の仏像:造る、見る、拝む トークショー
観賞用仏像「イスム仏像」のブランドマネージャーをお招きして、
仏像の「造る」「見る」「拝む」を語る仏像トーク。遠方の方はオンラインで。
https://www.ync.ne.jp/jiyugaoka/kouza/202201-18010097.htm
よみうりカルチャー自由が丘
3.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m