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第277回 素肌に革ジャンのストリート・スター「空也上人と六波羅蜜寺」

”「素肌に革ジャン」という、あまりにもロケンロールな格好で--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。自分が演奏参加した音楽アルバムが大きな賞を獲ったとの報を受けおどろいている宮澤やすみです。Yahooニュースにもなっているのでご覧ください。

さて、先日開幕した特別展「空也上人と六波羅蜜寺」の報道内覧会に行ってきました。
東京国立博物館の本館特別5室で開かれています。


報道陣に囲まれる空也上人。写真はすべて報道内覧会で許可を得て撮影したものです

仏像ファンの間ではあまりにも有名な空也上人。
あの口からひょろ~っと出ている6体の阿弥陀仏が、強烈なインパクトをもって現代の我々にも印象を残します。
いつも絶えず「南無阿弥陀仏」の名号を唱えていたため、それを表現する画期的なやり方でした。

なぜ、どのようにこんな表現を発想したのか、今となっては仏師当人にインタビューもできず、謎のままです。
造ったのは、慶派仏師の康勝。有名な運慶の四男です。

六波羅蜜寺は、平安時代の半ば10世紀に空也上人が開いた西光寺が原型ですが、そこから250年くらい後に活躍した慶派仏師にもゆかりが深いことで知られます。というのは、六波羅蜜寺の敷地内に、運慶が十輪院というお寺をもっていたのだそう(重源からゆずり受けたとの説も)。
その縁で、鎌倉時代に慶派仏師がここで仏像を造りました。空也上人像もそのときの造像です。
展示では、運慶作の地蔵菩薩坐像ほか、運慶像、湛慶像などの肖像彫刻の白眉が並びます。

いっぽう、展示室の奥には寺院創建当初の重厚な四天王像もあり見ごたえあります。
どこかかわいらしい夜叉神像も印象的。定朝作といわれる顔立ちの地蔵菩薩立像は端正な顔立ちに惚れ惚れします。


東博の主任研究員、皿井舞さんのおすすめはこちらの夜叉神立像。平安時代・11世紀の作。普段は本堂の奥にあるものが今回間近で観られる。歯痛を治す信仰が今も続く


天暦5年(951)創建当時のものとされる四天王(持国天、広目天、多聞天)や、同時代の薬師如来など本堂安置の古仏もお見逃しなく

主役の空也像は、背中を丸めて行脚する動きのある造形で、間近で見ても本当に動き出しそうな迫真の写実表現です。


口の中や歯までしっかり造り込まれているとのことだが、うまく見えなかった

今回の図録には、空也上人への妄想を広げる面白いことが書いてありました。
図録「総論 空也上人と六波羅蜜寺」(皿井舞)によると、空也の服装は「硬くこわばった皮衣」とあり、つまりこれ、「革ジャン」じゃないですか。
その下には、あばら骨の浮き出た痩せた体。
「素肌に革ジャン」
という、あまりにもロケンロールな格好で、空也上人は愛と平和の言葉を唱えながらストリートで活動。
パンクスとラッパーを掛け合わせたような、ストリートアーティストだったのです。
これは人気出るのもわかります。


スキンヘッドのラッパーにも見えてくる

先日も、新宿近辺で反戦をテーマにコンサートがあったようですが(令和4年にこんな事が起きてしまうのは悲しいことですが)、そういうところに空也上人も似合いそうです。

空也上人は、ストリートでの活動が認められて、比叡山で菩薩戒を受け正式な僧侶となり、勧進活動の末に立派な西光寺(のちの六波羅蜜寺)を建立。
この、成り上がっていく感じも、ロックスターの成功譚のようで面白いです。

本館の一室という展示規模もいいですね。平成館の大規模展示はヘトヘトになるのでこれくらいのボリュームが気軽でいいです。


それでは聴いてください。
王様+Blood Sabbathで、「War Pigs(戦争豚)」。



特別展「空也上人と六波羅蜜寺」
2022年3月1日(火)~5月8日(日)
東京国立博物館 本館特別5室
詳細は公式サイトへ
https://kuya-rokuhara.exhibit.jp/




---おしらせ---

(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
宮澤やすみのバンド The Buttz(ザ・ブッツ)
2年半ぶりフル編成ライブ「復活祭」
2022年4月9日(土)”大仏の日”17:00開演
東京・高円寺 グリーン・アップルにて
同時配信ツイキャスにてどこからでも視聴可能です。
https://twitcasting.tv/greenappletokyo/shopcart/136386

新曲「一木造」「Benzai-Tennyo」など、仏像から着想を得た楽曲を奏する”仏像バンド”ザ・ブッツ
コロナ休止からの復活となりますが、この機会を逃すとまたしばらく出番はありません。
4月9日大仏の日、ぜひ一度体験してみてください。
詳細案内:
http://yasumimiyazawa.com/buttz/4-9.html


2.
(オンライン配信あり)
■魅惑の仏像:造る、見る、拝む トークショー

観賞用仏像「イスム仏像」のブランドマネージャーをお招きして、
仏像の「造る」「見る」「拝む」を語る仏像トーク。遠方の方はオンラインで。
https://www.ync.ne.jp/jiyugaoka/kouza/202201-18010097.htm
よみうりカルチャー自由が丘


3.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ


宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/


3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
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http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m